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発売からわずか1ヵ月で20万部という話題のベストセラー夢と金。金が尽きれば、夢も尽きる!現代日本人の全てが、読まずに通り過ぎてはいけない一冊を、本人自ら深堀り!

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(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ

「コミュニケーションが生まれる装置」の別名が「不便」

今日も最新刊『夢と金』を深掘りしていきたいと思います。

すっかり「教科書」のような扱いになっております。

今日は188ページの「不便がもたらしてくれるものを取り上げます。

最新刊『夢と金』の前半戦は「日本人は人口も減ってきたし、くわえて皆がそこそこ貧しくなってきたので、『たくさん売る』が難しくなってきたから、『高く売る』に目を向けてみよう」という話になっておりまして、そんなこんなで第1章のテーマは「富裕層の生態系」になっております。

「高く売るには、高く買ってくれる人の性格(行動パターン)を知っとかなきゃね」という。

そして第二章では「とはいえ、富裕層ってそんなにたくさんいないから、ならば、富裕層でもないあなたのお客さんに少し高く買ってもらう為にはどうすればいいんだっけ?」という話から「コミュニティー」というテーマに流れます。

詳しくは本を読んでいただきたいのですが、すっごく雑に説明すると、「人としてズブズブに繋がったら、商品代の中に“応援代”が加算されて、ちょっと高く買ってもらえるよね」といったところ。

時々、「この人いいなぁ」と思った人に、「お釣りは要らない。貰っといて」と言ったりしますが、あの感じです。

実際、オンラインサロン内では、そういうことが頻繁に起きていて、サロンメンバーさんって、「どうせ似たような商品を買うならサロンメンバーさんから」という理由から、サロンメンバーさんのお店を利用することが少なくないんですね。

コロナ禍はそれが顕著で、サロンメンバーさんの飲食店に行ったサロンメンバーさんが「今、飲食店が大変なのは分かってるから」と言って、料金を多めに払ったり、「お店には行けないけど、応援の気持ちとして」と言って、オンラインショップで「応援グッズ」を買ったり、クラウドファンディングで支援したりしていました。

熊本で水害があった時なんかは、被害に逢ったサロンメンバーさんのお店の支援をサロンメンバーの皆がしていました。

それもこれも「人として繋がっているから」であって、“高く売らなきゃいけない”ここからの時代は「コミュニティー」というのは絶対に無視できない。

コミュニティーを作るには、当然、「コミュニケーションが生まれる装置」を作る必要があって、その「コミュニケーションが生まれる装置」の別名が「不便」なんです。

高く買ってもらう為に、戦略的に「不便」を設計する

たとえば「電車の切符の買い方に困っている外国人さんに切符の買い方を教えてあげる時」や、
たとえば「自分と同じタイミングで狭い道を行こうとしている女性に道を譲る時」や、
たとえば「お箸が届かない場所にある料理を取り分けてあげる時」。

コミュニケーションが生まれる場所には必ず「不便」があるんですね。

コミュニケーションって何かというと「協力」なんです。

「会話」なんて「協力」そのものじゃないですか?

逆に言うと、「不便」が無い場所ではコミュニケーションを取る必要がないので、「不便」を取り除いてしまうと、コミュニケーション(協力する機会)が減ってしまうんですね。

不便を取り除いたことによって(便利にしたことによって)、コミュニケーション(協力する機会)が減ってしまうと、先ほど申し上げた「ズブズブの関係」になりにくくなるから、「高く買ってもらう」が難しくなってくる。

こういうのを「便利害」と言います。
「便利がもたらす損害」のことですね。

今日のタイトルにある「不便益」というのは「不便がもたらす利益」のことなんですけども、不便益の一つが、「不便にしたことによって生まれるコミュニケーションによって生まれる“応援代の加算”」です。

なので、商品を高く買ってもらう為に、サービス提供者は“戦略的に不便を設計する必要がある”。

サービスというのは便利にすればするほどお客さんから喜ばれるから、この部分を、ついつい見落としちゃう(盲目的に便利化に走っちゃう、)んですけども、便利競争の先に待っているのは「安売り」なんで、一度、立ち止まって考えた方がいいと思います。

上手く説明できる自信が無いんですけども、僕らは「便利」を前にした時に思考停止になる(「便利は良いものだ」と信じ切ってしまう)きらいがあるような気がしているんですけども、でも、部分部分をよく見ていくと、僕らは必ずしも「便利」を求めているわけじゃないんです。

BBQだってそうでしょ?
ボタンを押せばワンタッチで炭に火がついたら嫌じゃない?

初詣の「お賽銭」もそう。
スマホ決済の方が千倍便利だけれど「お財布から小銭を出して、賽銭箱に投げる」という面倒を望んでいるでしょう?

なんでもかんでも便利にすればいい(便利にすれば皆が幸せになる)と思ったら大間違いで、「潰した方がいい不便」と「残した方がいい不便」をキチンと見極めて、サービスを設計していくことがとっても大切だと思います。

最新刊『夢と金』では、これからの時代を生きていく上で絶対に入れておかなきゃいけない情報を詰め込んでおります。

ご自身が読まれた後は、大切な人、守りたい人に贈ってあげてください。

(撮影:イシヅカマコト)

 

※このコーナーは、西野亮廣の公式ブログより転載しています。(一部修正アリ)

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西野亮廣『夢と金』

「まえがき」より 「夢か?金か?」という議論をキミのまわりの連中は繰り返すだろう。 耳を傾ける必要はない。あんなのは全て寝言だ。 「夢」と「お金」は相反関係にない。僕らは「夢」だけを選ぶことはできない。 「お金」が尽きると「夢」は尽きる。これが真実だ。

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キングコング西野が自ら『夢と金』解説

発売わずか1カ月で20万部を突破した、話題のベストセラー『夢と金』。

著者は、キングコング西野亮廣。絵本、映画、ミュージカル、歌舞伎…と日々エンタメを生み出している一方で、ビジネスモデルも構築し、圧倒的な実績を残しているという唯一無二の存在が、自らの経験から得た知識を、余すところなく、一冊に書き切った!

まさに、現代日本人の全てが読まずに通り過ぎてはいけない一冊を、本人自ら解説。

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西野亮廣 芸人・絵本作家

1980年兵庫県生まれ。芸人・絵本作家。
2009年、『Dr. インクの星空キネマ』で絵本作家デビュー。0.03ミリ細い黒ペンで描かれたモノクロの緻密な絵が評判に。その後、『Zip&Candy-ロボットたちのクリスマス-』『オルゴールワールド』とモノクロ絵本を執筆。『えんとつ町のプペル』で初のカラー絵本を製作し、以後の作品、『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』『みにくいマルコ~えんとつ町に咲いた花~』はすべてカラーで製作。絵本累計部数は100万部突破。
他にも、小説『グット・コマーシャル』、ビジネス書『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』『新・魔法のコンパス』『新世界』など。ビジネス書のる生餌部数も100万部突破。

製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」(2020年公開)は、映画デビュー作にして動員196万人、興行収入27億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めた。
「えんとつ町のプペル」はミュージカルや歌舞伎としても上演され、好評を博している。
プペル発のNFTでは2022年10月31日に、取引量世界一を記録。

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