一日一冊読んでいるという“本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選んでレビュー。さらに“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作るコーナー。
今月のオススメはこちらです!
また、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長が新刊の中からセレクトする、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」もあわせてお楽しみください!
【元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリスト
アルパカ内田さんが今、売りたい本】
第59回 佐原ひかり『夜の海をゆく人よ』
皆さん、こんにちは。サハラ砂漠にひかりを見たアルパカ内田です。
なんと鮮やかな光と闇なのだろう。しかも放たれた光の筋はまるでプリズムを通したように複雑に屈折し、この世は綺麗事だけではないことを映し出している。五感を震わす刺激的な描写もまた見事で、隠された人間の素顔に真正面から迫り、極めてスリリングな展開に引き込まれていく。
妊婦をかばって通り魔事件の犠牲となった英雄・春臣は、主人公(むつみ)の婚約者だった。理不尽な悲劇によって奪われた日常。美しい海が舞台である自己犠牲の美談「エディ・ウッド・ゴー」を信条に、常に善行を心がけていた春臣は、最期の瞬間に何を見たのか。弱き者を助ける勇気と、たったひとつの命を投げ捨てる覚悟はあったのか。
残されたむつみと春臣の弟・真央は共同生活をしながら寄り添い、春臣の遺志を継ぐかのように、善い行いを報告しあう。そして生前の春臣の真実を追いかけることによって、運命が思わぬ方向に転がっていくのだ。そもそも「善い行い」とは何だろうか。まさに夜の海をたゆたうような二人の葛藤の日々が胸を締めつける。
助けられなかった後悔は誰にでもあるだろう。それでも人は誰もが死に向かって生きている。どんなに大きな喪失を抱えても、明日に向けて踏み出さねばならないのだ。
本書はただ生きるのではない、人として生きる意味をストレートに問いかける。読者の記憶に刻まれる存在感抜群の小説というばかりでなく、欺瞞に満ちた社会に向けた大きな一石を投じる一冊なのだ。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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