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北極かえるのコモンロー日誌

2021.01.08 更新 ツイート

「LGBTQ2難民」を受け入れるカナダ 吉村静

コモンロー・パートナーであるルイスが(コモンローについてはこちらの記事をどうぞ)、移民や難民の方たちに英語を教える仕事をしている。

コロナ以降すべてのクラスがオンラインになって、ルイスも週に3日、ZOOMで英語を教えている。私も別のカレッジで英語を学んでいるけれど、隣で聞こえてくるルイスのクラスはなんだかほんわか、楽しそうに聞こえる。

 
身体の部位を説明しているルイス。かわええ。

そんなある日、ベトナム人のルームメイトと、カナダに難民としてやってくる人たちはどんな理由で難民申請をするんだろう? という話になった。移民としてやってくるベトナム人や日本人はたくさんいるけれど、その中に「難民っているのかな?」と気になったのだ(調べたらほとんど0に近かった)。

今年は日本食スーパーに助けてもらいながらプチおせち作り。

「難民」に対する今までの自分の理解は、内戦や戦争で命を脅かされている人、あるいはダライ・ラマのような国や政府による弾圧を受けている人、宗教上の迫害を受けている人、というような漠然としたイメージがあった。そこにルイスが「今後は気候変動で今の場所に住めなくなる難民ももっと出てくるよ」と一言。なるほど、いろんな「難」がこの世にあるなぁと考えた。

気候変動で北極グマなどの動物たちにも大きな影響が出ていて、住むところがどんどん限られてきている。

その後も気になって、どんな理由で難民の人たちがカナダに難民申請をしているかを調べていたら、「LGBTQ2難民」という言葉が目に止まった。

その時はじめて、LGBTQ2の人たちが難民として受け入れられているという事実を知った。自分の性に関して、つらい経験をしている人たちがたくさんいるのは知っていたけれど、カナダでは同性の結婚が認められてるし、特にバンクーバーはLGBTQ2の人たちにめちゃめちゃフレンドリーだから、それが「難民申請をする理由」というふうに捉えたことがなかった。

毎日雨のレインクーバー。雨が止むと嬉しくて外を歩くのが日課。

そんなことから一つの経験が蘇った。もう1年以上前のことだけど、今働いてるアウトドアのお店でのこと。同僚が、メンズの商品を見ていたお客さんに、「ウィメンズのものもこっちにありますよ」と親切心を持って声をかけた。同僚はその人が女性で、女性のものを探しているのでは、と考えて声をかけたのだ。しかしその人からは「見た目でジェンダーを判断しないでほしい」と返ってきた。私もその状況を見ていたので、そのお客さんの怒りがひしひしと伝わってきた。

最近は家でできるいろんなプリント方法を模索中。これは植物で染めているところ。ゆかりもちょっとだけ試してみた。笑

そのお客さんの声を聞いてから、私も今まで何回も同じようなことお客さんに言ってるし、このなんとなくの親切心が大いに人を傷つけてきたのかもしれないなぁ、と心がぎゅーと痛くなったのを覚えている。

それ以降、接客時はお客さんが聞いてこない限り「ウィメンズはこっちです~」みたいな発言はしないようにしている。LGBTQ2のアイコン、レインボーを身に付けたお客さんたちよくお店に来てくれるし、それ以降自分の発する言葉を意識するようになった。

言葉は「ことのは」。この葉っぱのようにきれいな言葉を使いたいものです。

私は難民じゃないし、カナダに住みた~い! っていう気持ちでカナダに来てるけど、ある意味では「逃げ」でもあるのかな、とも思う。日本は大好きだけれど、感覚的に合わない何かもある。もちろん新しい場所へ移り住むのは楽しいことばかりじゃないかもしれないけど、せめてその「逃げる場所」がカナダも含め、世界のいろんなところにあって良かった、と思う。

何か急坂が見えるぞ!

去年高速道路を走っている時に「Run Away Lane(ランナウェイ・レーン:逃げ道のレーン)」という看板と急坂を道路上に発見した。すごく爽快感があって、自由で、いい名前だなぁと思った。ちなみにこのレーンは大型・重量トラックなどがブレーキが利かなくなって止まれなくなった時に、この急坂に逸れて止まるための坂道。このランナウェイ・レーン的な存在がもっともっと生活の中にあったらいいなと思う。

お! これはもしや!
ランナウェイ・レーンや~!!!

世界は全然平等じゃないけど、「逃げる場所」は実はたくさんあるじゃないかな。難民じゃなくたって、今の状況から逃げたい人いっぱいいるはず。そんなら逃げてもええやん! 逃げたれ~! と言いたい。そういう「王道」みたいなものから逸れていく人たちを、後ろ指刺さないで「いってらっしゃい~」って言える社会になったらいいなと思う。

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コメント

けんたろう  「LGBTQ2難民」を受け入れるカナダ|北極かえるのコモンロー日誌 https://t.co/AONh88SyYJ #スマートニュース 4日前 replyretweetfavorite

幻冬舎plus  内戦や宗教弾圧だけじゃない、難民申請の理由。それが「逃げ」だといわれも、 <せめてその「逃げる場所」がカナダも含め、世界のいろんなところにあって良かった>と吉村さん。ホントそうだな。(竹) 「LGBTQ2難民」を受け入れるカナダ… https://t.co/jlTialmgEE 6日前 replyretweetfavorite

吉村静/Shizuka Yoshinura/ケロズ  幻冬舎プラスで連載中の北極かえる日誌を更新! 「LGBTQ2難民」を受け入れるカナダ|北極かえるのコモンロー日誌|吉村静 - 幻冬舎plus https://t.co/LkPANW3KBB 6日前 replyretweetfavorite

クルド人難民Мさんを支援する会  「LGBTQ2難民」を受け入れるカナダ|北極かえるのコモンロー日誌|吉村静 - 幻冬舎plus https://t.co/wOuCiL3QAB 7日前 replyretweetfavorite

幻冬舎plus  [今日の新着記事] 「LGBTQ2難民」を受け入れるカナダ|北極かえるのコモンロー日誌|吉村静 https://t.co/Za3LKZmNHU 7日前 replyretweetfavorite

北極かえるのコモンロー日誌

移民大国カナダのユニークな制度「コモンロー」を利用し、2019年、永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」と日本を飛び出し世界中を旅したすえに、彼女はなぜカナダを選んだのか? カナダでの暮らし、コモンローって何? 生き方の選択肢を探る連載です。[アイコンデザイン / 永井あゆみ]

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吉村静

1987年、新潟県長岡市生まれのランナー。走歴25年。ランニング雑誌の出版社に勤めた後にカナダへ渡り、トレイルランニングやハイキング、日々のお散歩に没頭する。カナダで2年過ごしたのちに南米やニュージーランド、インドなど様々な国で写真を撮りながら旅をする。2019年からカナダの永住権を取得し、現在はバンクーバーで暮らす。トレイルランニング用品専門店Run Boys! Run girls!のウェブにてアウトドアスポーツのある生活を綴る「Tip of the iceberg Newspaper」という名のブログも更新中。バンクーバーのヌーディストビーチで開催される裸のランニング大会Bare Buns Run2014年大会女子の部優勝。

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