1. Home
  2. 生き方
  3. 美しい暮らし
  4. 桃とモッツァレラとパッション・フルーツ

美しい暮らし

2019.07.05 更新

桃とモッツァレラとパッション・フルーツ矢吹透

人間は、それぞれが与えられた人生の時間を生き、やがて、それが尽きると、死んで行きます。

その人生の時間は、この世に生まれた人間の各々が、天から誰もが無条件に与えられる、財産なのではないでしょうか。

そして、この人生の時間という財産は、永遠に続くものではなく、限られているものなので、貴重です。


日々、ふと誰かのことを思うことがあります。

 

あの人はどうしているだろうか、元気だろうか、幸せだろうか。

そういった時、人は、その誰かを思う時間を、相手に捧げているのだ、とどこかで読んだことがございます。

限りある自分の時間の中のいくばくかを、相手にプレゼントしているのだと。

そう考えると、時折り、ふいに何方かからご連絡を頂いたり、お誘いを頂いたりするたび、そのお相手の方は、ご自分の時間を私にプレゼントして下さっているのだ、と有り難く感じます。

人が人を思う、ということは、頭や心の中で行われる作業なので、その費用とか対価などについて考えられることは、少ないような気がいたします。

無償のものである、と考えられがちなのではないでしょうか。

しかし、そこには確かに、費用が発生しているのです。

思う人の時間、という費用が。

思い、思われることに対しての感謝を忘れずに、生きていきたいと思います。


料理も同じかもしれません。

材料を揃え、下拵えをし、料理を作り、盛り付ける。

その工程のひとつひとつに、作る人の、食べて頂く方への思いが籠もっているのです。

だから、料理は美味しく、うれしいものなのかもしれません。


桃の季節になりました。

友人が、女友達からレシピを教わったので、と桃の料理を作ってくれました。

用意するものは、桃とモッツァレラ・チーズとパッション・フルーツ、白いバルサミコ酢、塩・胡椒です。

桃を切って、皿に並べ、軽くホワイト・バルサミコを振ります。

その上に、桃と同じくらいのサイズに切ったモッツァレラ・チーズを載せ、軽く塩・胡椒をいたします。

パッション・フルーツを二つに割って、中の果肉をスプーンで掬い、全体に回しかけましたら、出来上がりです。

桃の甘さと、バルサミコ酢の酸味、モッツァレラのまろやかさに、パッション・フルーツの香りと風味、そのすべてが混ざり合い、絶妙なハーモニーを醸し出した一品でした。

見た目も美しく、楽しい、夏の料理です。

美味しく頂きながら、感謝について考える、私でした。

関連キーワード

関連書籍

矢吹透『美しい暮らし』

味覚の記憶は、いつも大切な人たちと結びつく——。 冬の午後に訪ねてきた後輩のために作る冬のほうれんそうの一品。苦味に春を感じる、ふきのとうのピッツア。少年の心細い気持ちを救った香港のキュウリのサンドイッチ。海の家のようなレストランで出会った白いサングリア。仕事と恋の思い出が詰まったベーカリーの閉店……。 人生の喜びも哀しみもたっぷり味わせてくれる、繊細で胸にしみいる文章とレシピ。

{ この記事をシェアする }

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP