
〔使用機材:FujifilmX100V,SONY RX0,SONY RX100M6〕
3年ぶりに〈帰省〉した。といっても、プロフィール欄にあるリアル故郷の新潟ではなく、東京から1800キロ離れた離島、伊良部島にである。
拙著『KID』(幻冬舎文庫)、『ガラパゴス(上下巻)』(小学館文庫)、『レッドネック』(角川春樹事務所)の取材で何度も訪れ、格段に思い入れの強い島の一つだ。

世界的な疫病蔓延に伴い、エアチケットや宿をキャンセルすること数回。3回目のワクチン接種を経て、地元の友人たちの了承を得た上での帰省となった。
伊良部大橋の開通、下地島空港の新ターミナル開業に伴い、かつてフェリーしか渡島手段がなかった伊良部には多くの観光客が押し寄せるようになった。同時に彼らを集めようとビーチ沿いにたくさんのカフェやレストラン、あるいは超豪華設備を誇るリゾートホテルが開業した。
真っ白なビーチ、紺碧の海を前に、カクテルやバーベキュー、オシャレで映える料理が味わえるお店も数多あるのだが、私は一切興味がない。
全国各地を旅した経験上、地元民オススメの食堂や居酒屋にハズレがないことを知っているからだ。嫌味なことを言えば、その土地で長年愛されるラーメン店が多数あるのに、素通りしてコンビニやファミレスで食事をするようなものだと考えるからだ(個人の感想です=映え目的の人はオシャレなホテルとかレストランをご利用ください)。
沖縄の離島を訪ね歩くこと20年。全国チェーンがあまり進出していなかった離島での楽しみは、地元民が推す食堂やスーパー巡りだ。フェリー時代からなんども訪れた伊良部でも地元食堂やスーパーを知っている。


今回の帰省でも、スーパーや鮮魚店に真っ先に駆けつけ、獲れたての魚介類を買った。
伊良部は沖縄県でも有数の漁獲高を誇る漁港があり、毎日水揚げされたカツオやマグロ、あるいはイラブチャーやミミジャー、ミーバイをいただけるのだ。




先に触れたスーパーでも、地元ネーネーたちが手作りしたお弁当を購入できる。お気に入りは、豚の三枚肉(ラフテー)弁当。ホロホロの食感、程よい脂と煮汁が白米に染み込んでいる。そして付け合わせのゴーヤの味付けも最高なのだ。

出来立て弁当をゲットし、民宿からほど近いビーチにオリオンビールとともに急行し、小一時間海を眺める(もちろんゴミなど残すはずがない)。

日頃、締め切りに追われる生活を過ごすモノカキ稼業にとって、この時間がなによりの休息であり、安らぎなのだ。
その後は宿近くの入江で竿を振り、さらに頭を空っぽにする(釣果は内緒)。午睡を経て、夜な夜な地元の友人たちと居酒屋へ繰り出した(いつものように店名は自分で調べてください=予約必須)。
数年来の友人たちと他愛もない話を続け、酒を飲む。ビーチで時間を無駄遣いするのと同様、この上ない幸せを感じる。ああ、この島は故郷だと勝手に思いながら、泡盛の古酒の酔いに身を委ねる。3年ぶりの帰省は感無量の旅となった。




最後に一つだけ注意点を。急速に観光開発が進んだため、島の生活道路をレンタカーでビュンビュン走り、地元民の緩やかな生活リズムを乱す輩が少なくないと島の長老たちから教えてもらった。乱開発に苛立つ島民も少なくない。
道端でオジーやオバーと出会ったら挨拶する。ゴミは持ち帰る……観光で開放的になり、なにをしても良いわけではない。普段の生活で当たり前のことをしていれば、島民はあなたを温かく受け入れてくれるはずだ。
勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!
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