「心の持ち方ひとつで、人生は大きく変わる」――。インドのヨガ・禅の思想などを融合して築き上げた哲学を実践し、大谷翔平選手や松下幸之助など、数々の成功者を導いた、思想家・中村天風。天風哲学は、呼吸・姿勢・言葉を通して、逆境に打ち克つ力を育てていきます。
天風会の理事も務めた最後の愛弟子が、珠玉の教えをマンガとともにやさしく解説した『マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば』。本書から、一部を再編集してご紹介します。
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悩みの後には楽しみがくる
天風先生は「心の使い方」という、稀有で実践的なシナリオを「心身統一法」として残しました。時々に応じて、百芸を見渡し一芸としての「心の使い方」を実践することこそ、今の時代に必要なことではないでしょうか。
無責任のようですが、心に知らしめなければ問題は生じません。
我が身に病があっても、そのことに思い悩まなければ、悩みはありません。さらに人生の不運に遭遇しても、不幸な事柄に気づかなければ、日常生活で我々の心が乱れることはありません。人間は、いつも幸福でいられるのです。
しかし人生、不幸や不運に気づかないで正常な人間社会を構築るのには問題が残ります。
シャンソン「ミラボー橋」の歌の一節にも、「悩みの後には楽しみが来る」という
ものがあります。こうした人たちの想いの集積が、人間社会をより良き状態に導くのでしょう。
人生というものが、いつも無事平穏で、何事もない状況が続くのであれば、それはそれでよいのでしょうが、順風満帆とはいかないのが人生なのです。
日常的に変化する、お天気のように移ろい多いのが人生なのです。
確固たる人生観をもたずに生きていることは、荒海を正確な海図も羅針盤ももたずに航行しているようなもので、いつ何時難破船となるかもしれません。
楽しんで生きる、ともあれ気楽な気分で生きられる人生観をもつことです。人生、千年も万年も生きられないのです。
生きている刹那、刹那を、どんなことが起きても、苦しみの心を気にせずに楽しい心で生きていけるように自分を変えていく努力が必要です。ところで同情するつもりで「痛いでしょう、苦しいでしょう、お気の毒だわ」などと、暗い顔付きで声をかけるのは親切な言葉のようでマイナスです。実は、相手の消極心をいたずらに煽るようなものだからです。
理想的な思いやりある態度とは、常に相手に健康な状態を思い起こさせ、相手の心に元気な積極心を誘発する声かけなのです。

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大谷翔平選手も学んだ、「どんな逆境にも打ち克てる心の持ち方」を身につけたい方は、幻冬舎新書『マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば』をお読みください。
マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば

思想家・中村天風は、「心持ちひとつで、人はどんな逆境にも打ち克てる」と説き、インドでの修行で得た悟りや禅の思想などを融合させて“天風哲学”を築き上げた。その教えは、呼吸法で精神を鍛え、正しい姿勢で気を整え、前向きで強い言葉による暗示で潜在能力を引き出す実践的なもので、運命すらも切り拓けるようになる。本書では、天風会の理事も務めた最後の愛弟子が、師、天風のことばを40個厳選し、マンガとともにやさしく解説。松下幸之助や稲盛和夫らを成功に導き、大谷翔平も学んだ最強の成功哲学が、自然と身につく一冊。











