現役医師で作家の南杏子さん。デビュー作『サイレント・ブレス』(2016年9月)から10年目の同じ9月に『沈黙の患者』が発売になりました。デビュー10周年記念作品! というわけで、この10年苦楽を共にした(?)担当編集Kと南杏子さんで、ざっくばらんに色々振り返ったおしゃべりをお届けします。
最終回は、執筆スタイルや趣味のお話、最新刊の『沈黙の患者』のことなど。

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このおしゃべりをした日は、クルーズ船に乗って趣味の社交ダンスを堪能した、という夏休みのあと。月~金で病院に勤務し、小説も書き、趣味も楽しむ南さん。10年以上の付き合いの編集は、そのエネルギーと好奇心に圧倒されています。
編集 毎年新刊を出して、忙しい中、大変じゃないですか? 嫌になったりしませんか。
南 全然。今でも楽しいです。書き始める時や、修正する時、悩むこともありますが。
編集 そもそもプロットを考えたり執筆したりは、いつしてるんですか?
南 朝が一番頭が働きますね。寝ながら考えてたこととか、朝起きてシャワーの時に結構思いつくんですよね。そういうのを書き留めておくのは、朝の通勤電車です。1時間以上あるので。
編集 そして、週末に集中して原稿書く感じですか?
南 そうですね。でも最近は、社交ダンスのレッスンに行くようになっちゃったんですけど。
編集 社交ダンス、始めたのはいつですか?
南 63歳だから、もう2年になります。
編集 アクティブですよね。難しくないですか?
南 難しいですよ。でも、最近つくづく思うのは、人生を楽しく過ごすっていうのはそういうことかなと。社交ダンスを始めて、このステップができてないとか、もっと上手くなりたいとか、満足できないからこそ目標ができて、夢中になれる。
編集 今回のクルーズ船はどうでしたか?
南 ダンスツアーとセットになってるクルージングで、朝昼晩、ダンスがあるんです。お上手な方もたくさんいらして、刺激も受けたし、楽しくて楽しくて。Kさんもやりましょうよ。
編集 絶対イヤです。山女なんで。
編集 最後に新刊『沈黙の患者』のお話を。これは、狙ったわけではないですが、結果的に10周年記念作品になって。心理サスペンスで、新境地ですよね。
南 これまでは、病気とか医療を書いてきたという感じなんですが、今回は「人」を書けたな、と思いました。
編集 確かに! そうですね。主人公は事件を起こす人ではなく、その背景にいる人。
南 これまでの主人公は、病人やお医者さんといった、肩書きのある人。今回は、事件の中心にいるのは別の人で、その周囲で翻弄される「普通の人」を書きました。またその事件もすっきりと解決しない。
編集 これまでは、亡くなりましたとか、助かりましたとか、「結末」があった。でも周囲の人の人生は続いていくし、わかりやすい終わりはないですよね。
南 Kさんに、「いい終わり方、まとめ方をしなくていいです」って言われて、それでいいんだって、自分の中でも新しい扉が開きました。デビュー作、『サイレント・ブレス』の主人公・倫子先生たちがキーパーソンとなる仕掛けもお楽しみください。
編集 次はどんな作品を書きたいですか。
南 社交ダンスや、クルーズ船を舞台にした小説を書きたいです。クルーズ船の船医を主人公にしたり、クルーズ船の社交ダンス講師が、いろんな人の悩みを解決したり。
編集 まさに、趣味と実益。“医師で作家で社交ダンサー”になってください!
沈黙の患者

「あのまま、一人で焼け死んだくれたら……」高齢化社会に潜む“犯罪未満”の出来事に心揺れる人々を綴る、傑作心理サスペンス。デビュー10周年を迎えた現役医師で作家の新境地!
決して他人ごとではない、日常を蝕む5篇の物語
知人に唆されて「認知症の母」をレンタルして、介護保険を騙し取ってしまった独身中年の娘。――「沈黙の患者」
子ども食堂に“他人の孫”を連れてきて、甲斐甲斐しく世話を焼く老爺に疑問を持つ女性スタッフ。――「夕方の善意」
年老いた父親が若い女性と付き合っていると知って、無理やり別れさせようとする中年姉妹。――「シル専の女」










