本読みのアルパカ内田さんと、幻冬舎作品を誰より愛する営業部のコグマ部長。
2人が、幻冬舎の新刊の中からお気に入りを選んで、おススメしあう、本コーナー!
今月のコグマ部長のおすすめはこちら。
(あわせて、アルパカさんがコグマさんにおススメした作品についても、お楽しみください)
【幻冬舎営業部 コグマ部長から、
アルパカ内田さんへオススメ返し】
南杏子『沈黙の患者』
一方、こちらは日常の暮らしの中に潜むちょっとした違和感や事件を巧みに描いた連作短編集。
個人的に身につまされながら読んだ「シル専の女」は、79 歳で一人暮らしをしている父親に、純子という20歳年下の「恋人」ができたことから始まる物語。娘たちが実家に行くと、そこにはブランド物の真新しい手提げ袋があった。父の銀行口座の残高は底をつきかけていて、持病の薬も飲んでいないようだ。純子は高齢男性(シルバー)を専門に詐欺まがいのことを働く女なのか? 心配になった娘たちは何とか別れさせようとするが……。
そして表題作の「沈黙の患者」は短編サスペンスの傑作。これは介護保険詐欺がテーマで、初期の認知症の症状が出た母親の介護に悩む娘の真智は、重度の認知症である知人の母親を「レンタル」して、保険の調査を潜り抜ける。軽い気持ちで500 万円をだまし取った真智だが、その知人との間に結んだ「念書」を紛失してしまい……。
5編ある話は、社会面の片隅に載るような事件から、些細なモヤモヤまで幅広い。でも、きっと今日もどこかで起きている「事件」なのだ。そして、これが本作の特徴なのだが、どの話も読後感は「ああ、すっきりした」とはならない。読者の心に小さなトゲを残す。読者は読み終えてもしばらくはそのトゲが刺さったままなのだ。ずっと心に残る作品になっている。聞けば本作が作家デビュー10周年記念作! ぜひ既刊とともに楽しんでいただきたい。
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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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