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メイキング・オブ・『ビジネスパーソンのための「芸風」で書く技術』

2026.07.22 公開 ポスト

ボス猿、縄張り、パンチくん――職場の人間関係をサル山として観察することで見えてくるものレジー(批評家・会社員)

7/29に刊行される『ビジネスパーソンのための「芸風」で書く技術』(リンク先はAmazonに遷移します)。当連載はこの本をより楽しむべく、完成までの裏側や本文の内容について著者の視点でセルフライナーノーツ的に語っていくものである。

「ビジネスパーソンの」と銘打っているが、この言葉をいわゆる会社員のようなデスクワーク中心の仕事だと捉えるとして、自分はビジネスパーソンというものになってから20数年の時間が経った。その途中、就職してから大体10年くらいで自分の文章をクローズドなSNSだけではなく他人の目にさらすようになったので、ビジネスパーソン生活の約半分くらいは会社の仕事と社外での執筆活動を並行させているということになる。

 

自分としてはどちらにも相応の面白さややりがいがあるからこそ、この2つを同時に走らせている。一方で、義務感を強く持って取り組んでいるのは会社の仕事だったり、あるいは「いつでもやめられる」と「ここまで来たらやめるという選択肢も持ちづらい」という不思議な状況との対峙が求められるのが社外での執筆活動だったり、社内外の活動を同時に進めていくうえで何かしら考えることがそれぞれあるのもまた事実である。

今回の『ビジネスパーソンのための「芸風」で書く技術』の内容は、この2つの領域をいかに架橋するかが大きなポイントになっている。そして、こういった架橋という考え方は自分だけに該当する特殊なことではなく、自身の立ち位置や興味のあることを見直すことで誰にとっても当てはまる話になっていくのではないか、というのも本書で伝えたいことの一つである。

当連載の3回目で2つの領域をつなげるために批評という考え方を本書では持ち込んでいる旨に触れたが、批評をするうえで重要な行動が「観察」だと自分は思っている。その対象を正しくかつ面白く論じるためには、俯瞰とフォーカスを行き来しながら自分にとって興味の惹かれるポイントを見つける必要がある。そのために、たとえば音楽の話であれば対象となる楽曲を繰り返し聴いたり、その作品が生まれた同時代性をつかむために周辺の事象を調べたり、といったことが求められるだろう。

では、この考え方を会社での仕事に当てはめてみるとどうなるか。

誰から教えられたというわけではないが、自分は会社で働く上でそこにいる人同士の関係性に目がいくことが多い。思えば新入社員の時についていた上司が「人事異動情報大好きおじさん」だったことが関係しているのかもしれないし、小学生のころから政局に関するニュースが好きだったのも今の自分の性向につながっているのかもしれない。

関係性が見えてくるとその情報を補助線として、組織における力学、良し悪しの判断基準、誰をどう抑えるとよいかのルートなどが見えやすくなる。そうなってくると、自分が何かをするときに外してはいけないポイントがクリアになる。

この関係性をどうやってとらえているかと考えたときに、自分は職場をあるものに見立てて理解していることに思い至った。

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とはいえ、急に職場を観察してみようと言われてもイメージがつかないかもしれません。ここで思い浮かべていただきたいのが、動物園にある「サル山」です。

わたしは昔から動物園でサル山を見るのが好きで、今でも長時間見ていても飽きが来ません。そこにはボス猿を中心とした力関係があり、その周辺での小競り合いがあり、もしくは親子の営みがあります。また、ちょっとした刺激で群れの空気ががらりと変わったり、えさの時間になるとそれまでおとなしかった猿が強気に出てくるような意外な瞬間もあったりします。2026年2月ごろからSNSを通してすっかり世界的な人気者になってしまったパンチくんのように、決して強いわけではないのになぜか目を引く存在がいることもあります。空間の各所で様々なことが起こっていて、それぞれのアクションが少しずつ全体の空気とつながっています。

大人になってからサル山を見るにつけ、「この景色は会社そのものだな」と思うようになりました。発言力のある上司、部門もしくは個人間の一触即発の勢力争い、先輩と部下や若手同士のほほえましい関係、報酬に対する欲望の発露、などなど、会社で起こっていることも外から見るとこんな感じなんだろうなと想像します。この感慨は、組織全体の力関係やそれぞれのやっていることが、各自の真剣さゆえに傍から見るとどこか滑稽なものに映るというアイロニーも含めてのものです。

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職場をサル山としてとらえる。ボス猿、なわばり、エサなどなど、サル山のメタファーで会社を語ることのできる局面は結構多い。こういった視点を持つことで、職場のちょっとした出来事から得られる情報量は増えるし、それは結果的に「会社で書く文章」の質を高めることにもつながるだろう。実際にどう“質を高める”かについては、本書発売後にぜひご確認を。予約も始まっていますのでこちらのリンク(Amazonに遷移します)からぜひお買い求めください。

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メイキング・オブ・『ビジネスパーソンのための「芸風」で書く技術』

7/29発売の批評家・会社員のレジーさんによる新刊『ビジネスパーソンのための「芸風」で書く技術』にまつわる新連載です。連載単体だけでなく、書籍の番外編としても楽しめる内容になっています。

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レジー 批評家・会社員

1981年生まれ。一般企業で経営戦略およびマーケティング関連のキャリアを積みながら、日本のポップカルチャーについての論考を各種媒体で発信。著書に新書大賞2023入賞作『ファスト教養10分で答えが欲しい人たち』(集英社新書)のほか、『増補版夏フェス革命―音楽が変わる、社会が変わる―』(blueprint)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア、宇野維正との共著)、『東大生はなぜコンサルを目指すのか』(集英社新書)。

X(旧Twitter) : @regista13。

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