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キングコング西野が自ら『夢と金』解説

2023.06.22 公開 ツイート

バカと無知 ~「貧しさ」と「攻撃性」の因果関係 西野亮廣

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)

経済的に成功している人は、人に優しい

そんなこんなで今日は「貧しさ」と「攻撃性」というテーマでお話ししたいと思います。

これを言うと批判もそこそこありそうなので、普段なかなか言いにくいところではありますが、皆さんの周りにいる“経済的に成功している人”って、ものすごく人格者だったりしません?

なんか大きくて優しかったりしません?

「え? それを許しちゃうんだ」みたいなことを平気でやったりする。

僕、以前、新幹線のグリーン車に乗ってる時に「椅子を倒していいですか?」と後ろの席の方に断りを入れて、リクライニングを倒したことがあって……その時(ちょっと説明が難しいんですけども)、後ろの席の人が窓にかけていた(服のタグで引っ掛けていた)コートを僕の椅子が後ろに押し込む形になって、結果、服のタグを千切ってしまったんです。

すぐに立ち上がって目を見て「すみませんっ!」と言ったら、もう「大丈夫ですよ~」という落ち着いた笑顔で、「いえいえ。これは私のミスです。余計な気持ちにさせてしまってすみませんでした」と逆に謝られたんです。

僕を落ち着かせる為に、あの笑顔を作って下さったんだと思うんですけども、大切なコートのタグが切れたことで気持ちが揺れ動いた感じが1ミリもなかったんです。

その人を見てみると、身なりから、もの凄く品があって、明らかに経済的に成功している感じなんです。
#あの笑顔は忘れられない

「優しさ」は後天的なものなのか、先天的なものなのか?

一方で、いわゆる「クレーマー」と呼ばれる人達の中に、こういう「明らかに経済的に成功している人」って、あんまり見当たらない。

経済的に成功しているから余裕が出て、人に優しくなれるのか?

それとも、人に優しくできる人だから経済的に成功したのか?

つまり、「優しさ」というものが後天的なものなのか、それとも先天的なものなのか? という問いがある。

そして「貧しさ」と「攻撃性」には因果関係はあるのか? という問いがある。

この答えを探すヒントとなるようなことなんですけども……

作家の橘玲(たちばなあきら)サンが『バカと無知 ~人間、この不都合な生き物~』というご著書の中で、「徹底的に社会的な動物である人間は、集団としての自尊心が低下すると攻撃的になるが、それは同時に、個人としての自尊心が揺らいだ時もきわめて危険だ」と書かれています。

この話がメチャクチャ面白かったんですけども、日本人の「反韓・反中」のノリってあるじゃないですか?

僕はまったく理解できないし、支持もしませんけども、でも、確かにありますよね。

「先に、攻撃してきたのはアイツらだ」的な。

ただ、この「反韓・反中」が叫ばれるようになったのって、2009年頃からなんですね。

その前は、あるにはあったのかもしれませんが、あんまり無かった。

僕と同世代の人は頑張って当時の記憶を思い出していただきたいんですけども、学生時代に「韓国許せない」とか言ってるヤツ、一人もいなかったでしょ?

ただ、韓国や中国は昔から「反日」なんです。

「先に攻撃してきたのはアイツらだ」という言い分に整合性をもたせるのであれば、日本も昔から「反韓・反中」であるハズなのに、そうはなっていない。

経済的に貧しくなると、人は攻撃的になる

これですね、日本が「貧乏臭く」なっていく過程と(「アジアで一番」という自尊心が揺らぎ始めた時期と)、「反韓・反中」の声が大きくなり始めた時期がビッタリ重なってるんです。

昔は、韓国や中国が「反日活動」していても、歯牙にもかけてなかった。

「へぇ、そうなんだ」ぐらいに思ってたけど、中国に抜かれ、韓国にエンタメでボロ負けしたあたりから、「なんだよ、アイツら」となった。

Twitterも気がつけば、どんどん攻撃的になってると思いませんか?

誰かを批判するか、論破するか、あるいは、五輪の開会式のクリエイターを片っ端から攻撃して「キャンセルカルチャー」を巻き起こすか。

どうやら経済格差が広がると、自分が虐げられていると感じる層が増えて、自尊心が揺らいで、その結果、人は攻撃的になるみたいです。

「優しさ」を「先天的なもの」と言い切れない理由はこれです。

「優しい子に育って欲しい」と願うお父さんお母さんは、「自尊心が揺らぐと、経済的に貧しくなると、僕らは優しさ(余裕)を奪われ、攻撃的になる」ということは頭に入れておいた方が良さそうです。

最新刊『夢と金』では、生きていく上で絶対に必要な「お金の知識」が学べます。

大切な人、守りたい人、そして子供達と一緒に読んでみてください。

(撮影:イシヅカマコト)

 

※このコーナーは、西野亮廣の公式ブログより転載しています。(一部修正アリ)

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関連書籍

西野亮廣『夢と金』

「まえがき」より 「夢か?金か?」という議論をキミのまわりの連中は繰り返すだろう。 耳を傾ける必要はない。あんなのは全て寝言だ。 「夢」と「お金」は相反関係にない。僕らは「夢」だけを選ぶことはできない。 「お金」が尽きると「夢」は尽きる。これが真実だ。

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キングコング西野が自ら『夢と金』解説

発売わずか1カ月で20万部を突破した、話題のベストセラー『夢と金』。

著者は、キングコング西野亮廣。絵本、映画、ミュージカル、歌舞伎…と日々エンタメを生み出している一方で、ビジネスモデルも構築し、圧倒的な実績を残しているという唯一無二の存在が、自らの経験から得た知識を、余すところなく、一冊に書き切った!

まさに、現代日本人の全てが読まずに通り過ぎてはいけない一冊を、本人自ら解説。

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西野亮廣 芸人・絵本作家

1980年兵庫県生まれ。芸人・絵本作家。
2009年、『Dr. インクの星空キネマ』で絵本作家デビュー。0.03ミリ細い黒ペンで描かれたモノクロの緻密な絵が評判に。その後、『Zip&Candy-ロボットたちのクリスマス-』『オルゴールワールド』とモノクロ絵本を執筆。『えんとつ町のプペル』で初のカラー絵本を製作し、以後の作品、『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』『みにくいマルコ~えんとつ町に咲いた花~』はすべてカラーで製作。絵本累計部数は100万部突破。
他にも、小説『グット・コマーシャル』、ビジネス書『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』『新・魔法のコンパス』『新世界』など。ビジネス書のる生餌部数も100万部突破。

製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」(2020年公開)は、映画デビュー作にして動員196万人、興行収入27億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めた。
「えんとつ町のプペル」はミュージカルや歌舞伎としても上演され、好評を博している。
プペル発のNFTでは2022年10月31日に、取引量世界一を記録。

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