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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2023.09.18 公開 ツイート

#42

定番から新種まで食い倒れ〈沖縄編その2〉 相場英雄

[使用機材]Fujifilm X100V,SonyRx02,SonyRX100M6

先月に続き、沖縄編をお届けしたい。

前回の離島編をリリースしたあと、数人の友人からメッセージが届いた。曰く〈定番の食い物はどうした?〉……やっぱりそこか。

もちろん、口の卑しい私はあちこちで美味しい物をたらふくいただいた。三泊四日、弾丸取材&プチ夏休み、南国での食い倒れの詳細を公開しよう。

七月初旬、那覇空港近くでレンタカーをピックアップした直後、私は早速カーナビに目的の店の情報をインプットした。沖縄本島は久しぶりだ。前日までの苛烈な仕事と慢性的な睡眠不足を吹き飛ばすにはアレだ……戦後の沖縄に根付いた新たな食文化に触れない手はない。

 

目指したのは、本島北部にある海沿いのレストランだ。名物とは、ステーキだ。沖縄の一大観光地美ら海水族館に赴く幹線道路沿いにあるため、混雑は必至。開店直後に到着したにも関わらず、大行列。四〇分の待ちを経て、目の前に肉の塊が現れた。三〇〇グラムのサーロイン。絶妙な焼き加減、柔らかい食感。ああ、久々に沖縄で肉を食らって幸せだ。

名護の名店にて。結構な大きさ(300g)だが、ペロリと完食。つまり、美味いのだ。

〈いつも裏路地系なのに、まさかのメジャー系かよ。おまえ日和ったか?〉……そんな声が聞こえてきそうだが、これには事情がある。もちろん美味しく、最高のホスピタリティという大前提のほかに、店からほど近いところに先月紹介した離島行きのフェリーターミナルがあるからなのだ。

他エリアの名ステーキ店だと、島行きのフェリーに乗り遅れるリスクがある。安全最優先なので、こちらへ伺った次第。観光客のほか、地元客も多いこちらは一年中行列が絶えない。時間に余裕を持って訪問するのが鉄則だ。

次は離島の食事だ。先月触れた通り、飲食店が少ない小さな島だ。ビーチ周辺にしてもコンビニはない。そこで一四年前も利用した奥の手を使った。島には農協が運営するスーパーがある。昼前になると、惣菜部の精鋭ネーネーたちが手作りの弁当を店頭に並べ始める。あとは惣菜とオリオンを購入してビーチに行けば、最高に幸せな気分になれる。

農協スーパーの日替わり弁当。最高の景色を愛でながらホカホカのお弁当(ビールもね)をいただく幸せ。これでいいのだ。これがいいのだ。

前編でも嫌味なことを書いたが、小洒落たビーチ沿いのカフェでは食った気がしない。まして、旅では地物をいただくのが一番と考えているので、ビーチに行く際は地元の弁当一択(プラスオリオンビール)、これが私の流儀だ。

本島や八重山方面の離島でも、島には必ず手作り弁当を提供してくれる食堂なり地元スーパーがあるので、ぜひ覗いてみてほしい。

民宿近くの万屋にてお刺身購入(ブツは本島からの入荷品)。島ダコが美味い。
離島の居酒屋にて、豆腐チャンプルー。定番の料理が美味いのなんの(お酒が進む君)
島の名食堂にて山羊汁デビュー(肉、モツ等々具沢山)。フーチバー(よもぎ)と大量のショウガとともに。濃い、いろんな意味で濃い一杯。

さて、食い物行脚を本島へと戻そう。昨年の第二八回でも取り上げたが、私は沖縄のそばをこよなく愛している。店ごとに違う出汁、個性豊かな麺。そして多彩なトッピングが楽しめるからだ。久々の本島で、どこか面白い店がないか。そんなことを呟いたら、同地出身の映像プロデューサーから情報が入った。聞けば、お店の独自製麺、しかも細麺、太麺、イカ墨等々を練り込んだ麺など多様な種類があるという。場所は首里城に近い西原町。開店直後にも関わらず、お店は混雑。

だが心配は無用だった。店主の丁寧な商品説明に始まり、的確な誘導でストレスは皆無。この間、出汁の芳醇な香りが鼻腔を刺激し続けた。いざ、太麺、そして細麺を実食。今まで相当な数の〈沖縄すば〉を食らってきたが、こちらは全く別次元の美味さだった。こうなると食い意地にブレーキがかからなくなり、冷専用麺もいただく。

西原町の大繁盛店にて、三枚肉・軟骨ソーキ・本ソーキをトッピング。冗談抜きでひっくりかえるほど美味かった。
名物の〈冷やしすば〉。沖縄では珍しいスタイルとか。もちろん、瞬間蒸発。

もちろん、あっという間に完食した。次回本島に行く際は、こちらになんどか寄るようにプランを練らねばなるまい。

短期間の取材(プラス骨休め)は瞬く間に終わる。レンタカーを返し、空港へ向かう時間が迫ってきた。普通の人なら空港内の飲食店へ行くところだが、私はしつこい。那覇在住の友人から情報を募り、沖縄メシのシメにハンバーガーをチョイスした。観光客が群れをなす国際通りの裏手にある。手作りバンズとパン、オリジナルのソース……いやぁ、これは相当に美味いぞ。ワフワフとチリビーンズバーガー(ハラペーニョ追加)を食らい、ダッシュで那覇空港に向かった。

沖縄観光のメッカ、国際通りからほんの数分。名店のバーガーは美味くてカワイイ。
レンタカーを戻す関係上、泣く泣くノンアルコール。

例によって店名は出さない。ネット検索すれば必ずヒットする。この手間すらイヤだという御仁は、全国チェーンのコンビニをどうぞ。

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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(ともに幻冬舎文庫)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。近著は『アンダークラス』(小学館)、『Exit(イグジット)』日経BP、『レッドネック』(角川春樹事務所)、『血の雫』(幻冬舎文庫)、『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)、覇王の轍』(小学館)、『心眼』(実業之日本社)、『サドンデス』(幻冬舎、9/13発売)。

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