1. Home
  2. 暮らし術
  3. 勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar
  4. 気ままなバイクおじさん、京都ルーティン編

勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2021.06.18 更新 ツイート

#15

気ままなバイクおじさん、京都ルーティン編 相場英雄

〔使用機材:RicohGR3,FujifilmX-T30〕

快晴の足柄SAにて。富士山がツーリングを祝ってくれた(この時点では)

今年一月の当欄(#10 みちのくソロツー編)で触れたが、昨秋、大型自動二輪免許を取得した。今回は、気ままなおじさんリターンライダーのバイク旅の第二回にお付き合いいただきたい(あれ、アイバはバイク替えたのか? =大人気ない言い訳は別稿にて)

 

今年三月下旬、首都圏での二回目の緊急事態宣言が解除された直後から、私のソワソワが始まった。手元には納車直後のバイクがある(遠足前の小学生と同じ)。天気予報をチラ見すると、〈全国的に晴天が続くでしょう〉と気象キャスターが笑顔で告げるではないか。

折しも、桜前線が本州全域に広がった時期である。快晴の下、ツーリングに出かけたら最高だ……新型ウイルスの温床となる“密”についても、バイクならば格段にリスクが低い(個人の見解です。医学的根拠はありません)。

脳内で複雑な方程式を解くと、思い切って京都の名割烹に連絡した。すると、平日で一名なら大丈夫だとの返答があった。そうなると、私の行動は極めてはやい。未明に起床して細々とした雑務を片付けること数日、一路、新しいバイクを駆って西を目指した。

京都入りの直前、信楽に立ち寄る。街中たぬきだらけ

バイク旅の楽しみの一つに、空気を直に感じられる点がある。例えば東名高速で広大な駿河湾を見渡せる由比のパーキングエリアを通過する際は、芳醇な潮の香が強く鼻腔を刺激した。海原にはいくつも漁船が浮かぶ。サクラエビか、鯵漁かなどと速度を抑えて走り、想像を膨らます(こういう経験が作品の風景描写に生きるのだ=本当)。

その後も安全運転に努め、昼すぎには京都入り。定宿近くの木屋町は高瀬川沿いにバイクを停める。マスクをつけ、人通りのほとんどない周辺を小一時間散策した。

京都木屋町、高瀬川沿いの街並み

〈あの新キャラが京都を訪れたらどういうリアクションをするのか〉などと、ゆっくり構想を練るのだ(この妄想が作家には大事)。

好天に恵まれた京都旅の往路。日頃の行いが良いからだと悦に入り、いつもの割烹に足を運び、絶品の懐石料理に舌鼓をうった。その後は昨年の当欄(#4 ひとりっ子の京都旅)に登場した美人ママのお店に顔を出した。さすがに片道五〇〇キロの行程を走ったため、酔いの回りが普段より速い。早々に定宿に引き揚げ、床に入る。

いつもの名割烹にてお造りで昇天
〆の一杯。禁断のからすみ、卵かけご飯
木屋町の美人ママのお店にて、本シャン

翌朝、定宿からほど近い寺町通りに向かう。深煎りのオリジナルブレンドと名物のタマゴサンドをいただく。ここ七、八年ほど京都で実践してきたルーティーンの復活だ。

寺町通りの老舗喫茶店名物、タマゴサンド

バイク旅は新幹線の時間に縛られない。思い立ったら、どこにでも行ける。新たな相棒との京都再訪を強く心に誓った。

往復の行程で偶然、同好の士と出会う

さて、帰京前に一、二箇所、神社仏閣を拝観しようかと宿に戻ったところで、異変が生じた。顔見知りのホテルマンが駆け寄ってきたのだ。

〈天気予報が急に変わりまして、この辺りは雨が降り始めます。どうかお気をつけて〉……優しい助言に慌てて部屋に戻り、帰り支度を始めた直後だった。大粒の雨が窓を叩き始めた。

駐輪場に急行し、エンジンをかけたが時すでに遅し。周囲はザザ降りなのだ。

神社仏閣巡りを諦め、雨中、しかも強風に煽られながらの復路を強いられることになった(京都から名古屋まで、新名神高速はずっと雨)。

当然、周囲の空気を感じ取れるくらいだから、ライダーは剥き出し状態だ。雨でヘルメットシールドの視界が遮られ、滑る路面に細心の注意を払わねばならない。

転倒を防ぐため肩は強ばり、ギアチェンジの連続で足も引き攣る。体力を擦り減らし、ほうほうの体で東京に戻った。そりゃ、五三歳だもの。身勝手なおじさんの思惑通りに事は運ばない(これも一興と笑う度量の広さ私にはない)。

{ この記事をシェアする }

勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

バックナンバー

相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(幻冬舎文庫、幻冬舎)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。最新作は『アンダークラス』(小学館)、『Exit(イグジット)』日経BP、『レッドネック』(角川春樹事務所)。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP