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カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

2026.06.16 公開 ポスト

頭脳勝負のリアリティショーでもカイジ的地下牢が必要な理由カレー沢薫

去年、アイドルのオーディション番組にハマった話をしたが、実はあれはありとあらゆるリアリティショーやサバイバルショーを見尽くした先にたどり着いたアルカディアでもあった。

色々と見たのだが、やはり単純に料理対決、頭脳対決、体力対決の番組が面白い、という結論に至った。

 

これらの番組は日本のテレビでもおなじみであり、私もSASUKEや勝ち抜きクイズバトル系の番組は好んでよく見る。

しかし、やっている系統は同じでも、ネトフリなどで配信されているこれ系の番組は、配信だからなのか海外だからなのか、出演者から奪っていい人権の量が日本のテレビ番組よりも若干多めに見えるのだ。

重い物を持って耐えるなど、単純な耐久勝負でも「50キロの岩を担いで2時間経過」など、出てくる数字がテレビではちょっと見ない感じなのである。

もちろん海外だからといって「死んでもOK」という犬鳴国はないため、本当に危険な場合は棄権させたりしているのだが熊がいても「気をつけましょう」で撮影が進むなど、独自の安全感が適用されていたりする。

そういった、ガチのサバイバルゲームや体力勝負も好きなのだが、私が一番好きなのは頭脳勝負のリアリティショーである。

出場者は全員頭が良く、勝負のレベルも高いため「出てくるゲームの半分はルールが理解できない」という弊害はあるものの、頭の良い人たちが何かすごいことをやっているのを見るだけでも楽しいし、個人としての能力は高くても、中盤はチーム戦になるため、ヘイトを買いすぎると集中攻撃を受けて負けるなど、心理戦も面白い。

頭脳ゲームなのだから、基本的に肉体的に過酷な目に遭う必要はない、しかしせっかくネトフリなんだしということなのか、敗者が突然「地下牢」送りとなり、その地下牢が普通に過酷な環境だったりもする、ちなみにシーズン2では地下牢の方が大幅バージョンアップされていた、おそらく3では帝愛みたいになっているはずだ。

私が一番好きな番組はネトフリ配信ではないが、頭脳ゲームとサバイバルゲームを合わせたような番組である。

この番組でも、ゲームに負けた敗者は地下牢に送られる、もはや頭脳戦に敗れたものは地下牢に送られるのが常識であり、Qさまで脱落した石原良純とかが地下牢にぶち込まれないのが逆に不自然にさえ見えてきた。

この番組の面白いところは基本的に頭脳戦なのだが、必ずしも頭脳だけではない、という点だ。

最初のゲームでは、出場者が全員椅子に縛られているという治安の悪い映像からはじまり、パズルを解いて脱出するのだが、出場者の半分ぐらいはパズルを解くのを諦め椅子を破壊して脱出していたりする。

さらにこの番組では「スーパー暴力タイム」が設定されている。

最初目を疑ったが、本当に番組内で「いかなる武力行為もOK」な時間が設定されているのだ。

私も昭和末期ガチババアとして、コンプラという言葉がなかった時代を生き抜いてきているが、昭和でも「暴力OK」というルールが読み上げられた番組は見たことがない気がする。

「いかなる暴力行為もNG」というルールは珍しくない、というか大体のゲームはそうだが、あえてその逆を設けるというのは斬新である。

ただし、暴力タイムで行われるのは物資や拠点の略奪行為だけであり、暴力により脱落者が出るわけではない点は安心である。

何が安心なのかわからないかもしれないが、頭脳ゲームを見に来たのに、暴力で勝者と敗者が決まってしまっては意味がない、その点はちゃんと頭脳ゲームで決まるので安心なのである。

無駄に参加者を過酷な状況に置かなくてもいいじゃないかと思うかもしれないが、過酷な状況かゆえに参加者同士の結束が強まったり、逆に復讐心が高まったりと、それで番組が面白くなるのも確かなのだ。

しかし、面白さ重視で番組を作り続けるといつか事故が起きるので、このようなリアリティーショーが見られるのも今の内かもしれない。

ちなみにこれらの海外配信番組に慣れてしまうと日本のテレビ番組などぬるくて見られないかというとそうでもない。

ぬるい番組にはぬるい番組なりの良さがある、地下牢はともかく、Qさまに暴力タイムは不要だ。

ちなみに暴力タイムがあってもカズレーザーは強そうだとは思う。

関連書籍

カレー沢薫『人生で大事なことはみんなガチャから学んだ』

引きこもり漫画家の唯一の楽しみはソシャゲのガチャ。推しキャラ「へし切長谷部」「土方歳三」を出そうと今日も金をひねり出すが、当然足りないのでババア殿にもらった10万円を突っ込むかどうか悩む日々。と、ただのオタク話かと思いきや、廃課金ライフを通して夫婦や人生の妙も見えてきた。くだらないけど意外と深い抱腹絶倒コラム。

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カレー沢薫

漫画家。エッセイスト。「コミック・モーニング」連載のネコ漫画『クレムリン』(全7巻・モーニングKC)でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『もっと負ける技術』『負ける言葉365』(ともに講談社文庫)、『ブスの本懐』(太田出版)がある。

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