日本の歴史を面白く読ませる、房野史典さん。『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう。』は、いまだに増刷を続けるロングヒット作品ですが、今回の連載は「歴史を動かした”事件”」で歴史を読んでいこう!というもの。
さて、ついに、天皇を頂点とする、官僚システムのバッチリと整った組織「朝廷」ができました!ということでーー
* * *
こうして、日本に本格的な法令ができあがりました。律令に基づいて国を治める制度や体制のことを「律令制」や「律令制度」と言って、律令に基づく中央集権国家のことを『律令国家』と言ったので、ここから日本は、まだヨチヨチとはいえ律令国家として歩み始めたのでした。
さ、大宝律令を施行した翌年のことです。
「律令ができたからには国際的にいくべな。「白村江の戦い」以来のギクシャクを、ここいらでバシッと回復させるためにも、唐に使節を派遣するべな」
と、乙巳の変の前からちょこちょこ派遣していた『遣唐使』ってのを、約30年ぶりに復活させます。
ちなみに、このときの遣唐使が「僕たちは”日本”からの使いです!」と、唐に対して”倭国”ではなく、初めて「日本」の国号を使ったんですね。
律令もできたし、遣唐使も派遣した。「日本」、いい感じだぞ! と思っていた矢先、文武天皇が若くしてこの世を去ってしまうんです。
でもみんな、前を向いて(特にうつむいてないでしょうが)。
文武には「首皇子(おびとのみこ)」という子どもがいたんですよ。これで、〈天武ー草壁ー文武〉の血統は紡がれていく、かと思いきや、なんと首はまだ7歳。
「うーん……7歳かぁ……」
朝廷界隈の誰もが同じ感想と吐息を吐き出したことは言うまでもありません。
そこで、首が成長するまでの”中継ぎ”として、草壁皇子のキサキであり、文武天皇の母であり、首にとってのおばあさまが、「元明天皇」として即位するんですね。
”中継ぎ”とは言いましたが、もちろん政治に手抜きはありません。武蔵国秩父郡(現在の埼玉県秩父市)で純度の高い銅がとれたことをきっかけに、『和同開珎』というコインがつくられたのは、元明が即位した翌年のことです。
律令もできた遣唐使も派遣した。おまけに和同開珎もつくって、藤原京の生活は順風満帆だぁ! と思っていたらば、帰国した遣唐使が慌てふためいて、
遣唐使「と、ととと、唐の都・長安と藤原京は、なんかいろいろ違います!」
朝廷「なんかいろいろ違うんかい!」
となったので、唐をお手本にしたい日本は、長安をモデルに新しい都を造営。これこそが
『平城京』
という都で、ここからが、
『奈良時代』
のスタートです。
奈良時代が始まってすぐ、天武が望んだものの一つ、『古事記』という歴史書が完成します。
和同開珎、藤原京から平城京への遷都(都を他の場所へ移すこと)、さらには古事記の完成。およそ8年、かなりパワフルに国の政務を執り仕切った元明は、「もうそろそろ首に皇位を……」と考えるようになるのですが、それでも首は15歳。
「うーん……15歳かぁ……まだちょっと若い……かな?」
となったようで、元明は、皇位のバトンを”自分の娘”にパスするんですね。
文武の姉だった彼女は、首からすれば伯母にあたります。その伯母さまが、またもや中継ぎの天皇、「元正天皇」として即位するんです(こちら日本史上唯一の女性から女性、母から娘への皇位継承です)。
元正の時代にも、とっても重要なものが完成しています。それこそが前回のパート(乙巳の変と大化改新)で取り上げた、『日本書紀』なんですね。
これで、〈都、律令、国際関係、お金、正史〉と、立派な国5点セット(みたいなもん)が整いまして、もはや我が国に問題など何もない! と思っていたら、
朝廷「あ、やば。土地が足りない」
すぐに問題発生。
どんどん日本の人口が増えてきちゃって、みなさんにお配りする「口分田」が不足してくるんですね。
そのため朝廷は、「百万町歩開墾計画」という開墾(山や野原を切りひらいて耕して、新しく田畑とすること)の計画をスローガンとして掲げ、その翌年には
朝廷「新しく用水路や池を作って開墾した田んぼは、三代(本人・子・孫 or子・孫・ひ孫)まで、その土地を”支配して所持”していいよ! すでにある用水路や池を復活させて開墾した田んぼも、一代限りの所持を認めます!」
という、「三世一身法」って政策をズバン! っと発表。どうにか土地問題を解消してやろうと奮闘するんです。

そうこうしていたら、ついに元明・元正の願いが叶う日がやってきます。とうとう成長した首皇子が皇位を継承するときが訪れたんですね。
元明や元正のみならず、みんなで繋げたバトンが、ついに渡るべき人に渡った。おそらく本当にたくさんの人が「やったー!」と雀躍したと思いますが、首が天皇に即位したとたん、世の中と朝廷に、
不幸が咲き乱れるんです。
(「大化の改新と大宝律令」の章はここまで!)
13歳のきみと、日本の歴史を動かした事件の話をしよう。

『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳戦国時代』『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう』などなど、ロングな人気作の多い房野史典さん。
絵がうかび、笑いながら読んでいたら、気づけば頭に入ってた! という、驚異の歴史語りは、一度読んだら大人も子供もみんなハマる!
歴史の大先生方からもお墨付きをいただいている房野さんの新連載は、「有名な事件を読み解くと、歴史の動きが見えてくるよ!」ということを教えてくれます。
歴史の面白さがグングン深まっていく、ゾクゾクする感覚をお楽しみください。










