一日一冊読んでいるという”本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。
そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。
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元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第10回 村山由佳『星屑』
こんにちは。アイドルよりも米ドル。アルパカ内田です。
時代は昭和、1970年代。高度経済成長の名残がまだ強く残っていた頃。当時のジャパニーズ・ドリームの高揚感を描きだした、濃密な人間ドラマが『星屑』である。スポットライトを浴びたステージ上の光の洪水。光が眩しいほど、闇はどこまでも深くなる。まさに眩暈がしそうな過酷な世界だ。
主役は正反対の個性を持った二人の少女。嫉妬と羨望が入り混じり、天国と地獄の風景が同居する。栄光も挫折も紙一重。食うか食われるか。物語の中で繰り広げられるのは火花が飛び散るむき出しの感情のぶつかり合いだ。スターになるということは、頂点を目指すために手段を選ばぬ仁義なき闘いをするということなのである。
アイドルは虚像だ。見るものを魅了する姿は、秘密という名のヴェールに隠されている。本書の最大の魅力は激しい葛藤とその素顔が赤裸々にさらけ出されるところだろう。努力と才能だけではスターは輝かない。時の運や人々の縁、スキャンダルまでも己の実力に昇華させるパワーが必要なのだ。
『星屑』は選ばれし者たちの成長譚であり、数多の光源から原石を見出し、我が子のごとく育てあげた職業人の矜持の物語でもある。決して妥協を許さない本物の魂(ソウル)が感じられる。
希望の光は天から降り注ぎ、絶望から這い上がる情熱が地から湧き出す。身震いが止まらない感動とともに、強烈な不協和音の出会いから、いつしか唯一無二の旋律を奏でるまでの展開の妙、そして読後感の良さも印象深い。
ぜひ世代を超えて読んでもらいたい。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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