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13歳のきみと、日本の歴史を動かした事件の話をしよう。

2026.10.03 公開 ポスト

【平安時代】パート1

平安時代、農民の富豪層が登場したり、自然災害多発したりで、律令制が大崩壊したって、知ってた⁉房野史典

日本の歴史を面白く読ませる、房野史典さん。『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう。』は、いまだに増刷を続けるロングヒット作品ですが、今回の連載は「歴史を動かした”事件”」で歴史を読んでいこう!というもの。

古代史の続き、ここから全3回で、一気に平安時代300年を駆け抜けます!

*   *   *

そんなこんなで『平安時代』に突入です。

 

桓武天皇は、前パートでご紹介した以外にも、

国司を厳しく監視する「勘解由氏(かげゆし)」という職をつくったり、

「坂上田村麻呂」って人を征夷大将軍に任命して、蝦夷のリーダー「アテルイ(阿弖流為)」を降伏させたりと、

「主食に”バイタリティ”を食べてます」って説明がないと成立しないくらい、バイタリティを発揮して改革を推し進めたんですね。

 

 

しかし、そんなカリスマのあとには、やっぱり起こるんですよ。”争い”が。

 

桓武の子どもたち、「平城上皇」と「嵯峨天皇」が、どデカい兄弟ゲンカ

『平城太上天皇の変(薬子の変)』

を巻き起こすんです。

結果、戦いを制したのは弟の嵯峨天皇。「蔵人頭(くろうどのとう)」という”天皇の秘書長官”的な役職を作り、太政官へ素早く命令を伝えたりと、とにかくスピーディーに動いたことが勝因となったんですね。

初代「蔵人頭」となったのは、巨勢野足(こせののたり)と、あともう1人。この”もう1人”が、蔵人頭に任ぜられたことにより、歴史がグワンと動——

 

って話はのちほどにして、桓武~嵯峨の時代にかけてのトピックを、あと2点お伝えしましょう。

唐に渡った「空海」と「最澄」って僧が、「真言宗」と「天台宗」という新たな仏教を日本にもたらします。そんで、

《格式(きゃくしき)》と《令外官(りょうげのかん)》

ができたのもこの頃(マジなにそれ)。

 

律令が作られ、年月が経つとね、大宝律令や「養老律令」(ってのも作ってたんすね)では対応できない、新たな問題が続々と生まれてきちゃう。

そこで政府(朝廷)は、制度と現実のギャップを埋めるため、”律令の改正&補足”を行い、それらをまとめた《格》と、律令を運用するためのマニュアル《式》を作るんですね(ムズそうなので例えましょう)。

もし律令に、「ゴミは可燃と不燃に分別して!」というルールがあったとしたら、

《格》【改正&補足】:「今度から”資源ゴミ”って項目も追加ね」「あと”ペットボトル”も」

《式》【マニュアル】:「可燃も不燃も透明の袋で出して」「古紙はまとめて十字でしばって」

みたいなことですね(あくまで例えよ)。

また、問題解決のために、大宝律令にはなかった”新しい官職”も作り出したんですが、これが《令外官》です。

先ほど出てきた「勘解由氏」や「蔵人頭」、それに「中納言」「征夷大将軍」「関白」なども、実はすべて令外官でございます。

 

なんて話をしていると、ここから”藤原氏”の台頭がエグいことになってきます。

前パートに登場した藤原四兄弟。彼らのお家はやがて、

 

《武智麻呂=南家》《房前=北家》《宇合=式家》《麻呂=京家》

 

と呼ばれるようになり、その中でも北家・房前のひ孫にあたる「藤原冬嗣(ふじわらのふゆつぐ)」が、初の蔵人頭になって大活躍するんですね。

そう、前出の”もう1人”とは冬嗣のこと。彼のおかげで「藤原北家」が、眩いほどの栄華栄光を手にしていくんです。

 

まず、冬嗣の子どもの「藤原良房」。彼は、皇族以外の人臣(家来)として、初めて『摂政』になっちゃう。

「摂政」とは、天皇が幼いなどの理由で、天皇がみずから政治を行うこと——”親政”って言います——ができない場合、その代理として国の”政(政治)"を"摂”り行う役職。これが摂政です。

 

で、その良房の養子「藤原基経(ふじわらのもとつね)」は、『関白』という地位につくことに。

「関白」とは、成人した天皇を補佐し、天皇へ提出されるすべての文書を事前チェックして政務を行う(「関(あずか)り白(もう)す」)、朝廷と天皇の両方をコントロールした最強ポジション。それが関白で、摂政と並ぶ貴族の最高職です。

会津天神 菅原道真 天神様の写真

ライバルたちとの政争(政治における争い)にも悉く勝っていく藤原北家。そのライバルを、お1人紹介するとしたら、やはり「菅原道真」ですかね。

遣唐使を”廃止”したり、現代でも「学問の神様」として有名——なんだけど、遣唐使のほうはウソです。

たしかに、道真が遣唐大使(リーダー)ってのに選ばれたとき、このころの唐の衰退&治安の悪さに「遣唐使の派遣、考え直しません?」と意見したのはホント。

だけど、道真はそのあと数年間は遣唐大使を名乗っているから、この時点で遣唐使自体がなくなったわけじゃありません。

でもその後、遣唐使派遣が宙ぶらりんのまま唐が滅びちゃう。なので、”遣唐使は自然消滅”だったんですね(話を藤原さんに戻しましょう)。

 

北家はさらに、[自分の娘や妹を天皇のキサキにして、生まれた子がのちに天皇となったら笑いが止まらないよね]作戦を駆使し、絶大な権力を握ります。

やがて、摂政と関白が常に置かれるようになり、北家がそのステータスと実権を掴んで離さなくなったこの体制を

『摂関政治』

と言ったんですね。

 

さて、本格的な摂関期(摂関政治が行われた時代)に入る前、いや、なんなら奈良時代の頃から、政府を悩ませる”ある問題”がありました。

日本史において中央政府が頭を悩ませる問題。こりゃもう、だいたい”土地”なんですよ。”土地”と”税”が9割(ってのは言い過ぎだけど)。

 

古代では、口分田を与えたり、税を徴収するために、「戸籍」と「計帳」って帳簿を作って農民を管理していたんですね。でも、ここに登録されてる本籍地(本貫)を離れて、よそに移っちゃう人がいた。これを「浮浪」や「逃亡」と言ったんです。

 

逃げ出す理由は1つ。重い税に耐えかねて、貧しさの末に……

なんてよく言われるけど、実はそれだけじゃないんですよ(それもあるけど)。

 

人はね、結婚もすれば、農業や商業のために住居を変えることもあるんです。ところが、すべてをデータ管理する現代ならまだしも、当時の戸籍じゃそういった人の流れを完璧に把握することなんて無理。結果、本籍地と現住地がズレた時点で「はい、浮浪ね」ということにされちまってたんです。

 

てことは……「浮浪=貧乏」とは限りませんでしょ? だからね、蓄えた財(稲や米)をフル活用し、貧しい農民を働かせて田んぼを経営したり、高利貸しをしたりと、【ビジネス&ファイナンスの才能でのし上がった実力派農民】、

だったり、

都からやってきて、そのまま地方に住み着いた【元国司の親類や子孫】、

なんてパターンの浮浪人もかなりいたんです。こういう人たちを「富豪浪人」や「富豪層」と言ったんですね。

ほんで、この「富豪層」。中央の貴族に土地をプレゼント(寄進)して家人(家来)になったり、その権威を後ろ盾に「税なんて払うか!」と拒否ったりと暴れっぷりがすごい。

 

さらに、

実は9世紀には、自然災害(洪水、旱魃、地震など)が連発して、いくつもの集落が消滅するという、恐ろしい事態が起こっていましてね……

そうなると、税収入がなくなるし、地元の村落を権力の源としていた郡司の権威がなくなるしで……もうホントにね、

 

全部がぶっ壊れたんです。

 

律令国家がつくった、籍帳(戸籍と計帳)や郡司といった地方支配システムが機能しなくなり、律令制、大・崩・壊。

ってところへ、さっきの富豪層の大暴れが重なったわけですから、もう、冷や汗と脂汗でミックスソフトができるほど税が入ってきません。

 

でも……褒めてやってください、それでも政府はギブらなかった(当たり前か)。

(つづく)

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13歳のきみと、日本の歴史を動かした事件の話をしよう。

『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳戦国時代』『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう』などなど、ロングな人気作の多い房野史典さん。

絵がうかび、笑いながら読んでいたら、気づけば頭に入ってた! という、驚異の歴史語りは、一度読んだら大人も子供もみんなハマる! 

歴史の大先生方からもお墨付きをいただいている房野さんの新連載は、「有名な事件を読み解くと、歴史の動きが見えてくるよ!」ということを教えてくれます。

歴史の面白さがグングン深まっていく、ゾクゾクする感覚をお楽しみください。

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房野史典

1980年、岡山県生まれ。名古屋学院大学卒業。お笑いコンビ「ブロードキャスト!!」のツッコミ担当。無類の戦国武将好きで、歴史好き芸人ユニット「ロクモンジャー」を結成し、歴史活動にも意欲的。子どもたちに歴史の面白さを教える授業も好評。

初の著書『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』でブレイク。その後、『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう。』『読んだらきっと推したくなる! がんばった15人の徳川将軍』など、続々刊行、いずれも人気作に!河井敦先生との共著に『面白すぎる! 日本史の授業――超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす』も。

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