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沈黙の患者

2026.09.25 公開 ポスト

担当編集とおしゃべりその4 次作は社交ダンスやクルーズ船を題材に

63歳から始めた社交ダンスにハマる…目指すは“医師で作家で社交ダンサー”!?南杏子

現役医師で作家の南杏子さん。デビュー作『サイレント・ブレス』(2016年9月)から10年目の同じ9月に『沈黙の患者』が発売になりました。デビュー10周年記念作品! というわけで、この10年苦楽を共にした(?)担当編集Kと南杏子さんで、ざっくばらんに色々振り返ったおしゃべりをお届けします。

最終回は、執筆スタイルや趣味のお話、最新刊の『沈黙の患者』のことなど。

*  *  *

クルーズ船でダンス三昧

このおしゃべりをした日は、クルーズ船に乗って趣味の社交ダンスを堪能した、という夏休みのあと。月~金で病院に勤務し、小説も書き、趣味も楽しむ南さん。10年以上の付き合いの編集は、そのエネルギーと好奇心に圧倒されています。

編集 毎年新刊を出して、忙しい中、大変じゃないですか? 嫌になったりしませんか。

南 全然。今でも楽しいです。書き始める時や、修正する時、悩むこともありますが。

編集 そもそもプロットを考えたり執筆したりは、いつしてるんですか?

南 朝が一番頭が働きますね。寝ながら考えてたこととか、朝起きてシャワーの時に結構思いつくんですよね。そういうのを書き留めておくのは、朝の通勤電車です。1時間以上あるので。

編集 そして、週末に集中して原稿書く感じですか?

南 そうですね。でも最近は、社交ダンスのレッスンに行くようになっちゃったんですけど。

編集 社交ダンス、始めたのはいつですか?

南 63歳だから、もう2年になります。

編集 アクティブですよね。難しくないですか?

南 難しいですよ。でも、最近つくづく思うのは、人生を楽しく過ごすっていうのはそういうことかなと。社交ダンスを始めて、このステップができてないとか、もっと上手くなりたいとか、満足できないからこそ目標ができて、夢中になれる。

編集 今回のクルーズ船はどうでしたか?

南 ダンスツアーとセットになってるクルージングで、朝昼晩、ダンスがあるんです。お上手な方もたくさんいらして、刺激も受けたし、楽しくて楽しくて。Kさんもやりましょうよ。

編集 絶対イヤです。山女なんで。

月曜から金曜は医師として働く

編集 最後に新刊『沈黙の患者』のお話を。これは、狙ったわけではないですが、結果的に10周年記念作品になって。心理サスペンスで、新境地ですよね。

南 これまでは、病気とか医療を書いてきたという感じなんですが、今回は「人」を書けたな、と思いました。

編集 確かに! そうですね。主人公は事件を起こす人ではなく、その背景にいる人。

南 これまでの主人公は、病人やお医者さんといった、肩書きのある人。今回は、事件の中心にいるのは別の人で、その周囲で翻弄される「普通の人」を書きました。またその事件もすっきりと解決しない。

編集 これまでは、亡くなりましたとか、助かりましたとか、「結末」があった。でも周囲の人の人生は続いていくし、わかりやすい終わりはないですよね。

南 Kさんに、「いい終わり方、まとめ方をしなくていいです」って言われて、それでいいんだって、自分の中でも新しい扉が開きました。デビュー作、『サイレント・ブレス』の主人公・倫子先生たちがキーパーソンとなる仕掛けもお楽しみください。

編集 次はどんな作品を書きたいですか。

南 社交ダンスや、クルーズ船を舞台にした小説を書きたいです。クルーズ船の船医を主人公にしたり、クルーズ船の社交ダンス講師が、いろんな人の悩みを解決したり。

編集 まさに、趣味と実益。“医師で作家で社交ダンサー”になってください!

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沈黙の患者

「あのまま、一人で焼け死んだくれたら……」高齢化社会に潜む“犯罪未満”の出来事に心揺れる人々を綴る、傑作心理サスペンス。デビュー10周年を迎えた現役医師で作家の新境地!

決して他人ごとではない、日常を蝕む5篇の物語

知人に唆されて「認知症の母」をレンタルして、介護保険を騙し取ってしまった独身中年の娘。――「沈黙の患者」

子ども食堂に“他人の孫”を連れてきて、甲斐甲斐しく世話を焼く老爺に疑問を持つ女性スタッフ。――「夕方の善意」

年老いた父親が若い女性と付き合っていると知って、無理やり別れさせようとする中年姉妹。――「シル専の女」

 

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南杏子

1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入。卒業後、都内の大学病院老年内科などで勤務したのち、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを勤める。帰国後、都内の高齢者中心の病院に内科医として勤務。

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