<使用機材>FujifilmX100V,SonyRX0M2
五月の当欄にて、G舎文芸誌で連載が始まる新作の台湾取材旅の様子を紹介した。今月はその第二弾、沖縄編である。
新作の中身をここで詳らかにするわけにはいかないので(まだプロットを練り終わっていない)、私が辿った旅の様子を綴りながら、沖縄の魅力、そして全く参考にならない旅ルートを読者のみなさまに披露しよう。
昨年八、九月の沖縄編でも触れたが、私のテキストには世間一般の沖縄旅に登場するキラキラ系のリゾートや、割高で大して美味くない食べ物、お店の類は一切登場しないので、あらかじめご了承いただきたい(相変わらず性格がねじ曲がりすぎ)。
まず今回の取材旅では、同県北部の名護市で宿を取った。同市近くのフェリー乗り場から翌朝一番の便で大好きな離島に行くためだ。東京発、那覇着の一番早い飛行機を使っても、船の第一便には間に合わないので前乗りしたというわけだ。
宿に荷物を放り込むと、現地民オススメの居酒屋へと繰り出すいつものターンを開始した。目的の店は野球場の至近にあり、冬のキャンプで同地を訪れたプロ選手たちも足繁く通う名店との触れ込みだ。
地元の皆さんと触れ合うことができるかと思いきや、客の九割がインバウンドの皆さん。沖縄というブランドにプラスして、超円安という要素も加わって、昨年より遥かに海外からの観光客が多い気がした。
食事後は、居酒屋のご主人に推薦されたスナックへ。人懐こい美人ママ(喜寿)と優しい常連のオトーと会話が弾み、あっという間に夜が深けた。この間、新作に向けて現地情報をたっぷりと吸収した(ガイドブックの類いでは絶対に収集できないネタばかり)。
そして翌朝。ホテルのバイキング朝食を体質的に受け付けない私は、昨晩オトーから聞いた弁当屋さんへ向かった。
早朝にもかかわらず、建築関係の職人さんやドライバーさんたちがひっきりなしに店を訪れ、高タンパク・高カロリーかつ低価格の弁当があっという間に売れていく様は圧巻。私も煮物や揚げ物で茶色になったお弁当を購入した次第。沖縄各地には名物の弁当屋さんがあるので、オシャレ系で映える朝食に飽きた向きはぜひ探していただきたい。
腹ごしらえを済ますと、昨年も訪れた離島へと向かった。昨年同様、島の名前ごと伏せるのでご了承を。
決して隠すのが本意ではなく、那覇から三時間もかかって非常に不便だからだ。本島の港を午後便で経つと、島に着くのは夕方になってしまう。短い旅程の皆さんには物理的にオススメできない。
それでも教えろという向きには、昨年同様のヒントを。島の名前は拙著『ガラパゴス』(小学館文庫)、『マンモスの抜け殻』(文春文庫)の中でさらりと触れているので、お買い上げののち、ご確認いただきたい。
それはさておき、島は相変わらず綺麗そのもの。虎視眈々と開発物件を探す本土のディベロッパーや、観光客に割高な商品を売りつける怪しげな人々は皆無。
釣り好き、手付かずの原風景を求めるごくごく少数の旅行者とすれ違うだけで、島にある主要なビーチはほぼ貸し切り状態だ(ライフセーバーが常駐しないので、遊泳は自己責任で)。
コンビニなし、信号すらない小さな島故に、ホテルはなく、宿泊は民宿かキャンプのみな。天候が悪い際は逃げ場がなくなるため、島を訪れる観光客は圧倒的に少ない。
一方、住民はとても人懐こく、島外の人間を歓待してくれる。今回は民宿の女将さんと二夜連続で地元スナックへと繰り出し、漁師さんやフェリーの船員さんとも仲良しになった(これぞ旅の醍醐味)。
他の離島が猛スピードで観光地化し、膨大な数の観光客の来訪とともに環境が壊れる様とは裏腹に、のんびりゆったり生活したい住民が大半だと聞かされた。そんな島の雰囲気が大好きなので、私はまた近いうちに島を訪れる予定だ。
さて、新作では今回の旅で食べた地元食堂の名物料理や、地元民が愛してやまないソウルフードをたっぷり登場させる予定だ。
昨年や一昨年の当欄沖縄旅でも触れたが、観光客が集中する一大スポット周辺のメシは明確にオススメできない。今回掲載した写真や本文中のヒントをもとに、旅の計画を練ってはいかがだろうか。
映え目的で沖縄に行く……そんな人には拙エッセイは絶対参考にならない。大事なことなので、最後の最後でもう一度触れておこう。
勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar
食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!
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