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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2021.07.18 更新 ツイート

#16

お酒が飲めないならお蕎麦があるじゃない 関東近県そば探索編 相場英雄

〔使用機材:RicohGR3, FujifilmX-T30ほか〕

奥多摩の茶店にて。名物のざると自家製こんにゃくのお刺身
 

参った。とにかく参った。冒頭からボヤキで恐縮だ。本欄のサブタイトルは〈街場の旨いメシとBar〉なのに、昨年に続き新型コロナウイルスの蔓延、各種自粛措置の連続だ。大好きなお店が軒並み時短営業を強いられている。このままではネタが枯渇する……担当Sさんと協議のうえで趣向をしばし変え、しばらくバイク旅のネタになることをご理解いただきたい。

コロナ禍により、昨春から生活パターンが激変した。勝手気ままに一五年間、自宅で仕事をしてきたが、家人が完全リモートワークとなり、毎日家にいるようになったことが一番の苦痛になった。別に後ろめたいことがあるわけではないが、非常に窮屈だ(物理的にも拙宅は狭い)。

息苦しさを紛らわす目的で昨秋大型自動二輪免許を取得した。今年に入ってツーリングの頻度が格段に増えた(感染予防のお約束は守っているので念のため)。

大型免許取得から一年も経っていないのに、走行距離は一万キロを超えた。週に一度、日帰りのペースでこれである(どんだけ一人になりたかったんだよ)。

とはいえ、綿密な計画を立てているわけではない。まずは週間天気予報をチェックし、雨の心配がない平日をいくつか選ぶ。絶対一人になりたいので、バイク仲間が誘ってきそうな週末は完全スルー。元来、渋滞が大嫌いなので高速道路が混み合う祝日もパス。

ある程度日程が固まると、次は何を食べるかのフェーズに移行する。だって、〈旨いメシ〉のエッセイを書いているくらいだから、食い意地を満たすバイク旅にするのも必須なのだ。もちろん、“密”はご法度のため、行列必至の人気店は除外となる。

これらの条件で探していくと、今まで行ったことのないエリアが浮上した。それはずばり関東近県だ。従来、取材に出るときは四輪の自家用車がほとんどだった。東北や関西方面へ一日で七〇〇キロ程度走ることもザラだったので、北関東や山梨エリアは往復の通過点にすぎず、訪れたことのない場所が意外と多かったのだ。

一人バイク旅にハマった当初から頻繁に足を運ぶようになったのが山梨県の東部だった。東京の西端、奥多摩というツーリングのメッカからほんの少し足を伸ばすだけで、ほぼ貸し切り状態のワインディングが続く。

山梨県小菅村の山道。急勾配急カーブの連続で初心者ライダーはヘロヘロに

そうこうするうち、山間の村や集落に、ポツポツとお気に入りの店ができ始めた。訪れるのは、決まって開店直後(もちろん密対策ね)。

東京の老舗のような繊細な味を求めていくのではなく、あくまで田舎の風味を頂戴するという寸法だ。地元農家のおばちゃんたちが共同で営む店などでは、地物野菜や山菜の天ぷらがこれでもかと供される。

山梨県上野原市郊外のお蕎麦屋さんにて、天ザル

二八だ十割だと小うるさいことを言わず、ご当地自慢のせいろをいただく。美味しく、好みに合えば追加でもう一枚という具合だ。

上野原市郊外の別のお店にて天盛り
上野原市郊外、別のお店。よもぎやぜんまいなど山菜が多数。東京で食べたら1000円こえ必死の盛り合わせが格安 

本来、東京の蕎麦食いは、「長居は禁物」、「満腹は野暮」だの、あれこれお約束が多い。でもね、これがちょっと東京を離れただけで、肩肘張らずにのんびりできるお店が多いのだ。

茨城県笠間市のもり。数種のもりから、田舎をチョイス

腹を満たしたあとは、各地の道の駅や農協の直販所などに立ち寄り、地物野菜や漬物を買う。当然、平日なので空いている。

山梨だけでなく、群馬や茨城、そして福島にも蕎麦を求めて足を伸ばすようになった。田舎の山間を見ながら、食べた蕎麦の余韻を楽しんでいると、どこからかこんな声が響いた気がした。

群馬県片品村、峠の茶屋にてきのこそば。お店のスタッフが収穫した“雑きのこ”がたっぷり
片品村、峠の茶屋の前に広がる絶景。奥日光から金精峠を越えると出会える
福島県南会津の店先にて
南会津の天盛り。地元産蕎麦粉の風味が強烈
南会津。店のおばちゃんが収穫した山菜と野菜天がどっさり

〈お酒が飲めないなら、お蕎麦があるじゃない〉……

こりゃまた随分なこじつけだな(あの王妃が泣いておられる)。コロナが収束して大手を振ってお酒が飲めるようになっても、蕎麦を求めるバイク旅はきっと続く。

最後に、番外でうどんも。山梨県富士吉田市の〈吉田うどん〉。豪勢に肉(馬)と生卵をトッピング。強烈なコシはさぬきうどんを上回る

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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(幻冬舎文庫、幻冬舎)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。最新作は『アンダークラス』(小学館)、『Exit(イグジット)』日経BP、『レッドネック』(角川春樹事務所)。

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