1. Home
  2. 生き方
  3. 北極かえるのコモンロー日誌
  4. みんな違ってみんないい。カナダでLGBT...

北極かえるのコモンロー日誌

2019.08.24 更新 ツイート

みんな違ってみんないい。カナダでLGBTQ2+の祭典「プライド・パレード」を観て考えたこと吉村静

突然ですがみなさん、「LGBTQ2+」ってなんの略かわかりますか?  日本でも先日、日弁連が、同性婚が法律上認められていないのは「重大な人権侵害」だとして法改正を求める意見書をまとめる(時事通信-2019.7.25)など、「少数派(マイノリティ)」についての議論が活発ですが、カナダではどうなのでしょう。今回は“北極かえる”ヨシムラさんが有名なカナダLGBTQ2+の祭典「プライド・パレード」をレポートします!(前回までのお話はこちら

8月4日。バンクーバーに住んで3年、今まで何度も耳にしていたけど行ったことのなかった、「Pride Parade(プライド・パレード)」に行ってきた。

「プライド・パレード」とは、LGBTQ2+、ひいては社会的に「少数派(マイノリティ)」と言われる人たちをみんなでサポートしあい、一緒にお祝いしよう! というイベントのこと。1969年にアメリカのニューヨークで警察がゲイの人たちを弾圧したことがきっかけで、以来LGBTの権利を求めるデモが世界規模で行われるようになったそうな。

バンクーバーも毎年この時期になると、LGBTQ2+を象徴するレインボーフラッグが街のあちらこちらに掲げられる。そんな「プライド・パレード」と聞いて、その言葉のごとく、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシャル)、T(トランスジェンダー)、Q(クエスチョニング orクィア)の人たちが多く集う、楽しいお祭りなのだろうと思っていた(2+のご説明はのちほど)。

友人とダウンタウンで待ち合わせ。ってすでにめちゃめちゃ人多いやん……。
いくでいくで~! みたいなファンキーなバイクが何台も通り過ぎ、お昼の12時にパレードスタート!

しかししかし。パレードが始まったとたん、まさかのわたくし、涙がほろり。まだほぼ誰も通り過ぎていないのに(笑)。なんかそこに渦巻いている熱というか、ポジティブなエネルギーにすでに胸がいっぱいになってしまったのでした!!(汗)

そして聞いていた通り、セクシュアリティに関連する団体やグループ、またメッセージが目の前を通り過ぎてゆく。みんな踊ったり歌ったり、観客も一緒になってすんごい盛り上がり。

改造したパーティートラック荷台で踊る人々。セクシャルフリーダムプライド!
「トランスジェンダーの娘を愛してるよ」って書いてある。家族プライド!

ただ驚いたのは、LGBTQだけじゃなくって、ファーストネーション(ネイティブ・先住民など様々な呼び方がある)のグループや、イランの暴力反対に対するグループが参加していたり、保守派以外の各政党もいるし、極めつけにカナダの首相ジャスティン・トルドー氏の姿も! なんかそのごちゃ混ぜ感がいい!

めっちゃ警察来たやん、思ったら首相登場! 大歓声で迎えられてました。イベントの前にもゲイバーに顔を出し、市民と交流したという記事も。多様なコミュニティをサポートするという意味で、首相が実際に足を運ぶことには意味があると思った。
スコーミッシュ・ネーションプライド!
わんちゃんプライド!!
救急車プライド!笑

なるほど。ここで示されている「プライド」っていうのは、少数派だけじゃなくって、「私たち一人一人が持つ誇り」のことを意味しているのか。笑顔で通り過ぎていく人をみて、そんな考えにたどり着いた。

私は正直自分が多数派とか少数派とか感じたことがなくて、はじめ「プライド・パレード」と聞いてもピンと来なかったのはそのせいなのだと思う。でもこのパレードをみて「自分の誇りって何だろう」と考えた。

そもそも何かを誇るって勇気がいることのような気がする。「自分はこのままの自分がいい」って肯定できるってことだもんなぁと。だから逆に、その誇りが持てなかったり、自分が思う誇りを非難されたりしたら、この世界がイヤになるだろうなと想像する。いや、それに苦しむ人はいるのだ。

今年のプライド・パレードのテーマは「今年で50年、でもまだ戦い続けている」だった。カナダは寛容な国でいろんな人種、国籍の人が混じり合うとはいえ、まだまだ戦っているんだと肌で感じた。でもまぁ大分オープンマインドな気がするけどもカナダ! 笑

だって自分がカナダにいて暮らしやすいなぁと思えるのは、「この宇宙人みたいなヘンテコな私のままでいいんだにゃ~ん」っていうテンションで、生きていけるからだ。つまり、「私はこの、毛がボーボーのままの私を誇りに思っている」ということなのかもしれない!(毛の話については連載第4話「『今、なんて言った!?』カナダのおっちゃんに怒られた日」をご参考に!)なるほど! ボーボーのままの私が好きなんだ。「みんな剃ってるし、剃ったほうがいいかな?」に流されない自分が好きなのだ! これが誇りなのか!?!? 笑

移民・難民プライド! ハイファイブ!

「誇り」って聞くと大げさな感じがするんだけど、すごく小さな石ころサイズのような気もする。みんなに「すげー!」って言われなくてオッケーで、むしろ誰にもわかってもらえなくても、自分で自分を認められる何か小さなもの。他の人からはただのホコリにしか見えないようなものでも、自分にとってそれが誇りなら、それでいいのだ。ホコリ(毛がボーボー)が北極かえるの誇り。そうだったのか!「プライド・パレード」ありがとう!

あと「LGBTQ2+」というのもよく目にして、2と+ってなんぞ? と思ったら、「2」の部分は先住民の同性愛者観で2(two)-spritという考え方があるそうなのだ。男と女、二つの精神を持ち合わせた特別な存在で、強さの源とされていた。なんか自分はこれに当てはまるような気がするのは気のせいかな……。

それからこの「+(プラス)」っていうのは、上記のどれにも当てはまらない人たちやコミュニティ、考え方のことを指している。その中には「ノンバイナリー」といった、男性・女性の「2つのうちのどっちか」ではなく、そのどちらでもない立場をとる人たちや、パンセクシュアルのように「性別」にとらわれることなく、恋愛・性愛の対象がいる人も含まれる。

そもそも私は宗教的な縛りもないし、その人がゲイでもレズビアンでも、冷たい言い方かもしれないけれど、どれでもよくない? って思う。その人がそれで幸せならそれがいいし、少数・多数とか区別しなくたって、それでいいって思える社会をサポートしたい。

お母さんが昔からことあるごとに、金子みすゞさんの詩を引用して「みんな違ってみんないい。だよねぇ」って言ってて、バンクーバーはそれがはっきりと表面化しているなぁと思う。もちろんいろんな問題はあるし、まだまだ戦い続けてはいるんだけれど、個人的な願いとしては、「マイノリティ? 全員どこかしらマイノリティやろ~?」的な空気をまとった、オープンで生きやすい社会になればいいなぁ、と思っております。

……とそんなことを考えたプライド・パレードでした。あぁバンクーバーの短い夏がどんどん過ぎ去ってゆく……(涙)。

関連キーワード

{ この記事をシェアする }

北極かえるのコモンロー日誌

移民大国カナダのユニークな制度「コモンロー」を利用し、2019年、永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」と日本を飛び出し世界中を旅したすえに、彼女はなぜカナダを選んだのか? カナダでの暮らし、コモンローって何? 生き方の選択肢を探る連載です。[アイコンデザイン / 永井あゆみ]

バックナンバー

吉村静

1987年、新潟県長岡市生まれのランナー。走歴25年。ランニング雑誌の出版社に勤めた後にカナダへ渡り、トレイルランニングやハイキング、日々のお散歩に没頭する。カナダで2年過ごしたのちに南米やニュージーランド、インドなど様々な国で写真を撮りながら旅をする。2019年からカナダの永住権を取得し、現在はバンクーバーで暮らす。トレイルランニング用品専門店Run Boys! Run girls!のウェブにてアウトドアスポーツのある生活を綴る「Tip of the iceberg Newspaper」という名のブログも更新中。バンクーバーのヌーディストビーチで開催される裸のランニング大会Bare Buns Run2014年大会女子の部優勝。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP