
[使用機材]FujifilmX100V,Sony RX100M6
今年九月中旬、私は東京と京都祇園を舞台にした最新ミステリー長編『サドンデス』(幻冬舎)を上梓した。
出版を機に、著者営業(詳しくは当欄第三七回を参照されたい)のため、大阪と京都へと向かった。先ほど触れたが、本編の大部分で京都を扱っているため、関西の書店さんにて〈ご当地モノ〉枠で店頭に展示、売り上げを立てていただこうという狙いだ(燃える商魂)。
今回当欄で拙著を取り上げたのは、売り上げのピッチがやや落ち着いてきているため、営業面でのカンフル剤を露骨に狙っている。その点をあらかじめお断りしておく(買っていただけると嬉しい)。
今年は記録的な熱波だった。九月中旬の関西も残暑が酷く、担当編集さんとともに滝汗をかきながら関西の有力な書店さん一〇軒を訪問させていただいた。酷暑の中、ひたすら移動。私は勝手に熱狂営業と名付けた(G舎K社長が大好きな言葉のパクり)。
関西での著者営業は四年ぶりにも関わらず、書店員さんたちは暖かく迎えてくださった。お客様へのご挨拶用の色紙を書き、サイン本まで作らせていただいた(サイン本は返品不可で、書店さんにとってはリスク大)。


さて前置きが長くなった。著者営業の合間に、口の卑しい私は食べまくった。プロモが主目的だったことは言うまでもないが、担当さん曰く〈食い倒れツアー〉のようになったのも事実。
大阪での楽しみの一つは、スパイスが効いたカレー。一〇年前初めて食して以来、書店さんが数多く集まる梅田の地下街に赴くと必ず足を向ける。ちなみにこのお店は東京にも支店があるが、なぜか梅田で食べると格段にうまいのだ(完全なる個人の感想です)。

さて、次は本編の舞台となった京都である。主要なキャラたちが物語の中で食す一皿、一杯は必ず実食するのが私のやり方だ。
今回は馴染みの割烹に顔を出し、大将が釣った鮎を食らった(第五回はコチラ)。このほか、京都ラーメンの代表格とも言える老舗を訪れ、地元民が愛してやまない街中華も奇跡的に入店できた。また、本編で女性キャラが通う小さなバーにも顔を出し、お約束のシャン課金をさせてもらった(第四回はコチラ)。



そして一番印象に残ったのが京都市北部、北大路大宮にある小さな絵本カフェだ。ミステリーと絵本は対極にあり、本来なら著者営業をお願いするお店ではない。しかし、こちらはご当地の老舗書店が営む店舗で、十年以上お世話になっている読書家の社長自らが歓待してくださった。
社長ご贔屓の仕出し弁当をいただきながら、京都のあれやこれやについてお話をうかがう。地元紙やテレビでは絶対に知り得ないナマの街情報に触れ、拙著についても率直なご意見と感想をいただいた。ちなみに社長に激似のキャラが本編にも登場するので、ぜひご一読を(引き続き燃える商魂)。

熱狂営業を終え、京都駅で担当さんとホッと一息、中ジョッキが一瞬で空になった。新幹線でウトウトしはじめたとき、異変に気づいた。停車駅の少ないのぞみに乗ったのに、なぜか新富士駅で止まっているではないか。車内アナウンスに耳を傾けると、小田原から先で豪雨のため、運転見合わせだとか(結局一時間半の遅延)。


車内でグチをX(旧ツイッター)にポストしたところ、G舎の営業部門の偉い方からいじられるというオチがついた。
熱狂営業は最後までなにが起こるかわからない、サドンデス営業でもあった(お粗末)。


勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!
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