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女ひとり温泉をサイコーにする53の方法

2021.04.15 更新 ツイート

ヨーロッパの名湯を巡る旅

世界最大の露天風呂「ブルーラグーン」を満喫した思い出 永井千晴

「温泉オタク会社員」こと永井千晴さん(@onsen_nagachi)の初めての本が発売になりました。その名も『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』! 訪れた温泉は約500湯。暇さえあればひとりで温泉を巡りまくっている永井さんによる温泉旅が100倍楽しくなる本書から、少しずつTIPSをご紹介していきます。

二〇一九年、転職に際し、一カ月の有休消化期間を手に入れました。せっかくだからと頑張って計画立てて行ったのは、ヨーロッパ。最後にいただいたボーナスを握りしめ、ドイツ、ハンガリー、アイスランドで計十五箇所の温泉をめぐりました。いや~楽しかった。それまで海外で訪れた温泉といえば、寒すぎて足元しか入らなかったパムッカレ(トルコ)と、今にも崩れそうな見た目の北投温泉(台湾)の公衆浴場だけ。ヨーロッパは基本混浴だし、水着で浸かるような温泉も果たして楽しめるのか……? とドキドキしながら行ったのですが、すばらしい体験が待っていました。

ドイツの温泉保養地には、かつてヨーロッパ各地から貴族や作曲家が訪れたそうで、日本でいえばさながら将軍や文豪に愛された箱根・熱海のよう。入浴プログラムもかなり研究されていると聞くので、とっても楽しみでした。訪れたのは「ヴィースバーデン」「バーデン・バーデン」「バート・ホンブルク」の三つの温泉地。ドイツの玄関口・フランクフルトの周りに点在しているので、めぐりやすいのもポイントです。ドイツ語でBadeは入浴の意味なので、Bad(バート)やBaden(バーデン)は温泉地を指すようです。湯河原とか湯布院みたいなことなのでしょう。

基本的にドイツの温泉地には、「現代的な日帰り入浴施設」と「トラディショナルな日帰り入浴施設」の二つが備わっていて、前者はプール、後者はサウナの様相が強いです。一つの施設を楽しむのに二時間はかかるので、一日二箇所めぐればくったくた。大体がロッカーキーで最後に精算する仕組みをとっていて、場内にあるカフェバーで食事をしたり、ビールを飲んだりしながらうだうだと過ごします。基本は混浴ですが、曜日で女性専用デー(または男女別の日)を設けている場合があるので、事前の情報収集が肝心でした。

現代的な日帰り入浴施設も楽しいのですが、やっぱり温泉オタクが興奮したのは「トラディショナル」なほう。ドイツの中で一番好きだったのは、バーデン・バーデンの「フリードリヒス・バート」でした。十二の源泉からなるミネラル豊富な混合泉がウリ。浴場には十七の工程が決められていて、「このサウナに何分」「この湯船に何分」とプログラムがありました。これがすごく面白い。ベルトコンベアで健康にされていく気分です。九番目の工程で、三六度ぐらいのぬる湯に浸からされるとき、天国かと思いました。ほんのり塩味の炭酸泉で、新鮮そのもの。アワアワ。サイコーです。

ドイツは全体的に炭酸のぬるい温泉が多くて、ぬる湯好きにはたまりません。温泉=高級保養地らしく、お客さんは「遊びに来ている」のではなく、「休みに来ている」雰囲気。治安もよくて、どの温泉地も上品でした。サウナがかなり充実していて、どこの施設も種類豊富なのもすばらしくて。スタッフが説明しながらサウナストーンに水を入れてブワーッと扇ぐ「アウフグース」(ロウリュ的なプログラム)はマジで一年分の汗をかきました。いずれの温泉地にも「クアハウス」という娯楽施設があり、湯治客がカジノや舞台を楽しむところとして親しまれているのも興味深かったです。ドレスコードがあるので、温泉街にドレスや革靴が買えるブティックが並んでいるのも面白かったなあ。

ハンガリーは、ブダペストにある温泉をめぐっていました。「ヨーロッパ最大のスーパー銭湯」とうわさの「セーチェニ温泉」をはじめ、ドナウ川沿いにいくつか温泉施設があるのです。本当に町中に点在しているので、日本の銭湯に近い感覚でサクッと入浴できるのが素敵。ヨーロッパ的な温泉設備が整っている「セーチェニ温泉」「ルカーチ温泉」「ゲッレールト温泉」のそれぞれにいい部分はあったけれど、トルコ式浴場を構える「キラーイ温泉」「ルダシュ温泉」のほうが好みでした。

一番よかったのは、「ルダシュ温泉」。トルコ式浴場も、サウナも、水泳プールも、パノラマ露天もあるてんこもりな施設です。二八度、三〇度、三三度、三六度、四二度の湯船が五つある湯場がとにかくサイコー過ぎました。熱いのとぬるいのと、ぐるぐる永遠に湯船マラソンができちゃいます。とろつる湯で、硫黄のにおいがとっても豊か。飲泉もできます。四二度は日本人好みですが、ヨーロッパではかなり熱いので希少。気楽に浸かれる女性専用デーにぜひおすすめしたいです。

ドイツやアイスランド(後述)と比べて、ハンガリーは温度の違う湯船が備わっているので、交互浴が好きな方にはおすすめでした。社交場としての機能がかなり強いため、みんな賑やかで、スーパー銭湯のような雰囲気です。芒硝のにおいがしたり、硫黄のにおいがしたり、つるつるな浴感だったり、近場で湧いていながらそれぞれに温泉の個性を感じたのもよかったなあ。宿泊は、ゲッレールト温泉が併設されている「ダヌビウス・ホテル・ゲッレールト」がおすすめ。早朝の空いていて清潔で新鮮なゲッレールト温泉に浸かれます。

アイスランドは、いわずとしれた火山の国。地熱によって湧き水が基本熱いため、水道水はわざわざ冷ましていて、給湯器いらずなのだとか。もはや「デフォルトが温泉」といったところでしょうか。

アイスランドの旅行は、基本的にツアーに参加するか、レンタカーに乗って自分でめぐるしかありません。しかもツアーのほとんどが自然目当てなので、滝を見たり、オーロラを観察したり、氷の洞窟を探検したり……とかなりアクティブなラインナップなのです。私のような温泉だけが目当ての観光客はほとんどいません。首都レイキャビク発のツアーで、ひとり客でも楽しめたのは、「ブルーラグーン」「シークレットラグーン」「フォンタナ・スパ」でした。レイキャビクの市民温泉プール「ロイガルダルスロイグ」も面白かった。

やっぱり目玉は、なんといっても世界最大の露天風呂「ブルーラグーン」。入場料はなんと約一万円(当時、私が選んだプラン)です。でも、ここまで来て、渋るわけにはいきません。えいやと行ってみたところ、メディアでよく見る青白い色をした温かい温泉がずうっと続いていて心が震えました。本物……ついに来た……と、感慨深くなります。とはいえ、温泉といっても、地熱海水によって造られた人工の温泉。でも、ミネラル豊富で塩気たっぷり、磯の香りがして、よーく温まりました。とにかく広い、気持ちいい、楽しい。風が強いと優雅さは半減しますが。泥パックのようなシリカを試したり、バーでビールを飲んだりして写真を撮っていると、あっという間に時間が経ちます。ホテルもあるから泊まればよかったなあと後悔しました。

アイスランドの温泉は、ドイツやハンガリーと比べて湯温が高く、大自然に囲まれていて、開放感は抜群です。ふつうのシティホテルに泊まったのですが、どこの蛇口をひねっても硫黄のつるとろな温泉が出てきて本当にすばらしかったです。ただ、物価がびっくりするほど高い。レストランのビール一杯一二〇〇円、ワンプレート四千円の世界でした。ちなみに北海道ぐらいの広さに温泉が点在しているので、旅行にはかなりの日数が必要でした。

日本とは設備・ルール・雰囲気が何もかも違うので、「日本と違う温泉、違う体験」を求める旅行であれば、海外の湯めぐりはとてもおすすめできます。特にぬる湯好きは、ヨーロッパの温泉も気に入るはず。お金も時間もかかりますが、来なければよかったなんて、一度も思いませんでした。

温かい湯に浸かって心身をリラックスさせるのは万国共通。お客さん全員が心地よさそうで、「私が好きなものは、みんなも好きだった!」という謎の幸福感に包まれました。どこの温泉も、サイコーだ。

関連書籍

永井千晴『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』

訪れた温泉は500湯。ヒマさえあれば女ひとりで温泉を巡りまくっている「温泉オタクOL」による温泉偏愛エッセイ!

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女ひとり温泉をサイコーにする53の方法

「温泉オタク」会社員による温泉偏愛エッセイ

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永井千晴

1993年2月生まれ。学生時代に温泉メディアのライターとして、半年間かけて日本全国の温泉を取材。その後、旅行情報誌「関東・東北じゃらん」編集部に2年在籍し、「人気温泉地ランキング」などの編集を担当。退職後は別業種で会社員をしながら、経験を活かしてTwitterやブログで温泉の情報を発信している。現在も休みを見つけてはひとり温泉へ出かける、市井の温泉オタク。国内外合わせて約500の温泉に入湯。好きな言葉は「足元湧出」。Twitter @onsen_nagachi

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