今年は、自分の作品のドラマ化をきっかけに生まれて初めて芸能人、そしてアイドルグループを推したりと革新の年であった。
しかし、経済活動的に言えば今年は凪の年であり、家計簿をAIに分析させたところ、今年の支出の9割以上が「税金」であることが判明した。
ここで「あなたは強火の国推し、もしくはお住まいの都道府県市町村ガチ勢ですね」とユーモアを交えて分析してくれればよかったのだが「普通に死にたくなりますね」という、普通に死にたくなるコメントしか言ってくれなかったので早くシンギュラリティが起きてほしい。
私は何を推しているか以前に「物理グッズは持たない教」である。
この宗派に属しているとあまり金を使うことがなくなる、というか率直に言ってソシャゲ化してガチャになってくれる以外で金の使いどころがないのだ。
しかし、中山美穂のトキメキハイスクール以来実在人物とゲームの相性はあまりよくないとされており、ソシャゲ化よりはパチンコ化の方がまだ可能性がある。
だが、推しコンテンツがパチンコ化したのをきっかけに初めてパチンコを打ち、リアルカイジ沼編がはじまった人もいると聞くので、できれば推しはパチンコになっていただかないでほしい。
しかし、グッズ界にも「ランダム商法」という、考え付いた奴は末代まで親知らずが真横に生えることが決定した悪しき風習がある。
だが、アイドルグループのランダム商品を購入したら、目当ての推しでなくてもそのグループのメンバーの誰かが出てくる仕様だと思うので、推しキャラを出そうと思って麻婆豆腐が出てくるソシャゲのガチャよりは良心的かと思うし、物理アイテムなら交換もできる。
つまり今年は、推しのYouTubeを見たり、テレビに出ていたら見る程度の極めて金払いの悪いオタクと化していたということだ。
唯一の経済活動といえば、パペットスンスンがコラボしているすし屋に行ったり、推しがCMをしている食パンを買ったぐらいだ。
運営から見ると細客な上にいつ切れるかわからない陰毛客レベルだと思うが、推し活文化が過熱しすぎて「推し活は無理のない程度に」と警鐘を鳴らす専門家も増えている。
しかし、それは消費者金融のCMが最後に「ご利用は計画的に」と虚空にむかって発する言い訳と同じで、無理ができる構造である以上無理する奴は出てくるだろう。
推しをテレビで見る、というのはまさに無理のない範囲だが、もはや金払いの悪いオタクの推し活というより「後期高齢者以上の推し活」という感じがする。
実際は後期高齢者でもリクライニング車椅子を飛ばして純烈を見に行ったりしていると思うので、年齢は関係ないかもしれないが、おそらく若人よりは家の中で完結する推し活をしているのだと思う。
また、70歳以上はまだネットよりテレビという印象で、その影響が何を推すかにも表れているようだ。
一部の調べではあるが、70歳以上の推しの一位は「スポーツ選手」だという。
確かにテレビは未だにスポーツ偏重主義なところがある、大きなスポーツイベントの放送のために当たり前のように通常番組が潰される。
一方で今日はイッテQスペシャルのため、オリンピック放送は見送りなどということはないし、WBC決勝を見るために会社のテレビをつけるのはアリだが、徹子の部屋にレディー・ガガが来るからテレビつけていいかと言って許可が下りるかは未知数だ。
我々にとって野球放送はドラゴンボールを潰す奴でしかなく、未だにスポーツを優先する風潮を苦々しく思っているが、テレビがそういう傾向なので、自ずとテレビっ子の高齢者はスポーツ選手の中に推しを作りがちになり、そこから他のチームメンバーやスポーツそのものに興味を広げたりするようだ。
そういえば、会社員だったころ、たまたま会社の会長の携帯画面が目に入り、待ち受けが「少女」の写真であることに気づいた。
孫娘か何か、もしそうでないならヤバいものを見てしまったことになるので孫であってくれと願っていたのだが、その後その少女は「浅田真央」であることが判明した。

会長も別段それを隠しているというわけではなく、おそらく「孫感覚」で推していたため後ろめたいこともなかったのだろう。
おそらく当時浅田真央は「国民的孫」であり、今もスポーツ選手を孫感覚で推している人は多いのではないかと思う。
大谷選手が結婚を発表し、まだ相手が誰か定かでなかった時、とりあえず「大谷と結婚したのは俺」と言っておくブームがあった。
現在ではさすがに自称大谷の嫁はいないが、大谷を孫だと思って応援している人はまだ多そうである。
カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

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