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勉強って何のため?

2021.04.30 更新 ツイート

だから古典は面白い(第1回)

ドラッカーを読むより聖書を読もう 野口悠紀雄

古典とは時代を超越した作品であり、決して古くなることがない――。無類の読書家として知られる経済学者の野口悠紀雄さんは、次々刊行される経営書やビジネス書を乱読するより「古典」を読もう、と言います。なぜなら古典には、仕事や人生の深い洞察が凝縮されているから。そしてそれが今も役に立つから。勉強は自分の血肉にしないともったいない!大反響の『だから古典はおもしろい』(幻冬舎新書)から試し読みをお届けします。

 

1.ベストセラーを読みたいなら、まず聖書

Saint Peter holding the key of heaven statue on Holy Angel Bridge in Rome, made in the 17th century by sculptor Lorenzetto(写真:iStock.com/Crisfotolux)

史上ベストセラー第1位

最初に印刷された書籍は、聖書です。

それ以来、いまにいたるまで印刷され続けているので、聖書がベストセラーの人類史上第1位であることは間違いありません。

 

今後読み続けられるであろうことも、多分間違いありません。

「ベストセラーは必ず読もう」とお考えであれば、何を措いても、まず聖書を読まなければ、話になりません。

しかも、読もうと思いさえすれば、簡単に読むことができます。

昔からそうだったわけではないことに、注意してください。

 

活版印刷技術が発明され普及する前の時代において、文書の複製は筆写しか方法がありませんでした。聖書は、修道院の聖職者によって筆写されていたのです。これは大変な作業でした。したがって、普通の人が聖書を読みたいと思っても、読むことはできなかったのです。

また、聖書はラテン語で書かれていたので、仮に筆写本に接することができたとしても、普通の人には理解することができませんでした。聖書の教えを知るには、教会に行って聖職者の説教を聞くしか方法はなかったのです。

いまでは、聖書を読もうと思えば、簡単に手に入れることができます。しかも、翻訳があるので、ラテン語の知識がなくても読むことができます。

このような環境を利用しないのは、本当にもったいないことです。

文学や絵画を理解するために、聖書の知識が必要

聖書は、文学作品に頻繁に登場します。少なくともキリスト教圏においては、聖書の物語は誰もが知っているものだからです。

したがって、聖書を知らないと、文学作品の多くを理解できないことになります。とりわけ、ドストエフスキイの作品は、聖書を知らないと理解できません。

キリスト教徒でない私が聖書を読んだのは、文学作品に登場する聖書の引用の意味を知りたかったからです。

絵画のテーマも、聖書にかかわるものが数多くあります。というより、ルネッサンス以前の西洋絵画のほとんどは、宗教画でないにしても、聖書に題材をとったものです。

The fresco of St. Giuseppe in Duomo by Giuseppe Sciuti, Acireale(写真:iStock.com/sedmak)

これは、ラテン語で書かれている聖書の物語を人々に理解させるには、絵画を用いるのが効果的だったからでしょう。

いまの私たちは、聖書を知らないと、西洋絵画に何が描かれているのかを理解できないことになります。

これも、私が聖書を読んだ理由の一つです。牛に引かれて善光寺参りをしたようなものです。

 

(第2回へ続く)

関連書籍

野口悠紀雄『だから古典は面白い』

「最近、本の質が落ちた」と感じる人が多いと聞く。無類の読書家であり経済学者の著者は、そんな人にこそ「古典を強くすすめる」という。「古典に新しい情報はない」と思うのは早計だ。組織のメカニズムを知りたければトルストイの『戦争と平和』、人を説得する術を知りたければシェイクスピアの『マクベス』。人が作った組織や人間の心理は昔から基本的に変わっておらず、トルストイやシェイクスピアといった洞察力を持った作家が書いたものは、現代人に多くのことを示唆するのだ。著者が推薦する本を読めば、そのめくるめく世界観に心浮き立つだけでなく、仕事で役立つ知識も身につくこと、請け合い!

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コメント

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中村真之介  「ベストセラーを読みたいなら、まず聖書」❗️おおっ/ドラッカーを読むより聖書を読もう|勉強って何のため?|野口悠紀雄 - 幻冬舎plus https://t.co/w0Z1OzBwRj 6日前 replyretweetfavorite

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野口悠紀雄

一九四〇年東京生まれ。六三年東京大学工学部卒業、六四年大蔵省入省。七二年エール大学でPh.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、二〇一七年九月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書に『情報の経済理論』(東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)などがある。

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