先日、小学校からつきあいのある地元の友人たちと会って来たのだが、その内の1人が「旦那が知らないうちに某男性アイドルグループのファンクラブに入っていた」と言ってきた。
その男性アイドルグループは、去年から私も推している今人気絶頂のグループであり、コンサートチケットを取るために人生初のファンクラブ入会をしようか迷っている内に、チケットは完売したようである。

ちなみに、旦那氏もコンサートチケットに応募はしたが、全然だったそうだ。
つまり、私がファンクラブに入るか否かで足踏みしている間に友人の夫がファンクラブに入ってチケット落選し終わっている程度には入手困難ということであり、人気で何よりだ。
しかし、激戦になってしまったとは言え、正規で推しに会える場がまだご用意されている、というのは幸せなことである。
私の最推しと言えばやはり猫であり、もはや推しという言葉を使うのもおこがましく正しくは「拝し」という感じだが、私は諸事情というより、資格の問題により、自宅に猫をお招きするタイプの拝し活はしていない。
主な活動はインターネットを通じて、猫の御姿を集めるにとどまっている。
猫のご利益と威光はピクセル状になっても何ら変わることはないのだが、たまには実体を拝んでこの腐敗した網膜を殺菌消毒したいと思ってしまうものだ。
しかし、私が受肉された猫に会う方法はとても限られている。
外を歩いていれば、フリーで活動されている猫に遭遇するという僥倖にあずかることもあるかもしれないが、何せ外には出ない。
たまに「家に帰ったら部屋に知らない猫がいた」という、宗教画の一幕でしかお目にかかったことがない奇跡体験をする者がいるらしいが、私は遭遇したことがない。
万が一そのようなことが起こったとするなら、家のどこかに無視できないレベルの穴が空いている、または屋根の一部が吹っ飛んでいるなどの可能性が出てくる。
奇跡の代償としては些細なことだが、なかなか穏やかではない。
一番穏便かつ確実に猫を参拝するなら「猫カフェ」が一番だろう。
しかし、我が村はついほんの数年前に猿の襲撃で滅ぼされかけ、最近ついにフリーランスと思しき熊の姿が目撃された。
日常とサファリの境界が曖昧な地域なためか、金を払ってアニマル様たちと触れ合うという高度な文化が未発達であり、気軽に行ける距離に猫カフェはないのだ。
だが、私が住んでいるのは集合住宅地であり、猫の召喚に成功している家の一軒や二軒存在しているはずなのだ。
他人の恋人や配偶者にメロつきたくないという理由で、パートナーの存在が確認されたアイドルなどは推さないと言う方針を取っている人もいるらしいが、猫に限っては「他人に飼われている猫は愛せない」などということはない。
しかし、猫を飼っている人間側は、よく知らない人間を歓迎しないので、よその家の猫もなかなか見せてもらえるものではない。
最近、夫と夕方に近所を散歩している。
正直散歩などしたくない、もはや外を10分程度徘徊したところで変わるような健康状態でないことは目にも明らかだ。
しかし、散歩途中によその家の猫が見られるとなれば話は別である。
いきなり事件性を帯びてきたが、おキャット様自らが窓辺など外から見える位置に立ち、それが偶然外を歩いていた人間の目に入るのは不可抗力であり合法だろう。
人の所有物は視界に入れるのもダメというなら仕方ないが、アイマスクをして近所を徘徊する奴が現れる方が事案だし、なによりおキャット様の「窓から腐敗した下界と人間を見下ろしたい」という意思を阻むほうが違法である。
幸いにも近所に二軒ほど、自然に視界に入ってもおかしくない位置に猫が顏を出してくれる家があるので、ほぼ毎日散歩がてらチェックしに行っており、最近ではそれが私の推し活になっている。
しかし、この活動が上手くいくかどうかは、文字通り猫という名の神のみぞ知る状態であり、活動失敗が続く日もある。
最近、二軒中のうち一軒の猫が全く顔を見せなくなってしまったのだが、何故見せなくなってしまったのかも知る術がない。
推しが突然引退し、その後行方不明になり、その理由もわからないままなのが、窓辺の猫推し活である、それに比べれば正規で確実に推しに会えるルートがあるのは幸せなことだ。
それに、窓辺の猫推し活はあまり熱心にやると違法性が出てくるという問題がある。
一歩間違うと他人の家をのぞき込んでいる人にしか見えないので、あくまで散歩の途中、偶然目の高さにある窓にいた猫が目に入ったという設定を貫こうとしているのだが、自分でも全く気付かない内に足が牛歩と化し、夫に叱責されることもしばしばなので、これは「時間の問題」な気がする。
この半グレ推し活がいつまで続けられるかはわからないが、窓が目張りされるなどの「サイン」が出るまでは続けようかと思う。
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