『ビリギャル』のさやかちゃんは、「たまたま」でも「もともと才能があった」わけでもない。
……と言われても、信じられないなあ~という方。
これを読んでみてください。
話題の『才能の正体』が文庫になって登場! 750円(+税)で購入できるようになりました! しかも、巻末には「「才能」について2020」の書きおろしもついています。
* * *
「才能」という言葉の意味を、分析してみた
あなたは「才能」って何だと思いますか?
才能という言葉は、わりと使いやすい言葉です。「才能があれば良かった」「もともと才能に恵まれている」「才能を伸ばしたい」「やっぱり才能がない」……。
うまくいったときも、うまくいかないときも。急に成績が伸びたときも、赤点を取ったときも。自分の子どもに期待をかけるときも、人が成功して羨ましいときも。失敗を悔やむときも、新しい試みに向かうときも。スポーツ観戦しているときも、音楽を聴いているときも、絵を描いているときも、料理をしているときも。思い返してみると、なかなか使う頻度の高い言葉ではないでしょうか。
才能という言葉について説明してください、と言われたら、「持って生まれた、すぐれた能力」といったニュアンスになる人が多いのかなと思います。
実際に『日本国語大辞典』を引いてみたところ「生まれつきの能力。また、その働きのすぐれていること。才幹。」と書いてありました。
一方、『大辞林』を引いてみたところ「物事をうまくなしとげるすぐれた能力。技術・学問・芸能などについての素質や能力。」とありました。「素質」というのは生まれつき備わっている性質のことですから、やっぱり「才能」は生まれつきのものなのか、と思うでしょうか。
結局、多くの人は「やっぱり才能って、生まれたときに決まってるんじゃないか」「結局、最初から才能を持っていなければ無理ってことでしょ」と言いたくなるでしょう。
しかし、その考え方は半分正しいですが、半分間違っています。今すぐその考えをなくした方が、人生がぐっと楽しく明るくなるので、ぜひ、僕の話を聞いてください。
なぜ、僕がこう断言するのか、ご説明しましょう。
才能とは、生まれつきの能力だ。この一文に違和感を覚える人はいないと思います。
その通りだ、という声も聞こえてきそうです。しかし正確に言うと、「才能=能力」ではありません。
「能力」というのは、コツコツと努力を続けられれば、誰でも身につけることができ
ます。
この「能力」が高まっていくと、人よりも飛び出たり、尖ったりする部分が出てきて、やがてそこが「才能」として認められるようになるのです。
もう少し辞書に頼ってみましょう。
「才」という字は、『新漢語林』によると「草木の芽」という意味を持つ漢字だとあります。また『大辞林』によると、「角」と同語源だとあります。つまり「飛び出てきた、尖った」という意味合いを持つ文字なのです。
ということは、能力の飛び出た 部分が「才能」であり、天が与えた、飛び出た部分がある人が「天才」、ということになりますね。
そうそう、最後にもうひとつ。『広辞苑』で「才能」を引いてみると「才知と能力。ある個人の一定の素質、または訓練によって得られた能力。」とありました。僕は、この解釈が好きです。なぜなら……その理由は、本書を読んでもらえれば、わかっていただけるはずです。
ちなみに、「才能」って言葉、辞書によって表現がかなり違っていて面白いです。
よろしければ、いろいろ調べてみてください。
大きな勘違いによって、僕は「才能」の本質を知りたくなった
これはもう本当にお恥ずかしい話なんですが、僕は子どもの頃、自分のことを天才だと思っていました。周りからも「天才だ」とか「この子は神童だ」とか言われ、すっかりそうだと思い込んでいたんですね。実際に勉強はできる方だったので、調子に乗っていたところもありました。
ティーンエイジャーになっても「自分は天才だ」と調子に乗っていた僕を見かねたのか、母が、ある日僕を呼び出して、「あんた、知らんかもしれんけど、ちょっと言っとくわ」と、衝撃的な話をしてくれたのです。それは、僕が幼稚園生のときに受けたIQテストのことでした。
ちなみに、僕の実家は、九州の田舎で幼稚園(現在はこども園)をやっています。そこで今も働いてくれている、ヒサエ先生という方がいらっしゃって、僕も幼稚園のときにお世話になっていました。母によると、当時、僕はIQテストを受けたそうなのですが、その点数があまりにも悪かったので、僕の担任であったヒサエ先生は「信貴くんがそんなはずはない」と心配になり、まったく同じテストをもう一回受けさせたのだとか。そうしたら2回目は、普通レベルよりも少し上、くらいの結果が出た。
「何かの間違いだったんだな。良かった良かった」と、その結果を提出した……という話でした。しかし、一度やったテスト問題の2回目ですから、いい点が出て当たり前。そもそも“初見”でやらないと意味がないテストです。
母は、僕のことを、“才能”という意味では、他の人より圧倒的に劣っているんじゃないかと思っていたので、調子に乗っている僕に、戒めのつもりで話してくれたのだと思います。
ところが、そのとき高校生になっていた「自称天才」の僕としては、「ええ!? 今になってそんなこと言う?」です。それはもう、心をバキバキに折られました……。
しばらくは落ち込んでいたのですが、ある日ふと思い直しました。
だったら、今まで僕のことを、周りの人が天才とか神童とか言ってたのって、何だったんだろう? と。
IQ(=多くの人が『才能』を数値化できると思っている指標)なんて、実際には才能と関係ないんじゃないか? と思い始め、であれば、才能って、どういうものなんだろう? と考えるようになったきっかけが、これだったのでした。
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才能の正体
コロナ禍は、学習シーンにも大きく影響し、休校になったり、授業がオンラインになったりした。学校の授業だけでなく、塾も、部活も、コロナ前の体制に戻るには時間がかかりそうだ。いや、そもそも、戻らないのかもしれない。
でも、だからといって、能力を伸ばせなくなったわけではない!
「才能の本質」について知れば、体制に関係なく、能力を伸ばすことはできる。
学年ビリのギャルが1年で偏差値が40も上がり、慶応大学に合格できたのは、坪田先生との出会いのおかげだが、その『ビリギャル』の坪田先生が、「才能とは何か」について余すことなく書いたのが、ベストセラー『才能の正体』。
その『才能の正体』が文庫化されました! 文庫化記念で、本文を公開します。
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