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ルポ シニア婚活

2019.08.21 更新 ツイート

「毎晩求められて…」外国人若妻たちのSOS篠藤ゆり

還暦を過ぎてなお、人生最高の伴侶を求めるシニア層のリアルな姿を追った、幻冬舎新書『ルポ シニア婚活』(篠藤ゆり・著)。

2019年9月26日発売予定の本書から一部を公開。

財産のあるシニア男性は、実子をもうけたいという願いから外国人女性を伴侶に選ぶこともある。

だが妻となった女性たちは、夫婦の営みを毎晩求められることに疲弊し、仲介業者に苦情を寄せる場合もあるという。

*   *   *

タイでの結婚式。提供:ブライダルアライアンス

女性側に資産状況を知らせない理由

国際結婚の仲介をおこなう結婚相談所が多く加盟する、ブライダルアライアンス幹部の萩森高勝さん(仮名)によると、日本との経済格差がある国の場合、国の家族に仕送りをすると親孝行ができるので、それが理由で日本人と結婚したいという女性はかなりいるという。

また、働かない、浮気をする、アルコールに依存する人や暴力をふるう人が多いなどの理由で、自国の男性が嫌いという女性も少なくない。

以前はいわゆるお見合いツアーを実施していたが、ツアーだと人気のある女性を奪いあったり男性同士でけん制しあったりすることがあり、現在は、男性1名に対し複数の女性とのお見合いのみ。

各国の現地スタッフがお見合いに参加する条件に合う女性を募集し、男性は日本から現地に行き、お見合いが成功したら後日現地で結婚式を挙げるケースが多い。

(写真:iStock.com/Ashish Kumar)

お見合いに参加する女性に関しては、スタッフが面談をして人となりを確認するとともに、借金を抱えていないか入念にチェックする

また、女性側に日本人男性の資産状況や年収などは教えない。知らせると、財産目当てになってしまうおそれがあるからだ。

海外までお見合いに出かけた方は、ほぼ成婚しています。やはり時間もお金も使って海外にまで出向いた以上、手ぶらで帰りたくはない、という心理が働くのでしょう。

それにたいていのシニア男性は、若い女性を目の前にすると、気持ちが高揚して結婚に前向きになるようです」

 

出身国によって違う成婚料

お見合い相手として人気が高いのは、中国、タイ、ベトナム、ウズベキスタンの女性だという。やさしくて従順だというイメージを抱いている人が多いのだろう。

また、顔立ちが比較的日本人に近いため、あまり周囲から浮かないという理由で希望する人も多い。

顔立ちが似ているし漢字を理解するという理由で、中国人を望む人もいる。

フィリピンパブ全盛期に通った経験のある男性のなかには、フィリピン人限定という人もいる。

また、碧眼(へきがん)金髪の女性を望む男性もおり、そういう場合は主にロシア系や東ヨーロッパの女性などとのお見合いを設定する。

(写真:iStock.com/KrisCole)

萩森さんによれば、最近、インドやスリランカの女性の人気が高まっているという。

その理由のひとつが、これらの国では一度結婚したからには離婚することは恥だという価値観がまだまだ根強いため、辛抱強いという点だ。

たとえ文化の違いや夫との関係で悩んだとしても、離婚に至るケースが少ないそうだ。

今まで成婚した中で一番年齢差があったのが、70歳男性と30歳女性の組み合わせ

ただしその人は子どもをつくる前に脳梗塞になり、新婚の妻は介護を余儀なくされた。

一日も早く子どもがほしいからとバイアグラを使う人もいるので、がんばりすぎて循環器に負担がかかったのかもしれないと萩森さんは言う。

 

スタッフ総出で男性の汚部屋を片づけ

では具体的に、どのようにして婚活が行われ、結婚に至るのか。実際に結婚に至った横田直道さんの例を見てみよう。

・横田直道さん(64歳)初婚

・タナポーンさん(29歳)タイ人 初婚

直道さんは茨城県でアパート経営をしており、安定した家賃収入がある。

40代後半から結婚相談所などで20年近く婚活をしていたが、無口でコミュニケーションが苦手なこともあり、お見合いでも婚活パーティでもマッチングに至らなかった。

最初は外国人との結婚に抵抗があったが、さすがに60代になり気持ちが焦り、最後のチャンスのつもりでタイに行って、6人とお見合いをした。

そのなかの1人がタナポーンさんだった。

(写真:iStock.com/Casper1774Studio)

タナポーンさんはタイ北部で、公務員として勤務している。父親を早くに亡くし、母親に孝行するため、働いて貯めたお金でアパートも購入した。

日本人のシニア男性とのお見合いを決心したのは、バンコクなどの都市部と違い結婚年齢が20歳前後と早い地方において、29歳というのは“行き遅れ”感があること。

そして、まわりを見ているとあまり働かない男性が多いので、同国人と結婚するのが不安だったこと。

また、自分の父親を早く亡くしたので、年上の男性に心惹かれる、といった点も理由だという。

 

現地で婚約をすませた後、ブライダルアライアンスの紹介で、加盟するリフォーム会社のスタッフが直道さんの家の片づけに着手した

ものを捨てることができず、足の踏み場もない状態だったので、「このままでは彼女はすぐに離婚して国に帰ってしまう」と説得し、直道さんも片づけることを納得した。

廃棄した不用品は、実に軽トラック6台分

部屋はリフォームし、家具やカーテンなどはスタッフが店に同行して女性が好みそうなものを購入し、タナポーンさんを迎える準備をした。

片付け前の部屋。提供:ブライダルアライアンス
片付け後の部屋。提供:ブライダルアライアンス

また直道さんは長年偏った食生活をしていたため、健康面にやや問題があったので、栄養士を紹介して食生活も指導した。

最初はケチで偏屈な印象でしたが、結婚が決まったころから、雰囲気が少しずつ変わっていきました。

食生活にも気をつけるようになりましたし、多少きれい好きにもなってきた。

新しく買ったじゅうたんも、『彼女が来る日まで汚したくないから裏返しておく』と言っていましたし、ベッドも彼女が来るまで使わなかったそうです」と萩森さん。

それまでゴミ屋敷状態だったのは、長年の孤独な生活からくる精神的な問題も原因のひとつではないかと推測している。

 

妻たちのSOS「毎晩求められるので勘弁してほしい」

ブライダルアライアンスの加盟店では、成婚後のフォローも行っている。

というのも、国際結婚は言葉の障害や文化の違いなどさまざまな行き違いから、トラブルが起きやすいからだ。

具体的には、男性側、女性側双方からの相談を受け付けている。

女性側は現地スタッフや通訳者を介し、LINEや電話で相談できるシステムとなっている。

男性からの相談で多いのは、「妻が何を言っているかわからない」という言葉の問題と、お金の問題だ。

「親の具合が悪いから治療費を送りたい」と言っているけれど、それは本当かなど、仕送りに関する相談が多い。

女性からの相談は、「病院で自分の症状を伝えられない」など日本語についての悩みと、「毎晩求められるので勘弁してほしい」といった内容が多いという。

(写真:iStock.com/AntonioGuillem)

男性はだいたい60代、70代だが、相手が若い女性ということで性欲が爆発してしまうのだろうか。

「子どもがほしい」ということもあり過剰にセックスを求め、辟易した妻が耐え切れずSOSを出すようだ。

「一番危ないのは、来日して3ヶ月目くらいです。言葉も通じないし、友達もおらず、ホームシックになるんですね。

そこを乗り越えて1年たつと、日常的な日本語を覚えるし、夫婦2人で通じる言葉もできてきます。

言葉と地理を覚えると、たいていの女性は、日本が居心地よくなるようです」と萩森さんは言う。

 

ブライダルアライアンスの理事・増田朱美さんは、「それまで日本人を相手に婚活をしてうまくいかなかった男性は、勘違いしている人も多いですね」と、なかなか手厳しい。

「『やっぱり日本人でないと言葉も気持ちも通じない』とおっしゃる方もいます。

そういう方に、『じゃあ今まで婚活していた十数年間、日本人の女性と気持ちが通じていたんですか?』と聞き返すと、黙ってしまわれます。

相手を理解しようという気持ちがなければ、たとえ日本人どうしでも難しい。

ましてや海外の方と結婚する場合は、お互いに文化が違うわけですから、相手をわかろうとする気持ちが大事なのではないでしょうか」

篠藤ゆり『ルポ シニア婚活』

暦を過ぎて子どもがほしくなり31歳スリランカ人と成婚した61歳男性。ピースボートの船上で72歳男性にプロポーズされた80歳女性。人生の酸いも甘いも噛み分けた世代の婚活には、複雑多岐なしがらみがあり、ゆえに結婚の暁には極上の喜びに変わる。本書では多くのインタビューから見えてきたシニア婚活の実態と成婚への道筋を紹介。恋愛感情は必要か? 子どもをどう納得させる? 「後妻業」への防衛策は? 幸せな老後、幸せな最期を求める人々の愛の記録。2019年9月26日発売予定。

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ルポ シニア婚活

2019年9月26日発売の幻冬舎新書『ルポ シニア婚活』(篠藤ゆり・著)について、最新情報をお知らせします。

還暦を過ぎて子どもがほしくなり31歳スリランカ人と成婚した61歳男性。

ピースボートの船上で72歳男性にプロポーズされた80歳女性。

65歳以上の独居人口は620万人を超え、伴侶を求めるシニアも増加の一途。

だが人生の酸いも甘いも噛み分けた世代の婚活には、複雑多岐なしがらみがあり、

ゆえに結婚の暁には極上の喜びに変わる。

 

本書では多くのインタビューから見えてきたシニア婚活の実態と成婚への道筋を紹介。

恋愛感情は必要か? 子どもをどう納得させる?「後妻業」への防衛策は?

幸せな老後、幸せな最期を求める人々の愛の記録。

 

●毎晩のLINEで愛を育んだ70代&60代カップル

●相続から性生活まで、具体的希望をすりあわせ

●「貯金を相手の家族のために使われるのが怖い」63歳男性

●国際結婚に期待を寄せる女性不信の外科医

●「子どもがほしい」裕福なシニア男性たち

●パートナーがいる幸福感はほかでは埋められない

●シニア婚活が招いた親子の亀裂

●どちらかが逝った後まで想定しておく

●お墓をどうするか ……など

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篠藤ゆり ライター

福岡県生まれ。国際基督教大学教養学部で美術史を学び、卒業後コピーライターとして広告代理店に勤務。退社後、世界各地を旅する生活をへて、1991年「ガンジーの空」で海燕新人文学賞受賞。「婦人公論」のグラビアなど女性誌を中心に人物インタビューを多数手がける。著書に最新刊『ルポ シニア婚活』のほか、『旅する胃袋』(幻冬舎文庫)、『食卓の迷宮』『音よ、自由の使者よ。―イムジン河への前奏曲』、また聞き手として携わった『岡本太郎  岡本敏子が語るはじめての太郎伝記』(いずれもアートン新社)がある。

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