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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2025.08.18 公開 ポスト

#65

新作取材でドタバタ 沖縄珍道中編相場英雄

<使用機材>FujifilmX100V

昨年初からずっと温めてきた小説のテーマがあった。世間から〈社会派〉と呼ばれる機会の多い私だが、今回はかなりハードな中身だ。〈内容ヤバすぎで無理〉等々、紆余曲折があった。その後、当欄の編集担当であるG舎のKさんに相談したところ、〈絶対にウチでやりましょう! 〉とのありがたいお言葉をいただいた。

それから数カ月。梅雨明け宣言の出た日にKさん、そしてG舎文芸誌編集長のNさんとともに沖縄本島に到着した。

目指すは本島中部の特定エリア。詳細は添付写真とキャプションをご覧いただきたいが、日本の中のアメリカ、その周辺地域を取材するのが主目的だ。

アメリカとは米軍基地のこと。同県には三一の米軍関連施設があり、本島の一五%を占めている。昨年来考えてきた主要テーマは、米軍基地と密接な関係がある。このため、K氏、N氏とともにつぶさに現地を歩いた。

同業者の中には、担当編集者に取材に行ってもらい、写真や動画を参考に作品を創り上げる人も少なくない(けなしているわけではない、人それぞれだから)。

私の場合、元々通信社の記者を務めていたので、自分の見た物、直接会って話を聞くことが一番だと考えている。今回はお二方に取材にお付き合いいただき、灼熱の沖縄を訪れたのだ。

 

なぜ米軍基地関係の取材だったのか。本稿で詳細は明らかにできないが、長年の記者根性で、とにかく現地に行き、その場所の空気を肌で感じるのが大事というわけで、本島のあちこちをレンタカーで駆け巡った。

沖縄本島の某所。新連載の重要なキーを握る児童公園。真面目な作家なので、全部行ってみないと気が済まない。

ごくごく普通の児童公園に赴き、写真を撮り、実際に歩いてみた。その後は基地近くの河川に向かい、小説の主要キャラクターが訪れた体裁でカヤックに乗り、河岸の風景、頭上を爆音で飛び続ける米空軍戦闘機の様子もつぶさに観察した。

米軍基地に隣接する河川にて、カヤックに乗り込む前の作家。遊びではない。取材である。
G舎のKさん。か弱い女性なので、パドルは全部私が操った。
沖縄本島の米空軍基地を道のえきからのぞむ。実際に行ってみないと、基地問題のあれこれがわからない

私の作品を読んでくださった読者にはお馴染みだが、著者が実際に現地に行くことで、原稿にもリアリティーが活きてくる。読者がページをめくるたび、実際にその場所を旅するような感覚で読んでもらおうと常に腐心しているのだ(普段おちゃらけだが、仕事は真面目)。

米軍基地のことに触れていると、いわゆる〈基地問題〉を想像される読者が多いはず。だが、今度の取材の主目的はそこではなく、別のところにある(新連載を読むべし)。

同地に住んでいない私ごときが詳細な話を書くわけにはいかない。新しい小説についても、決めつけではなく、様々な要素を組み合わせた上で綴っていく予定だ。

さて、口の卑しい作家が、取材だけで満足できるはずがない。何度も訪れた沖縄の地で、地元民がこよなく愛する食堂や居酒屋へ行き、実際にそこにいた人たちと言葉を交わし続けた。

ガイドブックには載っていない様々な生活習慣や祭りの話をたっぷりと仕入れることができた。

また、現地事情をジャーナリストの視点から鋭く解説してくださった地元紙のS記者には感謝してもしきれない。ありがとうございました。

取材の合間に、西原町(首里城の東側)の名店で沖縄すば(そばではない)とチーズ乗せジューシー(炊き込みご飯)。猛烈にうまい。
取材日程終了後、那覇市の名食堂で反省会。沖縄ちゃんぽんで総括(ちなみに具材の下は麺ではなくご飯)。

 

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食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(ともに幻冬舎文庫)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。近著は『血の雫』(幻冬舎文庫)、『レッドネック』(ハルキ文庫)、『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)、『覇王の轍』(小学館)、『心眼』(実業之日本社)、『サドンデス』(幻冬舎)、『イグジット』(小学館文庫)『ゼロ打ち』(角川春樹事務)、『マンモスの抜け殻』(文春文庫)。『覇王の轍』(小学館文庫)、『浸潤』(別冊文藝春秋連載中)

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