
“九死に一生を得る”経験など、人生100年時代と言われる現代の長い人生においても、そう経験することではないだろう。
33年……いわば人生の⅓を生きた私でさえ、今のところ本当の意味での九死に一生を得る経験などしたことはない。
少し汚い話になるが、強いて言えば外出中に大きい何かが漏れ出そうになったことがあるくらいだ。もしそれを暴発したからと言って、それが直接死に直結するわけではない。
しかし世界は広い。私たちが暮らすこの日本のどこか(?)に、不謹慎ながら今も生きているのが不思議なくらい、なんと3年連続“九死に一生を得る”経験をしている男がいる。
それは“大きい何かの暴発”どころの騒ぎではなく、
ビルの3階から落下、顔の近くでドローンが爆発するなど、
言葉通り死に得るかもしれないほどの経験をしているのだ。
その男の名は、武蔵三郎(櫻井翔)。
彼は、7/12(土)より放送開始となったテレビドラマ『放送局占拠』(日本テレビ)の主人公であり警察官だ。2023年には病院の占拠事件に巻き込まれ、2024年には空港の占拠事件に巻き込まれた。そして今回は放送局……つまりテレビ局の占拠事件に巻き込まれたのだ。
九死に一生が立て続けに起きた2年間を経て、物騒な面を着けた人物には要注意のはずなのに……。
今回もまんまと占拠されてしまった。
おい、武蔵。この2年で一体何を学んだのか。
和泉(ソニン)も早く気づかないと。
なぜテレビ局の人々は、面を着けた武装集団を完全にスルーしていたのか……。
彼らが持っている銃はバラエティで使う小道具とでも思っていたのだろうか?
様々な疑問は残るがこういった違和感もまた、占拠シリーズの醍醐味である。
物語の展開にドキドキハラハラしながらも、お茶の間で「嘘だろ?」とツッコミを入れながら気軽に観ることができる占拠シリーズ。
このドラマシリーズはそんなツッコミを入れたくなるような“気になる引っかかり”を仕掛けるのが絶妙である。
今までのシリーズでもそんなあり得ない事象の数々がSNSで何度もバズっていたが、今となっては全て狙い通りだったのではないかと思えるほどだ。そもそも武装集団の顔を面で隠すという試みも、昨今の考察ブームとの親和性が高く話題になることは必然だった。
そして今作も、話題にこと欠かさない最高の幕開けとなった。
もはや特殊能力? 何よりも“嘘”みたいな武蔵の肉体
1話冒頭、原西(FUJIWARA)氏が演じるバスジャック犯と対峙する武蔵。
爆発物が起爆し、バスが丸ごと炎上するほどの大爆発に巻き込まれた武蔵と犯人、そして取り残された子供……。放送局占拠は早くも武蔵のゲームオーバーで“完”……。
……と思われたその時、亡くなったに違いない武蔵がなんと生還。
しかも子供まで連れて。
あまりの釣り針のデカさに、これは意地でも「嘘だろ」とは言いたくなかった。
誰もが皆、テレビの前で「そんなはずねえ」と叫んだに違いない。
聞こえた。
武蔵の「嘘だろ」
和泉の「ありえない」
本庄の「冗談でしょ」(←NEW)
を全部乗せしても足りないくらいの事象が初っ端から起きたのだ。
まさに占拠シリーズ総決算とも思える最高の幕開けである。
しかし3作品目ともなると、「まあ武蔵だしな」と納得してしまう自分もいる。
むしろあそこでくたばってしまう武蔵なんて武蔵ではない。
案の定、武蔵の不死身さはSNSの話題をかっさらっていった。
次回作で武蔵が実は人造人間だったという衝撃の出自が明かされたとしても私は「まあ武蔵だしな」と思うことだろう。
武蔵には何が起こっても武蔵らしさというものが消えないくらい、キャラクター的にも肉体的にも“強い”印象を私たちに与えている。
全てがアップデートされた占拠
今までの占拠シリーズでは、武装集団がインターネットで動画配信をし、ターゲットとなる恨みのある人物たちの罪を白日の元に晒していた。
しかし今回はインターネットの動画配信よりも遥かに視聴者が多い、テレビ番組での生配信(生放送)となる。これもまたシリーズ総決算とも言える規模の大きさだ。
まだ武装集団“妖”の目的も、正体も、何もわからないが私たち6969bはその全ての妖の正体(俳優)を見抜いた。……おそらく9割くらいは。
当たっていたら自慢するし、間違っていたらそーっとしておいて欲しい。
なんて傲慢な妖怪なんだ、ろくろっ首……。
ぜひ動画を観て、学校や職場、そして家庭での会話のネタにしていただけたら幸いだ。
ついにメインキャラクターが離脱!?
そして衝撃のラスト。
武装集団“妖”の放った弾丸により、和泉が重傷を負ってしまったのだ。
和泉お決まりの台詞「ありえない」が出ないほどの重傷だが、代わりに武蔵はしっかりと「嘘だろ」と言い第1話に蓋をしてくれた。
和泉はここで離脱してしまうのか。
一作目から武蔵と協力をし事件を解決に導いてきた和泉がいなくなってしまうのは、あまりにも寂しすぎる。
武蔵、和泉、志摩(ぐんぴぃ)の3人がいてこその占拠シリーズと言っても過言ではないからだ。
しかし和泉と本庄(瀧内公美)の対立を描いていたあたり、あれが世代交代を示唆する描写にも思えた。対立していた2人だが、今後を本庄に託す……。という感動的な展開になるからだ。それこそ和泉の離脱というのは、これまたSNSでも話題になるだろう。
ドラマや映画などのフィクション作品に限った話だが、重要な登場人物の死は物語を盛り上げる。
そんなことを言ったらミスチルに怒られそうだが(※HEROの歌詞参照)、私はそう思う。
和泉が離脱してしまうことはとても悲しいが、和泉の運命がどちらに転ぶかでこのシリーズが今後どのように舵を切っていくのかが少し見えてくるのではないか。
早くも第2話が今後の放送局占拠、そして占拠シリーズのターニングポイントとなる回と言えるだろう。
著者:ケメ・ロジェ
イメージイラスト:サク
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
日本テレビ『放送局占拠』( 毎週土曜夜10時~)
出演:櫻井翔、比嘉愛未、加藤清史郎、曽田陵介、ぐんぴぃ(春とヒコーキ)、齊藤なぎさ、ソニン、高橋克典、片岡礼子、福澤朗、戸次重幸、菊池風磨 他
チーフプロデューサー: 道坂忠久
プロデューサー: 尾上貴洋
演出:大谷太郎、茂山佳則(AX-ON)、西村了(AX-ON)
脚本:福田哲平
音楽: ゲイリー芦屋
主題歌:Snow Man「W」
考察食堂 -ドラマを噛んで味わう-

3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!
今話題のドラマの真犯人は?黒幕は?このシーンの意味は?
物語を深堀りして、噛むようにじっくり味わっていきます。
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