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才能の正体

2018.12.02 更新 ツイート

子どもや部下を信じれば「才能」は伸びる。でも「信じる」ことは難しい!坪田信貴/はあちゅう

「ビリギャル」の坪田信貴さんの新刊『才能の正体』に大いに共感&感動してくださったはあちゅうさん。
そこでおふたりの対談が実現。
はあちゅうさんのオンラインサロン公開対談のリポート、後半です!
参加者からの質疑応答もありますよ。

実は「優秀な人材を採ると企業は儲からない」というジレンマ

 

はあちゅう 坪田さんの主催する坪田塾では、他の企業では絶対に雇われないようなユニークな経歴の人を多く採用しているそうですね。

坪田 「36歳の元警視庁のスナイパー」「1ヶ月連続の休暇を条件に出す36歳のバックパッカー」など一般常識的な採用基準を外れた人が坪田塾にはいます。そして今は、彼らが塾にとって重要なポジションに就いています。

はあちゅう この話を聞いて坪田先生は、人の美点を探す能力に長けていると思いました。

坪田 ありがとうございます。僕は、塾以外にも企業研修や人材育成の仕事もしているのですが、そこで社長さんたちに必ず言うことがあるんです。それは、「いい人材を採ろうとするな」ということ。一般的には高学歴な人や即戦力になりそうな人を採ろうとしますが、実は大きな間違いなんです。

はあちゅう なぜでしょう?

坪田 会社経営という根本的な観点でいうと、もっとも効率よく利益を上げるためには、“コストがかからない人”に利益を上げてもらうことが大事です。そのほうが利益率が高くなるからです。

はあちゅう 最初からできる人はその分、年収も高いですよね。

坪田 企業としては、年収が低い人をデキるように育てることが一番儲かるんです。儲からないのは、最初からいい人を採ろうとするから。それを言うと社長さんたちも皆、「確かに!」とおっしゃるんですよ(笑)。

はあちゅう 確かに!

坪田 つまり利益率が高いのは、教育力の高い人と言えます。これは家庭の教育に関しても同じことが言えます。親が子どもを優秀に育てたら、一生自分も食いっぱぐれなくなる、なんて話もありますよね。つまり教育は、一番のセーフティネット。家庭でも会社でも、子どもや社員を育てれば、親や社長さんは最終的には自分で何もする必要がない。

はあちゅう なるほど。ただ子どもや社員が育つまでのどれだけ時間がかかるのか、どれだけ信頼できるのかと思ってしまいます。

坪田 要は「どれだけの時間を我慢できるか」ということだと思います。特に子育てのほうが社員教育より時間が長いですからね。

はあちゅう 社員の場合なら「この人、メールの書き方がなってないけど、本当に大丈夫かな」と不安になりますよね。

坪田 会社の中には売り上げもないし、ヤル気もない人や、斜に構えたような態度の人もいると思います。でも彼らも彼らで、実はこれまでにさんざん虐げられて生きてきた、という過去もあったりする。そういうときには同じような角度で一緒に斜に構えてみたり、「一緒にいられることが楽しい」と同じ目線で接しています。そうやっていたら、「この人を男にしよう!」と思ってくれるんですよ。

はあちゅう 時間はかかっても、そこで得られる信頼関係はすごいものですね。

「疑うよりも、信じるほうがラク」
これが、”ビリギャル”を大成功させたお母さんの考え方

坪田 「ビリギャル」では、「ああちゃん」というお母さんが出てくるのですが、あの人の「子どもを信じる力」はすごいものがあります。そもそも彼女の本名は、「イズミ」みたいな名前で「ああちゃん」とはかけ離れている。それなのに子どもには「ああちゃん」と呼ばせてるんです。

はあちゅう なんで「ああちゃん」と呼ばせているのですか?

坪田 子どもが小さいときに「お母さん」と言えなくて「ああちゃん」と言ったらしいんです。でも彼女は途中で「お母さんだよ」「イズミと呼びなさい」なんて修正せずに、子ども本人が呼びたいように呼ばせていた。

はあちゅう その末の「ああちゃん」なんですね。

坪田 これこそ子どもが本来、やりたいようにやらせるという教育の真髄だと思いました。そしてあるとき、映画のインタビューで記者さんから「子どもはどこまで信じたらいいですか? 信じるって難しくないですか?」と聞かれたのですが、その際、彼女は「疑うほうが大変です」と答えたんです。疑うためには、毎回「これは本当かな」「これってどうなのかな」といちいち考えないといけないけど、信じると決めたらラクなんです、とおっしゃっていました。

はあちゅう それはすごい、名言ですね。

坪田 何があっても「信じる」と決めた瞬間に、疑う必要がなくなるんですよね。また僕自身も社員には、成果を求めていません。いつも言うのは、「死ぬときに『あの人と一緒に働けて最高だった』と言えるような人生を過ごしたいね」ということ。もちろん短期的な失敗や目標に届かないこともあります。しかし僕が社長の在任期間中には誰一人として社員は辞めないんですよ。それは僕が優秀だからじゃなくて、社員さんたちが僕を信頼してくれて、同じ目標に向かって走り続けてくれているからだと思って感謝しています。

はあちゅう そろそろ、会場からの質問をお聞きしてみましょう。

Q:塾の経営をしているのですが、親御さんと意見が合わない
A:考えの違う人には、短期的な成果を見せる

Q 塾を経営しています。僕自身は、坪田先生のように「学習を通して生き方を伝えたい」と思っているのですが、親御さんの中には「生き方はなんていいから、とにかく成績をあげてくれ!」という考えの方もいます。「理論や信念が違う方は、お断りだ」と思うこともありますが、実際の現場では、どのように折り合いをつけていけば良いでしょうか?

撮影/やわらかゆーすけ  やわらかゆーすけさんのtwitterはこちら→https://twitter.com/yawarakayyman

坪田 「自分の考えと合わない人は来るな」というのは違うと思います。僕はむしろ「この親御さんは面倒だな」という教育ママタイプにうちの塾へ来てほしい。教育の場では、「合う・合わない」で人を選んではいけないと思うんです。実際に教えていると、教師にとって「合う生徒・合わない生徒」が出てくる。しかし、「合う生徒」というのは、単に教師に対して優しく接してくれているだけなのではないか。生意気な生徒や考えの方向性が違う人を指導できてこそ、本当の意味で「教育のプロ」だと思います。教育方針が違う親御さんには、短期的かつ劇的に成果を見せると急に信頼してくれる。短期的に相手のニーズに合わせて成果を見せて、信頼させること。するとこちらの言葉に説得力が出てくる。逆に実績がない間にいくら正論を言っても、説得力がないので聞いてくれません。

 これは教育だけじゃなくて、「市場」という言い方でも同じことが言えます。たとえば自分のレストランを持つことを夢見ているフランス料理のシェフが本場へ修行に行って、すごい技術を身につけて日本に帰ってきたとしましょう。しかしそんな凄腕の料理人でも、田んぼの真ん中にフレンチレストランを作ったらすぐに潰れてしまう。もしも田んぼの場所にレストランを作るなら、もっと庶民が足を運びやすいカレー屋さんや牛丼屋さんにするのが正解です。理由は市場のニーズに合っているから。牛丼屋としての評判を上げて、そこから自分のやりたい味に変えていくほうがいいと思います。

 ちなみに僕の例で恐縮ですが、「ビリギャル」はこれまでに124万部売れました。当然、書いたこともないのに語るのと、書いたものが売れてから語るのは、保護者の反応も変わります。本が売れて、映画も公開されるようになると、こちらが実績を明らかにする前に、保護者がメモを持って僕の話を聞いてくれるようになった。本がヒットして実績を作ったことで、これまで以上に塾での指導がラクになりました。

Q:生徒がプライベートな問題で悩んでいたら? 
A:勉強なんて、どうでもいい。必要なのは、試練のときに「支え」を見つけること

Q 生徒がもし家庭やプライベートな問題、進路で悩んでいるとき、先生はどのようなコミュニケーションを取ることを心がけていますか?

坪田 生徒のプライベートな問題になると、僕は意外と熱いですね。生徒からSOSがあったら深夜まで話しこんだり、家出の知らせが入ったら、夜中に探しに行ったこともあります。勉強を教えることは、正直どうでもいいんですよ。「応仁の乱が何年に起こったか?」なんて正確に答えられられなくても、みんな立派な大人になっている。でも家庭の問題は、それが起こっている範囲は小さくても、渦中にいる本人にとっては大きな問題であることが多い。また年齢によって問題の大きさが変わってくることもあります。試練をいかに乗り越えるか、そして同時にどんな支えを見つけられるかも重要です。真剣に向き合ってくれる人が一人でもいると、大人になってより大変な試練が起きても、「あの人だったらどんなことを言うかな?」と思い起こしてくれる、それも大事だと思います。短期的な塾の実績には繋がらないかもしれないけど、指導者としては、勉強を教えるよりも大事なことだと考えています。

Q:学生なのですが、人のノリを真似したくないです
A:デキる人の行動は、一度徹底的に真似をしてみるといい

Q.僕はまだ学生なのですが、周囲の人がSNSで発信しているのを見ると、そこにあえて「ノリたくない」と思ってしまいます。また就職に関しても同じです。他の人は就活に精を出していますが、僕は就職せずに、自分を仕事にしたい、と考えています。でも正直、言うと先生の本に「デキる人の行動を完コピせよ」とあったように「学生のうちは、誰かのマネをしたほうがいいのかな」と揺れることもあります。そんな僕へのアドバイスをお願いします。

坪田 自分より年齢が上の人たちがすでにいろんなことやって、彼らが成功しているのを見ると憧れて、羨ましく思う。でも、「だからといってそのまま真似するのもなんだか気が引けてしまう…」そういう気持ち、僕は非常に共感します(笑)。でも一度は徹底的に誰かの真似をしてみるのもいいと思います。そのあとは、プライドの問題ですよね。真似してみても、「あとで誰かに『それって結局、真似じゃないの?』とツッコマれたら恥ずかしい」などと先回りして思ってしまったり。僕自身もそう思ってしまうことがよくあります。
そこで重要なのは「これは自分のオリジナルではなくて、〜〜さんの真似をしています」と出どころをハッキリ言うこと。引用元にリスペクトを払うことです。
子どものころに学校で習字の授業があったと思います。そのときには、お手本を見て、そのとおりに書きますよね。でもそのうちに書体は、自分のオリジナルになっていくものです。
今は、ぜひ徹底的に「いいな」と思う人の真似してください。そこから見えてくるものがあるはずです。

(取材・構成/アケミン)

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才能の正体

「あの人は才能があっていいなあ」
……誰でも一度は、言ったり、思ったりしたことがあるのでは?
でも、「才能」って何なのか、答えられますか?

大ベストセラー『ビリギャル』の著者、坪田信貴さんは、
学年でビリのギャルを、慶應に現役合格へ導いた、奇跡を起こす先生です。
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実は、社会人の人材育成&組織改革でも実績を上げている方。

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坪田信貴

坪田塾塾長。心理学を駆使した学習法により、これまでに1300人以上の子どもたちを「子別指導」、多くの生徒の偏差値を急激に上げてきた。 一方で、起業家としての顔も持つ。また、人材育成、チームビルディングの能力が多くの企業から求められ、マネージャー研修、新人研修を行うほか、現在は吉本興業の社外取締役も勤めるなど、活躍の場は枠にとらわれない。テレビ、ラジオ、講演会でも活躍中。 著書に映画化もされて大ベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』のほか、『人間は9タイプ 仕事と対人関係がはかどる人間説明書』『バクノビ 子どもの底力を圧倒的に引き出す339の言葉』『どんな人でも頭が良くなる 世界に一つだけの勉強法』『才能の正体』ほか多数あり 。

はあちゅう ブロガー・作家

慶應義塾大学法学部卒。電通コピーライター、トレンダーズを経てフリーに。「ネット時代の新たな作家」をスローガンに、ネットと紙を中心に媒体を横断した発信を続ける。著作に「半径5メートルの野望」(講談社)など。月額課金制個人マガジン「月刊はあちゅう」が好評。
ツイッター・インスタグラム:@ha_chu
月刊はあちゅう https://note.mu/ha_chu

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