一日一冊読んでいるという”本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。
そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。
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元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第7回 伊坂幸太郎『マイクロスパイ・アンサンブル』
こんにちは。伊坂作品はすべて「買うたろう」と思っているアルパカ内田です。
今回の新作は、言葉の力をまざまざと突きつけられる見事なエンターテイメント作品だ。読み手の全身を覆い尽くすような大いなる包容力があり、物語にしか起こせない奇跡を味わえる。
長引くコロナ禍で非日常が当たり前になった今こそ必要なのは、無限の想像力、良質な小説世界に他ならないと切実に感じさせる。そう、これは紛れもない僕らの物語なのだ。
ストーリーはごく平凡な会社員の生活と、一般世界とはまったくかけ離れたスパイたちの活動の、二つの軸で紡がれ繰り広げられている。およそ結びつくはずのない異質な関係が、いつしかあざなえる縄のごとく、ぴったりと寄り添うように共鳴するからなんとも不思議。偶然のようですべては必然。
人は生まれ落ちてからずっと、異なる世界にいる誰か、もしくは運命的な何かに導かれて生きているのかもしれない。そう考えると奇妙な安心感をおぼえ、前向きな気持ちにもなれるのだ。
この世界は目には見えない何かで深く繋がっている。理知的でありながら人間的な情感がたっぷり凝縮されている本書は、混沌としたこの世を癒やす救世主であり、まさに伊坂文学の真骨頂。忙しい毎日で置き忘れてしまった大切な気持ちを取り戻させ、読まれるほどこの夜の霧を晴らしてくれる魅力に溢れた一冊だ。そしてビバ猪苗代湖! またひとつ聖地巡りをしなければならない素敵な場所が増えたことも付け加えておきたい。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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