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アルテイシアの59番目の結婚生活

2021.05.18 更新 ツイート

私が嫌われてもフェミニストと名乗る理由 アルテイシア

私はフェミニストを「男女平等な社会を目指す人」だと思っている。だから「私はフェミニストじゃないけど」と前置きして「でも性差別には反対です」と言う人を見ると「いやそれフェミニストやん?」と思う。

かくいう私も昔はフェミニストと名乗ることに抵抗があった。

1つめの理由は「フェミニズムを専門的に学んだわけじゃないのに、フェミニストと名乗っていいのかな?」と思っていたから。

でも田嶋陽子さんが「私のための、私が生きるためのフェミニズムであって、フェミニズムが先ではないからね」と語っているように、フェミニストって資格とか団体じゃなく生き方なんだな……と理解して「だったらおらもフェミニスト」と思えるようになった。

 

それでも抵抗があった理由は、フェミニストと名乗ると嫌われたり、バッシングされたり、ネガティブなレッテル貼りをされることが嫌だったからだ。

そこから月日が流れ、45歳のJJ(熟女)は「オッス、おらフェミニスト!」と宣言している。

それは、やっぱり自分がフェミニズムに出会って救われたから。フェミニズムのおかげで、奪われた自尊心を取り戻すことができたからだ。

また壮絶なバッシングにも負けず「差別するな! 女にも人権をよこせ!」とたたかってくれた先輩たちのおかげで、今があると思うから。

私たちが進学したり就職したり選挙に行けたりするのも彼女らのおかげなのに、素知らぬ顔で「私はフェミニストじゃないけど?」とか言えねえな、恩返しするためにバトンをつながねえとなと思った。

それでフェミニストと名乗る覚悟を決めたわけだが、本当はそんな覚悟なんかいらない社会になってほしい。

誤解されがちなので強調しておくが、私は「人は皆フェミニストと名乗るべき」なんて1ミリも思ってない。
「私はフェミニストだ」と思う人が「私はフェミニストです」と気軽に名乗れる社会になればいいな、と願っている。

そんな社会は「男女平等を目指すなんて当たり前」が共通認識であり、全ての人の人権が大切にされる社会だと思うから。

小川たまかさんの記事『韓国のフェミニズムは盛り上がっているのに、なぜ日本は盛り上がってないの? って言われる件』には、韓国のフェミニズム事情について次のコメントが載っている。

『(韓国は)日本よりもフェミニストのイメージが悪かったと思う。どうでもいいことを騒ぎ立てる女というレッテル貼りが強くて、フェミニストと言った途端に親が怒る、みたいなところがあった』

『少し前までは、フェミニストといえば一生結婚するつもりのない女性というようなイメージで語られていた(略)けれど今は10代20代が率先して「自分はフェミニストである」と声を上げている』

私はフェミニストだと言うだけで叩かれるのなら、あえて言うようにする。どうせ嫌われるなら言ってやろう。そういう気持ちを持っている人が韓国の10~20代に多い

この言葉に「め~~~っちゃわかる!!!」と渾身の膝パーカッションをした。

私は「フェミニストと名乗って良いことあるわけ?」とか聞かれたら「……」とゴルゴのように法令線が深まる。

『エトセトラ 女性運動とバックラッシュ』にあるように、戦前のフェミニストたちは逮捕されたり拷問されたりしていた。
令和のフェミニストは逮捕や拷問は(めったに)されないが、ネットリンチにさらされる。

#KuTooの石川優実さんのように、悪質な誹謗中傷や嫌がらせに遭うフェミニストは多い。
知名度の低い私ですら、クソリプでクソまみれになるのは日常茶飯事だ。あとペニスの画像を送られるのもフェミニストあるあるだ。

ネットだけじゃなく日常生活でも、日本ではフェミニストと名乗ると色眼鏡で見られるし、やたら議論を吹っかけられる。

勝手なレッテル貼りやカテゴライズをされたり、「フェミニストのくせに○○するのか」「フェミニストなのに××しないのか」とかやいやい言われて「うっせえわ!!」と暴れ狂いそうになる。

その大変さを身をもって知っているから、フェミニストと名乗りたくても名乗れない人の気持ちはめ~~~っちゃわかる。だから他人に強要なんて絶対しない。

スウェーデン在住の友人から「スウェーデンでは男女平等なんて当たり前、が共通認識」と聞いて「おらはなぜ極東の島国に生まれたのか……来世にワンチャン」と涙した。

ヘルジャパンに生まれた私が現世でできることは「オッス、おらフェミニスト!」と宣言して、こつこつコラムを書くことだ。

そのコラムを読んだ女性たちから「私もフェミニストとして生きていくと決めました」と嬉しい言葉をいただき、冥途の土産にしようと合掌している。なんでも冥途の土産にしたがるのもJJあるあるだ。

海外ではエマ・ワトソンやアリアナ・グランデやレディー・ガガなど、多くの有名人が自分はフェミニストだと公言している。

歌手のテイラー・スウィフトはインタビューで次のように語っている。

「10代のころは、フェミニストであるということが、女性と男性が平等な権利や機会を与えられる社会の実現を目指すことだとは理解していなかった。なんとなく、単に男性嫌いの人々をフェミニストと呼んでいるような気がしたから。
でもいまは、多くの女の子たちが正しい意味を理解するようになったので、自分の中のフェミニストの部分に目覚めていると思う」

テイラー自身は、仲のいい女友達からフェミニズムの意味を教わったことで「私は自分で主張したことはなかったけれど、実はずっとフェミニストだったんだと気づいた」と語っている。

そんな彼女がセクハラ被害をきっかけに「口に貼っていたテープを剥がす時がきた」「グッドガールをやめよう」と決意する経緯を描いたNetflixのドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』をぜひ見てほしい。

ちなみに私は「ミス・アメリカーナの話をするたびに泣く人」の異名をもつJJだ。

同じくNetflixのドキュメンタリー『ミス・レプリゼンテーション 女性差別とメディアの責任』にはこんな言葉が出てくる。

「見えないものには、なれない」「お手本がないと、女の子はそれを目指せません」

テイラーやアリアナやガガのような憧れのスターがフェミニストと名乗ることに勇気づけられる少女は多いだろう。この熟女も大いにエンパワメントされている。

世界的な影響力を自覚して、それを正しい方向に使おうとする彼女らの姿に、島国の熟女もふんどしを締め直した。この「ふんどしを締め直す」も男性由来のワードっぽいので「アナルを引き締める」を使っていきたい。

緊褌一番じゃなく緊穴一番で続けると、「フェミニストってモテないブスのババアだろ」という悪口に「エマ・ワトソンもフェミニストだけど?」と世界中の女性が返しているんじゃないか。

私もエマ・ワトソン返しを使っていたが、これもルッキズムに加担している気がするので「お前の話はつまらん!!」と大滝秀治のものまねで返したい。この意味がわからない人は周りの中年かグーグル先生に聞いてほしい。

もしくは「フェミニストって……何かね」と菅原文太のものまねをして、カボチャで頭をかち割りたい。

エマ・ワトソンは「女性がフェミニズムという言葉を使うのに怯えていたら、一体どうやって男性も使い始めるようになるのでしょうか?」と語って、ジェンダー平等の実現のために、男性にもフェミニズムに参加してほしいと呼びかけている。

ちなみに私は「エマ・ワトソンの国連スピーチの話をするたびに感極まる人」の異名も持つ。

エマ・ワトソンが国連スピーチで語ったこと。「なぜ、フェミニズムは不快な言葉になってしまったのでしょうか?」

こちらの記事にエマ・ワトソンが2014年に国連本部で行ったスピーチの全文が載っているので、ぜひ最後まで読んでほしい。(彼女がスピーチをした12時間以内には、脅迫メールが届いた話も載っている)

こちらのスピーチから一部を引用する。

『私がこれまで見てきたことを、この与えられた機会に発言することが使命だと思います。
イギリスの政治家、エドマンド・バークはこう言いました。「悪が勝利するために必要なたった一つのことは、 善良な男性と女性が何もしないことである」。

このスピーチをするにあたって、不安や迷いが湧き上がったとき、自分自身に堅く言い聞かせました。

私でなければ、誰がやるの? 今やらなければ、いつ?

もしみなさんも、機会を与えられて自分を疑うような場面に出合ったら、この言葉が役に立てばと思います。

なぜなら現実として、私たちが今もし何もしなければ、女性が男性と同量の仕事をして同じ賃金をもらうのに、75年もかかるのです。私は100歳になってしまいます。

1550万人もの女子は、これからの16年で子どもの間に結婚させられます。そして、現状だと、アフリカの農村部のすべての女子は中等教育を受けるようになるには2086年までかかってしまうのです。

もしみなさんが平等を信じているならば、みなさんは、先ほど話した無意識のフェミニストなのかもしれません。
そんなみなさんを賞賛します』

私はエマ・ワトソンのお母さんみたいな年齢だが「ワトソン先輩、ついていきます……!」と思った。

日本にも田嶋陽子さんを初めとして、尊敬する先輩がいっぱいいる。一緒にたたかうフェミニスト仲間もいっぱいいる。

フェミニストを名乗ることで、たくさんのすばらしい女性たちとつながることができた。シスターフッドの強さや優しさを知ることができた。
20代の頃はフェミニズムの話ができる友達がいなかったけど、今は愉快なフェミ友がいっぱいできて、孤独じゃなくなった。

だからやっぱり私はフェミニズムに感謝しているし、「オッス、おらフェミニスト!」と胸を張って生きたいと思う。

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アルテイシアの59番目の結婚生活

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アルテイシア

神戸生まれ。現在の夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った『59番目のプロポーズ』で作家デビュー。 同作は話題となり英国『TIME』など海外メディアでも特集され、TVドラマ化・漫画化もされた。 著書に『続59番目のプロポーズ』『恋愛格闘家』『もろだしガールズトーク』『草食系男子に恋すれば』『モタク』『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』『オクテ男子愛され講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『アルテイシアの夜の女子会』など。最新作は『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』がある。 ペンネームはガンダムの登場人物「セイラ・マス」の本名に由来。好きな言葉は「人としての仁義」。

Twitter: @artesia59

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