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ルポ シニア婚活

2019.09.26 公開 ポスト

2年で会員数3倍!婚活サイトにシニアが増加中篠藤ゆり(ライター)

還暦を過ぎてなお、人生最高の伴侶を求めるシニア層のリアルな姿を追った、幻冬舎新書『ルポ シニア婚活』(篠藤ゆり・著)。

本日9月26日発売の本書から一部を公開。

シニア世代の婚活にも、若い世代同様、ネット婚活が浸透しつつある。

多くの人と気軽に知り合えるネット婚活に魅力を感じるシニアが増える一方、「自分も検索されている」「誰かと比較されている」という事実を不快に思うシニアもいるという。

*   *   *

(写真:iStock.com/NemanjaMiscevic)

シニア向けの婚活サイト、会員増加中

インターネットで調べると、中高年に特化した婚活サイトがいろいろと見つかる。そのひとつが、楽天オーネット スーペリアだ。

楽天オーネットは全国に支社を展開している業界大手の結婚相談所で、前身は1974年に開設された配偶者選択システム研究所である。

シニア向けの楽天オーネット スーペリアがスタートしたのは2013年。

パートナーを探す中高年が増えたことから、男性50歳以上、女性45歳以上に限定したサービスをはじめた(2019年3月より、男性45歳以上に改訂)。

会員数は2015年を100とすると、2017年は314%と、かなりの率で伸びている

会員の平均年齢は男性が61歳、女性が56歳。婚姻歴ありの人が7割を占め、会員数の内訳は女性のほうがやや多いという。

入会金は3万円で、月会費は1万円。成婚料はかからない。イベントやパーティ、お見合いなどは、別途料金がかかる。

ちなみにイベント等の参加料は3000円から、アドバイザーが仲介するお見合いは1回につき5000円だ。

(写真:iStock.com/nambitomo)

入会を断られるケースとは

入会するとインターネットを通じて、月に2通、紹介書が届く。紹介書には相手の名前と写真は入っておらず、簡単なプロフィール、自己紹介が記入されている。

そのなかで気になる人がいたらネットを通じて申しこみ、相手がOKすれば写真が表示される。

すると2人の専用ページができ、テキストのやりとりができるようになる。

デートの約束などはインターネットを利用してそのページを通じておこない、どちらかが交際をことわると、専用ページはとじられる。

デートの際、話のながれで電話番号やLINEを交換したとしても、専用ページをとじた後はLINEや電話のやりとりは一切禁止されており、違反すると厳重に注意され、それでも従わない場合は強制退会させられる。

なお紹介書による仲介のほか、パーティやバーベキュー会、ウォーキングなどのイベントなど、直接出会える場も用意されている。

広報マネージャーの長岡正光さんによると、入会を受けつける窓口はインターネットや電話だが、かならず支社に来てもらい、アドバイザーと面談をすることが入会の条件だという。

支社は東京、名古屋、大阪の3ヶ所。関東、東海、関西を活動地域としている。

「面談をするのは、ご本人のご希望を正確にお聞きしたうえで、当社サービスを通じてそれが実現可能かどうかを、お客様にご判断いただくためです。

また、経験豊富なアドバイザーとの面談を通じて、ご本人のご意向にそぐわない場合などはご入会をおことわりする場合もございます。

そうでないと、料金をお支払いいただいても十分な活動ができないことになってしまい、お客様にご迷惑をかけてしまうことになります。

そのあたりも、事前にしっかりと確認させていただいています」

面談の際には、入会希望の人から相手に望む条件を聞きだし、その条件にかなう会員がどのくらいいるかを目の前で提示する。

もし対象者が10人くらいしかいなければじゅうぶんな活動ができないので、そのあたりを認識してもらうためにも、欠かせないプロセスだ。

「女性の方のなかには、お相手の男性は年収2000万円以上でなければダメだとか、医師限定世田谷区在住の人にかぎるなど、希望条件の幅がせまい人もいます。

その条件にかなう会員がほぼいないとおはなしするのも、アドバイザーの大事な役目です。夢ばかりもって入会されて、あとでクレームを言ってこられても困りますので。

それでも条件を変えることを受けいれていただけない場合は、やんわりと入会をおことわりするケースもあります」

 

ことわられるのもお互い様、落ち込む時間は無駄

入会者が最初に挫折しかけるのは、ネットを通じて申しこみをしたものの、相手にことわられたときだ。やはり落ちこむ人が多い。

(写真:iStock.com/bee32)

「ですから入会時に、必ずこうアドバイスします。『お金をはらってパートナーを探し、結婚を本気で考えている人たちが集まっている場なので、あなたも遠慮なくことわってください。ムダな時間をすごすことはありません。ことわられてもお互いさま。そこで落ちこんでいてはダメですよ』と」

ネットを通してだとことわりやすいというのも、サイト婚活の特徴のひとつのようだ。

2人の専用ページが立ちあがってからは、まずはネット上のやりとりが中心になるので、日ごろからネット環境に親しんでいる人にとっては活動がしやすいのだろう。

逆にネットに親和性がない人にとっては、利用しにくいシステムかもしれない。

ただ、若い人を対象とした婚活サイトのサービスとちがうのは、アドバイザーによる個別の相談やアドバイスも重視している点だ。

「50代、60代になれば当然、自分の財産、子どもの問題、親の介護などいろいろなものを背負っています。だから、なかなかすぐに結婚とはいかないケースもままあるのです。

とくに子どもがいる方は、たとえお子さんが独立していても、子どもにどう話して納得してもらうかがポイントになります。

たいていの場合、子どもはすぐにはうんと言いません。男性側の子どもは、『ひょっとして財産めあての女性ではないか』といった考えが頭をよぎる場合も多いようです。

相続その他に関しては、『お2人がしっかり話すことが大事ですよ』とも助言しますし、子どもと話し合いの場をもつよう提案することもあります。

ただし、あくまで出会いの場を提供するのが私どもの役割です。最終的にはお2人であるていど時間をかけて、ひとつひとつ問題をクリアしていただくしかありません」

(写真:iStock.com/oatawa)

検索されるのをいやがるシニアのプライド

このように、シニア婚活の世界でもネット婚活が広まりつつあるようだ。

ただシニア層に関していえば、ネットでの検索、とくに「検索されること」に対して抵抗がある人とない人に大きくわかれる

そのため、たとえば「大人の結婚相談所」をうたっているエムズブライダルでは、検索可能なコースと、検索を取りいれていないコースの両方をもうけている。

シニア層がネット検索についてどんな感覚をもっているのか、エムズブライダルの宮﨑央至(ひろし)さんはこう説明する。

「今はインターネットの時代なので、やはり検索できたほうが便利だし、魅力的だと感じる人もいます。

ただ、自分でお相手を検索して見るぶんにはいいのですが、ひるがえって今度は自分もお相手側に検索されていると思うと、ちょっと抵抗感をいだく人もいるようです。

ほかの女性、ほかの男性と比較されるのは、あまりいい気分ではありませんから。

どうせいろいろな人とお見合いをして、自分はそのなかの1人でしかないんだと、ネガティブな気持ちになるのでしょう。

私どものところではお客様の年齢層が高いので、ネットでの検索が可能なコースではなく、昔ながらの仲人方式にこだわったコースを選ぶ方が7、8割です」

プライバシーの面からもプロフィールを公開したくないという人もいるし、経験のあるカウンセラーにまかせて、「この人とこの人は合いそうだ」と判断してもらうほうが安心だという人もいる。

どうやら新しいスタイルと従来のスタイルが共存しているのが、シニア婚活の現況のようだ。

篠藤ゆり『ルポ シニア婚活』

暦を過ぎて子どもがほしくなり31歳スリランカ人と成婚した61歳男性。ピースボートの船上で72歳男性にプロポーズされた80歳女性。人生の酸いも甘いも噛み分けた世代の婚活には、複雑多岐なしがらみがあり、ゆえに結婚の暁には極上の喜びに変わる。本書では多くのインタビューから見えてきたシニア婚活の実態と成婚への道筋を紹介。恋愛感情は必要か? 子どもをどう納得させる? 「後妻業」への防衛策は? 幸せな老後、幸せな最期を求める人々の愛の記録。

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ルポ シニア婚活

2019年9月26日発売の幻冬舎新書『ルポ シニア婚活』(篠藤ゆり・著)について、最新情報をお知らせします。

還暦を過ぎて子どもがほしくなり31歳スリランカ人と成婚した61歳男性。

ピースボートの船上で72歳男性にプロポーズされた80歳女性。

65歳以上の独居人口は620万人を超え、伴侶を求めるシニアも増加の一途。

だが人生の酸いも甘いも噛み分けた世代の婚活には、複雑多岐なしがらみがあり、

ゆえに結婚の暁には極上の喜びに変わる。

 

本書では多くのインタビューから見えてきたシニア婚活の実態と成婚への道筋を紹介。

恋愛感情は必要か? 子どもをどう納得させる?「後妻業」への防衛策は?

幸せな老後、幸せな最期を求める人々の愛の記録。

 

●毎晩のLINEで愛を育んだ70代&60代カップル

●相続から性生活まで、具体的希望をすりあわせ

●「貯金を相手の家族のために使われるのが怖い」63歳男性

●国際結婚に期待を寄せる女性不信の外科医

●「子どもがほしい」裕福なシニア男性たち

●パートナーがいる幸福感はほかでは埋められない

●シニア婚活が招いた親子の亀裂

●どちらかが逝った後まで想定しておく

●お墓をどうするか ……など

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篠藤ゆり ライター

福岡県生まれ。国際基督教大学教養学部で美術史を学び、卒業後コピーライターとして広告代理店に勤務。退社後、世界各地を旅する生活をへて、1991年「ガンジーの空」で海燕新人文学賞受賞。「婦人公論」のグラビアなど女性誌を中心に人物インタビューを多数手がける。著書に最新刊『ルポ シニア婚活』のほか、『旅する胃袋』(幻冬舎文庫)、『食卓の迷宮』『音よ、自由の使者よ。―イムジン河への前奏曲』、また聞き手として携わった『岡本太郎  岡本敏子が語るはじめての太郎伝記』(いずれもアートン新社)がある。

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