
バレエのレッスンに行くのは自粛していますが、今朝はいよいよガマンならず、もうほとんど出かけそうになりました。
身なりを整えコートを着て、内なるワシの声を無視してコエダメにダイブ. . する、すんでのところでワシが勝ちました。私の内なるワシ、エライ。そんなわけで、今は仕事机の前に座っています。(何のことかわからない方は、藤井風『何なんw』をお聴きください)
レッスンに行く行かないはそれぞれ考えがありますし、置かれている状況も違います。自分のためだけではなく、先生のためにと通い続ける人もいます。私もできればそうしたいけれど、他府県、公共交通機関利用、感染者の多い地域から少ない地域への移動ということを考えると、やっぱり行かない選択になっています。
さて、先週はローザンヌ国際バレエコンクールの配信がありました。昨年1位になったMarco Masciariさんの、友人に向けた感動的なスピーチ(第32回参照)からはや1年。まだ1年。けれども、遠い昔のような気がします。
今年は例年のように、出場者が一同に会してレッスンを受けることも、舞台に立つこともできないので、ビデオ審査という形で行われました。マスクを着けた審査員がホテルの広いホールにディスタンスを保って着席し、出場者が各々のスタジオで撮ったクラスレッスンとバリエーションのビデオを見て4日がかりで選考します。
5日目、6日目のセミファイナルとファイナルもビデオ審査です。こちらも各スタジオで撮ったクラシックとコンテンポラリーのバリエーションによる選考です。
いつもは素晴らしい指導者たちによる4日間のコーチングで、また、ライバルたちとともにレッスンすることで、出場者たちの踊りも身体も猛烈な勢いでブラッシュアップされていきます。初日とセミファイナルのときとでは別人のように変化する出場者もいます。若い人たちの吸収力に驚くばかり。
入賞するかどうかも大切ですが、ここに参加し、この場でレッスンを受けること自体が、出場者の将来に大きな影響を及ぼすように感じていました。
が、今年はそれは叶わず。各自が慣れ親しんだスタジオで撮ったビデオによる審査だったので、セミファイナルもファイナルもどこかのんびりした雰囲気でした。
しかしながら、78人分のビデオを真剣に見るのは大変な作業です。モニターを見つめる審査員の姿からは、現状の中でベストを尽くそうという気概が感じられました。司会の方による「私たちは78の違ったクラスレッスンを見ることができるわけで、それは興味深いことだよね」という前向きな解釈にもハッとさせられました。
ビデオであっても、輝く人は輝いていて、Antnio Casalinho さんの1位には視聴者も納得だったようです。5位の淵山隼平さんは2度目の出場とのこと。入賞も素晴らしいけれど、このコンクールに2度選出されるということは、何度見ても良いですよと太鼓判を押されたようなもので、それもまた素晴らしいのではないでしょうか。
表彰式で、エグゼクティブディレクターのKathryn Bradneyさんが少し涙ぐんでいるように見えました。今回の開催には多くのご苦労があったことでしょう。特に、昨年から非常に厳しい状況に置かれているヨーロッパでの開催。コロナは私たち以上に切実に、身近にある問題なのだと思います。それでも、若い人たちの機会を奪わない決断には敬意を表したいです。
もう一つ、パリオペラ座のガラ公演 も繰り返し観ています。
いつかは生で観たい憧れのデフィレは、バレエ学校の生徒からエトワールまでが順に行進するお披露目のようなもの。基本歩くだけですが、美しい足運びはそれだけでバレエで、見飽きることがありません。また、階級ごとにお揃いのシンプルな衣装で勢揃いした様子は荘厳で、その全体図は有機的で、何か一つの生物のようにも見えます。全員がマスクを着用していることが今を象徴していました。
オペラ座のトップダンサーによるGrand pas classique、In the night と続き、最後の The vertiginous thrill of exactitude ではダンサーたちが踊りに踊ります。踊りまくる。いや、これ、素人目に見ても、踊る人は相当大変なんじゃなかろうか。動きが速くて描くのも大変でした。女性の円形のチュチュが面白いのと、男女の衣装の配色がとても好きです。
およそ1時間ほどですが、中身のぎゅっと詰まった見応えのある配信です。
まだしばらくは、配信を見たり筋トレをしたりして、レッスンに行きたい気もちをやり過ごすつもりです。最近、clubhouseというのを始めて、夜な夜なバレエな方たちのお話を聴くという新たな楽しみもできましたし。
私の内なるワシに、もう少しがんばってもらいます。
大人バレエの世界

いくつになっても憧れる華やかなバレエの世界。アラフォーからバレエを始めた著者による、楽しく、たくましく、哀しくもおかしい“大人バレリーナ”の日常。
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