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才能の正体

2020.06.30 公開 ポスト

“高すぎるハードル”も「認知」次第で、越えることができる!坪田信貴

「地アタマ」も「やる気スイッチ」も幻想!そんなものはありません。
であれば、どうやって、能力を伸ばしたらいい?

いよいよ、その根源的な問題を、具体的に説明していただきましょう。
坪田信貴先生の『才能の正体』文庫化にあたり、本文公開いたします。

*   *   *

やる気のもとである「動機付け」を分析してみた──まず「何をどう認知しているか」

この「動機付け」について、もう少し考えてみましょう。

少し専門的な説明になりますが、動機付けは、「認知」「情動」「欲求」の3つの行動から成り立ちます。

まずは「認知」から説明していきましょう。さきほども「認知」という言葉を出しましたが、才能について考えるときにもとても重要なキーワードなので、ぜひ理解しておいてください。

たとえば、読書経験が浅い人が、プルーストの『失われた時を求めて』や、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』などの大長編を目の前にしたら、「こんな分厚い本、無理! 絶対に読み切れない」と思って、読む前から諦めてしまうでしょう。

しかし、一見すると“高すぎるハードル”も、「認知」次第で、越えることができます。さっそく具体的に考えてみましょう。

目の前に500ページの本があります。これを20日間で読み終えたい。さて、どうしたらいいでしょうか?

答えはとてもシンプル。一日25ページずつ読めば、20日間で読み終えられます。25ページなら、できそうではないですか? さっそく今日、25ページ読んでみようと思うはずです。

人間というのは「これなら自分にできそう」で、しかも「これはきっと人生の役に立つに違いない」と思えたら、行動に移すものなのです。

これが「認知」です。

(写真:iStock.com/Hakase_)

ところで、この認知には、かなりの個人差があります。面白いエピソードをご紹介しましょう。

バンクーバー・オリンピックとソチ・オリンピックに出場し、現在はプロフィギュアスケーター、解説者、振付師として活躍する鈴木明子さんとお話ししたときのことです。鈴木さんは、2018年の平昌冬季オリンピックのテレビ中継でフィギュアスケートの解説をされていたのですが、その解説に感激した僕は「とても素敵な解説でした」とお伝えしました。すると鈴木さんは「初めてオリンピックを見て、楽しかったです」とおっしゃる。ずっと選手として活躍し、オリンピックに出場したこともある方なのに不思議なことを言うのだなあと思って聞いてみると、「オリンピックって、参加するものじゃなくて、見て楽しむものなんだなって思いました」と。

びっくりしました。これは、オリンピックに参加したことがある人だから言える言葉でした。幼いときからフィギュアスケートをやっていた鈴木さんにとって、オリンピックは「見るもの」ではなく「出場するもの」と“認知”されていたということなのです。

このように、認知次第で、今、目の前に広がっている世界の見え方も、価値観も、がらりと変わります。それによって、その先の歩き方や組み立て方が変わってくるのですから、スタート地点で「自分が(子どもが/部下が)、何をどう認知しているか」を冷静に正確に観察することが大切なのです。

そして、「(子どもや部下が)面白いと思える視座」を与えられれば、動機付けなんていくらでもコントロール可能なのです。

「高すぎるハードル」を乗り越える秘訣

動機付けに必要なこととして、まずは、対象を正確に「認知」する。そして、自分にそれができるのか、それともできないのか、を判断する。──ということを、前項で述べました。

動機付けの理論として、「情動」や「欲求」という観点についても説明しましょう。

「情動」というのは、バーンと感情が燃え上がってテンション上がるわ~、となる状態です。

テンションが上がらないと、何事も続かないものです。イヤイヤ続けているようなものが長く続いた試しはないでしょう。結局やめてしまいますよね。親に無理やりやらされる算数のドリルや、行きたくないと思いながら通っている習い事などが長続きしないのは、このせいです。

この「テンション上がるわ~の状態」=「情動」というのは、別の言葉で言い替えると「感情」です。過去の経験の積み重ねで生まれる「感情」であったり、現在進行形のものに対する「感情」です。

そして、もうひとつの動機付けの理論が「欲求」です。

「欲求」は、「本当に自分がそれをやりたいと思うかどうか」です。

たとえば、新しいことはテンションが上がりやすいものです。それが楽しければ、ますますテンションは上がりますよね。しかし、一時的にテンションが上がってやったことが、後になって「なんでこんなことしたんだろう?」となる経験、皆さんもありませんか。「計画していなかったのにやってしまった」というのがそれです。「衝動買い」がいい例ですし、そういう要素で起こってしまう犯罪も多くあると思います。

こういう一時的なものは、動機付けにはなりません。自分がそれを本当に続けたいという気持ちがあるのかどうか、すなわち、ある程度安定した心理的エネルギーとしての「欲求」があってはじめて、「動機付け」になるのです。

ここで、『ビリギャル』のさやかちゃんのケースを、「認知」「情動」「欲求」の3つに分析してみましょう。

さやかちゃんはまず僕のところへやってきて、出された課題をこなしていきました。その過程で、自分はどれができて、どれができないのか「認知」していきました。

勉強というのは、自分ができるようになっていくと、どんどん面白くなっていきます。それに伴って成績が上がっていく。すると「情動」が刺激され、さらにテンションが上がっていきます。

さらにさやかちゃんには「慶應に合格したい」「お父さんや先生を見返したい」という強烈な「欲求」があるので、動機付けが持続していった。するとそこがさやかちゃんの“尖り”となって、やがて「才能」と呼ぶべきものになっていったというわけです。

関連書籍

坪田信貴『才能の正体』

“地アタマ”は幻想。才能の芽は誰にでもある。しかし、ほとんどの人が無駄な努力で才能を殺している―と、「ビリギャル」を偏差値40UP&難関大学に合格させた著者が断言。「できる人の行動を完コピすると爆ノビ」「客観的事実だけをフィードバックすると能力は育つ」など、才能の見つけ方・伸ばし方を実践的に紹介した、能力開発メソッドの決定版。

堀江貴文/田中里奈/鈴木おさむ/坪田信貴/小林麻耶/佐々木圭一『ぴりから 私の福岡物語』

福岡県が大好きな6名の著名人が描く、「福岡」をテーマとした小説集。 上京前の不安な心境、仕事や恋愛の失敗、親と子のぶつかりあい……。 そんなピリッとからい出来事に直面した主人公たちは、福岡ならではのあの場所、あの味、あの人の心にふれ、新たな希望を見つけていく。

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才能の正体

コロナ禍は、学習シーンにも大きく影響し、休校になったり、授業がオンラインになったりした。学校の授業だけでなく、塾も、部活も、コロナ前の体制に戻るには時間がかかりそうだ。いや、そもそも、戻らないのかもしれない。
でも、だからといって、能力を伸ばせなくなったわけではない!
「才能の本質」について知れば、体制に関係なく、能力を伸ばすことはできる。
学年ビリのギャルが1年で偏差値が40も上がり、慶応大学に合格できたのは、坪田先生との出会いのおかげだが、その『ビリギャル』の坪田先生が、「才能とは何か」について余すことなく書いたのが、ベストセラー『才能の正体』。

その『才能の正体』が文庫化されました! 文庫化記念で、本文を公開します。

バックナンバー

坪田信貴

坪田塾塾長。心理学を駆使した学習法により、これまでに1300人以上の子どもたちを「子別指導」、多くの生徒の偏差値を急激に上げてきた。 一方で、起業家としての顔も持つ。また、人材育成、チームビルディングの能力が多くの企業から求められ、マネージャー研修、新人研修を行うほか、現在は吉本興業の社外取締役も勤めるなど、活躍の場は枠にとらわれない。テレビ、ラジオ、講演会でも活躍中。 著書に映画化もされて大ベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』のほか、『人間は9タイプ 仕事と対人関係がはかどる人間説明書』『バクノビ 子どもの底力を圧倒的に引き出す339の言葉』『どんな人でも頭が良くなる 世界に一つだけの勉強法』『才能の正体』ほか多数あり 。

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