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北極かえるのコモンロー日誌

2019.09.14 更新 ツイート

路地裏の駐車場で、本を売ってきました。吉村静

去年、日本の友人と話をしている中でこんな話になった。

北極カエル「やりたいことが次から次へと出て来てて、なんか私もうすぐ死ぬんじゃないかって思う時があるんだけど。」

友「言霊ってあるから、あんまりそういうこと言わない方がいいよ。」

北極カエル「……こっっ怖わっ!!!!!!」

2014年からの過去5年間は日本にも帰ったりしてはいたけれど、世界のいろんなところを旅したり、働いてみたり、とにかくめまぐるしい日々が続いた。その間にいろんな「これやってみたい」リストができていたのだ。そのトップにランクインしていたのが、「自分で本作りたいなぁ」ということ。それが、その友人からの思わぬ「怖わっ!」発言をきいてから、ぐわっと本気モードに突入した。

 
私の小さなものづくりデスク。

今年カナダに帰ってきた当初は、「まずはちょっと働こう」と思っていたけれど、でもそれじゃぁいつまでたっても本を作れないと思い、マネージャーに相談して勤務を週5日から週4日に変えてもらった。ここで一つ驚くべきことは、週4日に仕事を減らしたにも関わらず、その後ポジションの昇格があったのだ!笑 販売員からスーパーバイザーへ。

なんか昇格って「週5がっつり働いている人」みたいな古い概念があったけれど、マネージャーからは「いやいや北極カエルさん、本当よく働いてるよ。まじでありがとうな! オッケーオッケー!」みたいなテンションで、ありがたや~!笑

しかも週4だとへろへろにならず、いい感じにエネルギーを保ったまま仕事できて一石二鳥やん、と。

現職者・退職者混じってるけど、仕事の同僚たち。北極カエルの右側の人が私のボス!

というわけで、前置きが長くなりましたが、8月25日(日)にバンクーバーのメインストリートで開催された、「Unibrow Art Festival(https://unibrowartsfest.com) (ユニブローとは、つながり眉毛のこと。つながり眉アート祭り? 笑)」のZineマーケットに、わたくしの処女作4作品を持って、参加してきました。

イベントのチラシ。

ちなみにZine(ジン)とは個人で作る本や雑誌、冊子のこと。大量生産の本とは違って、図書館にあるようなコピー機を使って印刷したり、自分でホチキスで留めて製本したりする人も多い。漫画やイラスト、詩や物語まで特に大きな定義なく、様々なジャンルのZineが存在している。バンクーバーの私立図書館にはZineコーナーもあり、貸し出しも可能になっている。

イベントの会場はAntisocial Skateboard Shopというイカしたスケボーショップの「駐車場」。しかも結構がっつり路地裏で、これ来る人わかるかな? というような路地裏。笑

会場に着くときれいにテーブルが並べられ、他のアーティストが「早い者勝ちだよ~」と声をかけてくれる。一日中太陽の下はきついよなぁと思い、日陰の場所を陣取った。マーケット自体はお昼の12時~午後6時までとのんびりした感じ。「始めま~す!」とかの合図もなく、マーケットは幕を開けた。

不安とは裏腹に、始まってほどなくしてすでに人がどんどんやってくる。「え~なになにこれ?」と多くの人たちが本を手にとって、目の前で読んでいく。

今回初めて私の堪能とは言えない英語力で書いた、北極かえるジャーナリズム満載の名言集を作り、「伝わるかな~?」と正直ヒヤヒヤしていた。しかし蓋を開けてみるとみんなじっくり読んでくれて、「ヒャッハッハ! おもろっ! 笑」って言ってくれた時は結構まじで感動した! 言葉が伝わるというより、そのギャグや笑いのポイントへの共感があったことがまじで嬉しい! さらに「これ買うわ」と言ってくれた時はほんまに鼻血出そうなくらい嬉しかった!

左:「盲点の観察」(写真集)、右:「Still & Frying」(写真集)
左:「Are you having a Merry F*cking Xmas」(クリスマスの皮肉) 右:「Unknown Street Sayings」(ランダムな人たちがつぶやくストリート名言集)

ふだん、文章を書いてそれが旅立ったあとって、その人がその文章についてどう感じたかとかをすぐに話したりする場面ってなかなかないけれど、Zineマーケットは読者がすぐ目の前にいて、その反応が生で見れるってシビアだけどええやん! と思った。この人がこれを作ったんだ! という素直な感動。さらには作者と実際に会話ができるって貴重だな~とも。しみじみ温かい感じ。

しかも参加している人たちが「私はアーティストなのよ!」って全然気取ってなくて、バスの隣に座っている見知らぬ人たちのノートの中をそおっと見せてもらっているような感じ。パーソナルな内容が多くて、でもその分その時感じているフレッシュな言葉や感情がページの中に注ぎ込まれていた。

お客さんこない時間帯も携帯とかいじってる人とかほとんどいなくて、隣のテーブルの人とおしゃべりしたり、ドローイング始めたり、文章書いたり。私も両隣のアーティストと仲良しになってZineを交換したり、読みあったり……ってなんかええ一日やなぁ。

特にテーブルを半分こに分け合ったセリサというアーティストは、私の本を気に入って全部買ってくれて、さらにはお客さんが来るたびに、「この北極かえるの本スゲーから、まじで買ったほうがいいよ」って一日中宣伝までしてくれた。次もセリサの隣がいい!笑

セリサと北極カエル。

あ、あともう一つ興味深かったのが値段設定。日本のオサレ本屋とかで見るZineとかって1000円以上するものが多かったような
気がするんだけども、こっちは$1(80円くらい)とか、$3とかで売ってて安っっ! って感じ。もちろん$20とかで売っている人もいるしバラバラなんだけれど、全体を通してみんなあまり元を取ろうという気がなく、より多くの人に読んでほしい、という気持ちが優っているのかなぁと感じた。私も会場着いたときに他の参加者の値段を見て、決めていた額より若干安くした。笑

ネットの世界で言葉をいろんな人に届けるのもいいなぁと思う反面、すぐそばにいる見知らぬ人たちとの対話っていいなぁと思った。なかなかランダムな人たちとゆっくり唐突に話を始める機会ってないしなぁ、と。Zine作って終わりじゃなくって、そこから生まれるコミュニケーションみたいな力を感じたマーケットでした。

そこで出会った人たちから紹介してもらい、9月末にある別のZineマーケットにも参加決定。楽しみだ~ん。

カナダに帰ってきて半年だけど、今年はいろんなことしたなぁ。ちょっと疲れてきたので、冬眠期間と捉えている暗~い冬が待ち遠しい今日この頃です。

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北極かえるのコモンロー日誌

移民大国カナダのユニークな制度「コモンロー」を利用し、2019年、永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」と日本を飛び出し世界中を旅したすえに、彼女はなぜカナダを選んだのか? カナダでの暮らし、コモンローって何? 生き方の選択肢を探る連載です。[アイコンデザイン / 永井あゆみ]

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吉村静

1987年、新潟県長岡市生まれのランナー。走歴25年。ランニング雑誌の出版社に勤めた後にカナダへ渡り、トレイルランニングやハイキング、日々のお散歩に没頭する。カナダで2年過ごしたのちに南米やニュージーランド、インドなど様々な国で写真を撮りながら旅をする。2019年からカナダの永住権を取得し、現在はバンクーバーで暮らす。トレイルランニング用品専門店Run Boys! Run girls!のウェブにてアウトドアスポーツのある生活を綴る「Tip of the iceberg Newspaper」という名のブログも更新中。バンクーバーのヌーディストビーチで開催される裸のランニング大会Bare Buns Run2014年大会女子の部優勝。

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