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ルポ シニア婚活

2019.09.03 更新 ツイート

「2週間他人と話してない」シニア男性の凄絶な孤独篠藤ゆり

還暦を過ぎてなお、人生最高の伴侶を求めるシニア層のリアルな姿を追った、幻冬舎新書『ルポ シニア婚活』(篠藤ゆり・著)。

2019年9月26日発売予定の本書から一部を公開。

シニア向けの結婚相談所では、86歳の男性や85歳の女性も婚活中だという。その背景には独居シニア男性の圧倒的な孤独感と、独居シニア女性の抱える貧困が見えかくれする。

*   *   *

(写真:iStock.com/Jelena83)

独居シニア男性の5人に1人が「2週間誰とも会話していない」

国立社会保障・人口問題研究所が2017年に実施した「生活と支え合いに関する調査」では、単独世帯の人は他人と毎日会話する人の割合が低いことが判明した。

なかでも単独高齢男性の会話頻度はかなり低く、「誰かと会話するのは2週間に1回以下」の人が15%もいる。

一方シニア女性は、単独世帯でも、「毎日会話する人」と「2~3日に1回会話する人」を合わせると87.2%。「2週間に1回以下」の人は5.4%となっている。

2週間に1度、人と話すかどうか。独居シニア男性の5人に1人は、そんな生活をしているのだ。

年齢が高くなり、健康に不安を感じるようになったら、なおさら1人暮らしの孤独が身にしみる。

もしかして孤独死するのではないかという恐怖も、年齢とともに増していくにちがいない。

 

男性は寂しさ、女性は経済的不安がシニア婚活の動機

もちろん女性側も孤独を感じることがある。

たとえば、離婚してシングルマザーとして必死で子育てをしてきて、ようやく子どもたちが独立したとき。やっと肩の荷がおりたとほっとする半面、さみしさも感じるだろう。

これからは自分のために生きたいし、誰かそばに寄りそってくれる人がいたらいいのに──そう思うのは自然なことだ。

だが、シニア女性の婚活理由としてもっとも大きいものは経済的不安である。

(写真:iStock.com/Hana-Photo)

高齢単身女性の相対的貧困率は、近年若干の低下傾向が見られるものの、2012年時点で45%が相対的貧困にあるとされている。

(阿部彩[2015]「貧困率の長期的動向:国民生活基礎調査1985~2012を用いて」貧困統計ホームページ)

夫と死別して遺族年金を給付されている人や、正社員として働きつづけてきた人をのぞくと、高齢単身女性は一般的に、経済的不安をかかえている人が少なくない。

中高年向きの結婚相談をおこなっている民間福祉団体・太陽の会の本部会長である斎藤尚正さんによると、男性の会員は前のパートナーと死別した人と離別した人が半々くらいだが、女性の場合は、死別した人は3割程度。圧倒的に離別の人が多いという。

「女性の場合、最近は経済的な理由で入会する人が増えています。以前はそれほどでもなかったので、それだけ離婚が増えた、ということでしょう。

若いうちは働けても、60歳をすぎると、働ける場所も減ってくる。さみしいからというより、経済的な不安を解消したいというのが第一の目的で入会するわけです。

一方、前の配偶者と死別した人に関しては、男女でかなり意識の差があります。

女性は、持ち家や遺族年金があれば、生活はそれなりに安定しています。さみしい気持ちはあるけれど、友人や子ども、孫などと楽しい時間をもてる人は、旦那さんの思い出があれば、生きていけるんですね。

ところが妻と死別した男性は、さみしくて耐えられないという人がけっこう多い。

だから妻の一周忌前に入会する人も、少なくありません。なかには初七日が終わらないうちに相談に来る人もいます

初七日が終わらないうちに婚活をはじめるというのはさすがに少数派と思われるが、妻と死別した男性はさみしさに耐えられないうえ、家事をしてくれる人がいないと不便なのだろう。

(写真:iStock.com/bee32)

夫が先に亡くなると女性はその後イキイキとするけれど、妻に先立たれると夫は病気になりやすいとよく聞くが、どうやら男性のほうが孤独に弱いようだ。

86歳の男性会員、85歳の女性会員も

一般的な婚活方法としてよく知られているのは、シニア向けの結婚相談所に入会し、お見合いをする方法だ。

料金設定やシステムは相談所によってそれぞれ異なり、サービスの内容もちがう。

1年で結婚にいたると仮定した場合、結婚相談所に支払う年間の活動費は、成婚料も含めて15万~40万円くらいが一般的だ。

「大人の結婚相談所」をうたっているエムズブライダル代表取締役CEOの宮﨑央至(ひろし)さんによると、会員のうち最高齢は、男性が86歳、女性は85歳だという。

「86歳の男性は、事業をされており、今も現役でお仕事をなさっています。前の奥様とは別居が長かったのですが、なかなか籍が抜けず、やっと離婚が成立したので再婚相手を探していらっしゃいます。

85歳の女性は以前、百貨店で販売員などをなさっていた方で、今まで結婚経験はありません。一度は結婚したいということで、82歳で入会されました

その方は同じ世代の方何人かとお見合いをされましたが、まだご結婚には至っておりません」

篠藤ゆり『ルポ シニア婚活』

暦を過ぎて子どもがほしくなり31歳スリランカ人と成婚した61歳男性。ピースボートの船上で72歳男性にプロポーズされた80歳女性。人生の酸いも甘いも噛み分けた世代の婚活には、複雑多岐なしがらみがあり、ゆえに結婚の暁には極上の喜びに変わる。本書では多くのインタビューから見えてきたシニア婚活の実態と成婚への道筋を紹介。恋愛感情は必要か? 子どもをどう納得させる? 「後妻業」への防衛策は? 幸せな老後、幸せな最期を求める人々の愛の記録。2019年9月26日発売予定。

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ルポ シニア婚活

2019年9月26日発売の幻冬舎新書『ルポ シニア婚活』(篠藤ゆり・著)について、最新情報をお知らせします。

還暦を過ぎて子どもがほしくなり31歳スリランカ人と成婚した61歳男性。

ピースボートの船上で72歳男性にプロポーズされた80歳女性。

65歳以上の独居人口は620万人を超え、伴侶を求めるシニアも増加の一途。

だが人生の酸いも甘いも噛み分けた世代の婚活には、複雑多岐なしがらみがあり、

ゆえに結婚の暁には極上の喜びに変わる。

 

本書では多くのインタビューから見えてきたシニア婚活の実態と成婚への道筋を紹介。

恋愛感情は必要か? 子どもをどう納得させる?「後妻業」への防衛策は?

幸せな老後、幸せな最期を求める人々の愛の記録。

 

●毎晩のLINEで愛を育んだ70代&60代カップル

●相続から性生活まで、具体的希望をすりあわせ

●「貯金を相手の家族のために使われるのが怖い」63歳男性

●国際結婚に期待を寄せる女性不信の外科医

●「子どもがほしい」裕福なシニア男性たち

●パートナーがいる幸福感はほかでは埋められない

●シニア婚活が招いた親子の亀裂

●どちらかが逝った後まで想定しておく

●お墓をどうするか ……など

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篠藤ゆり ライター

福岡県生まれ。国際基督教大学教養学部で美術史を学び、卒業後コピーライターとして広告代理店に勤務。退社後、世界各地を旅する生活をへて、1991年「ガンジーの空」で海燕新人文学賞受賞。「婦人公論」のグラビアなど女性誌を中心に人物インタビューを多数手がける。著書に最新刊『ルポ シニア婚活』のほか、『旅する胃袋』(幻冬舎文庫)、『食卓の迷宮』『音よ、自由の使者よ。―イムジン河への前奏曲』、また聞き手として携わった『岡本太郎  岡本敏子が語るはじめての太郎伝記』(いずれもアートン新社)がある。

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