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結婚って何?

2021.07.12 更新 ツイート

新しい家族の形「拡張家族」の先に考えた、結婚の定義とは? 石山アンジュ

「意識で繋がる拡張家族」を実践するコミュニティ「Cift(シフト)」で2017年から多様な人たちと「家族」として共同生活を送る、石山アンジュさん。2年前に事実婚した旦那さんとの出会いもCiftでのこと。「結婚して家族になる」ではなく、「すでに家族」の関係だった方となぜ結婚という選択をしたのか。石山さん、結婚ってなんですか?

 

結婚より前にあった”家族という日常”

2年前に結婚(事実婚)した彼とは、結婚よりも前に”家族という日常”があった。彼と出会ったのは、”意識でつながる拡張家族”を実践するコミュニティ「Cift(シフト)」。Ciftでは、家族面談を経てお互いが「家族になる」ことを合意した上で、1歳~60代まで、ミュージシャン、作家、料理人、お坊さん、LGBT活動家、政治家、美容師、画家、弁護士など、個性豊かな約100人が、ともに暮らし、支えあって生きている。

拡張家族の中でみんなでご飯を食べて、日常に子どもたちがいて、辛いときは一緒に泣いてくれる人がいて、いつも誰かと暮らしている生活。拡張家族の中には、ゲイの子もいれば、ポリアモリーもいる。制度的な関係はなくても人生の長い時間軸を共有する。

問いを分かち合う

血の繋がりがなかったとしても、Ciftのメンバー一人ひとりが他の全員と家族である、という意識を持っている。通常のシェアハウスと大きく異なる点を挙げるとすれば、その点に尽きるかもしれない。しかし、たかが意識、されど意識。家族という意識を全員で共有することで、自分がその人とどうありたいか、ということに真剣に向き合うのだ。

当然、それぞれが元々持っている家族観も違えば、家族に求めるものも違う。そこに、決まった正解は存在しない。家族とは何か。問いを分かち合い、対話をしながら暫定的な解を持って毎日を更新していく。家族のカタチに答えがないからこそ、自分を閉じずにひらき続けて、どこまで他者を自分のことのように受け入れられるか。それぞれが、自分と向き合い自己を拡張していく先に重なりが生まれた時、新しい家族のあり方があるのかもしれない。

現在、Ciftは渋谷をはじめ3つの拠点があるが、Ciftは物理的な場であると同時に、コンセプトそのものでもあるのだ。

ひとりの女性として特別な感情を抱くように

そんな世界線で生きる私にとって、「意識で人は家族になれる」と思っていたけど、彼に頂いた感情は少し別のものだった。彼との出会いもCiftで、実は彼の面談を行ったのも私だったが、出会った瞬間に特別な感情を抱いたわけではない。あくまで家族のひとりだったけど、いつからか、私はひとりの女性として特別な感情を抱くようになった。

彼も私を運命的にそういう存在だと想ってくれていて2年前の夏、お互いが人生において特別なパートナーだと誓い合った。誓い合っただけといえば誓い合っただけなのだけど、お互いがそう自覚し覚悟することで、次第に2人は夫婦になっていった気がする。私にとって結婚とは「この人と一対一で性的なパートナーシップを結びたい」、それをお互いが同意する形として残したい、という気持ちだった。

彼と結婚したいと思ったのは、彼といる自分が一番好きだと思ったからだ。さらけ出せる自分、知らなかった自分が彼といると出てくる。そんなこれまでの人生であまり抱いたことのないような特別な感覚にさせてくれる人と出会えたことを祝福したいと思った。

愛は制度や社会的な枠組みにとらわれる必要はない

愛なるものは本来、法の枠組みの外にあるもの。家族もパートナーシップも互いに意思を持って向き合うことができれば制度や社会的な枠組みにとらわれる必要はないと思う。

でも一方で、制度やシステムに自分たちを当てはめないということは、とても面倒くさいことでもある。自分も相手も日々変わりゆく生き物のような感情と向き合い、お互いがどうありたいかという意思を共有しながら自分たちの関係性を自分たちで認め続けなければならない。

わかりあえなさと向き合う

結婚も家族も仕事のようにゴールや成果があるわけではない。日常こそが本番で、その毎日をいかに愛に溢れた時間にできるかが重要だ。でも価値観も生きてきた背景も異なる人同士が幸せのピントを合わせていくには、面倒くささが伴う。わかりあえなさと向き合い、自分の弱さをひらき、相手を受けとめ、自分が変われることはいか自己変容する勇気をもつこと。それは孤立と分断が広がり、誰かと関わらなくても一人で生きていける時代に生きる私たちにとっては少々ハードルの高いことなのかもしれない。それでも人は誰かとつながることを求め、生きていきたいと思う生き物だ。

 

今月は、結婚記念日。何をしたい? と彼に聞くと、「対話をしよう。」とLINEが帰ってきた。旅行や素敵なレストランに行くことをちょっぴり期待して質問した私にとっては意外な回答だったが、そんな彼をまた好きになった。

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事実婚や別居婚、別姓に向けたペーパー離婚など、典型的な結婚制度や生活スタイルに不自由を感じ、自由な形を模索する人が増えてきている今、あなたにとっての「結婚」とは。

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石山アンジュ 内閣官房シェアリングエコノミー伝道師、一般社団法人シェアリングエコノミー協会 常任理事

1989年生まれ。「シェア(共有)」の概念に親しみながら育つ。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。201810月ミレニアル世代のシンクタンク一般社団法人Public Meets Innovationを設立。 ほかNewsPicksWEEKLY OCHIAI」レギュラーMC出演を務めるなど幅広く活動。世界経済フォーラム Global Future Council Japan メンバー。新しい家族の形「拡張家族」を掲げるコミュニティ一般社団法人Cift代表理事。著書に「シェアライフ-新しい社会の新しい生き方(クロスメディア・パブリッシング)」がある。2012年国際基督教大学(ICU)卒。新卒で()リクルート入社、その後()クラウドワークス経営企画室を経て現職。

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