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大人バレエの世界

2021.04.29 更新 ツイート

#91

習い始めの発表会でアレ踊ったな、私変わったな…の話 丸山裕子

先週、発表会についてのお知らせがありました。今年はスタジオの15周年です。本来なら子どもも大人も一緒に全幕を演るのですが、コロナ禍でレッスンに来れない人がいたり、また、大勢でリハーサルをすることも難しく、子どもと大人は別の演目をすることになりました。

大人クラスの演目は「白鳥の湖」の4幕です。先生ご夫妻がオデットと王子を踊り、大人たちが白鳥たちを踊ります。

踊ります?

いや、できるんか?
4幕のあの抑えめだけれど複雑な感情表現あってこその踊りを、私たちはできるのか?
舞台上の大人たちにその心の余裕はあるのか?

 

 

先生曰く、

「大人の方だからこそ、腕や上半身の動きや表情で、しっとりとした感情表現をしてくださると期待しています」

翻訳すると、

「あなたたち、いつも足ばかり気にして、腕や上半身が疎かになっているから、ここらでしっかり鍛え直してもらいましょうか」

ということかと。もちろん、演目を決められた理由はこれだけではないでしょうけれど、間違いなくこのことも含まれていると理解しました。がんばります。

 

初めて発表会に出演したのは11年前です。習い始めて4年ほど経った頃で、爪先から頭の先までバレエ沼にはまっていた私は、もっと練習したい一心で発表会に出ることを決めました。それまでは舞台に立つなど恥ずかしくてムリだと思っていたのですが、練習したい気持ちが恥ずかしさに勝りました。「レッスンの後に発表会の練習もできるなんて、素敵すぎる!」と思いました。

リハーサルでは右も左もわからず、舞台上でも文字通り右左も前後も上下もわからず、気づいたら終わっていました。あの舞台上で空間認知能力がゼロに現象はなんなのでしょうか。演目は「ドン・キホーテ」の一場面をアレンジしたものでしたが、シソンヌアッサンブレが道路で干からびたカエルみたいになったのは第19 回で書いた通りです。


当時、発表会は1年半毎に行われていました。翌々年の発表会はスタジオの5周年記念で、先生も子どもも大人も一緒に「ドン・キホーテ」全幕を演りました。

大人はジプシーとファンダンゴを大勢で踊りました。曲も速く、長く、振付も複雑でした。ファンダンゴの振付は元ネタとあまり変わらず、「これやるんすか? できるんすか?」と思いましたが、やりましたし何とか形になりました。ポワントこそ履いていませんでしたが、皆よくやったと思います。
当時の方が身体もよく動いたし、ひょっとしたら上手だったかもしれません。私について確実に言えることは、細かった。この記事を書くために当時の写真を見て、愕然としている今です。

次の発表会では大人クラスは「白鳥の湖」3幕の各国の踊りを演りました。この年から発表会は毎年開催となりました。

いつも発表会前には事前アンケートが配られます。出演するかしないか、踊りたい演目はあるか、バレエシューズかポワントか、などを訊かれます。

前年まではバレエシューズを選択していましたが、ポワントがちょっと得意だった私は、調子に乗ってポワントで希望を出しました。知らぬがゆえの大胆さというか、初心者の無謀というか。バレエ歴6ヶ月でパリでレッスンを受けた(第15回)人間の行動としては妥当です。

この年はバレエ経験者の中に混ぜてもらって、ロシアの踊り、ルスカヤを踊ることになりました。先生のアレンジで難しいところは上手な人に前面に出てもらい、助けてもらったり教えてもらったりしながら、楽しく踊ることができました。まあ、舞台上での記憶は全くないのですけれど。ポワントでたくさん練習できたので、十分満足でした。

このとき一緒に踊った3人のうちの2人は、今はもうスタジオには通っていません。スタジオ開設時からメンバー変わらずと思ったけれど、いつしか来なくなった人もいるものだなぁと写真を懐かしく眺めました。

 

子どもにとっての10年、15年が大きいのは誰の目にも明らかです。小学生だった子がコンクールに出るようなったり、就職したり、親になったりするのですから。しかし、大人にもなかなかの変化をもたらすものです。

11年前の私は肩の骨が出ている。鎖骨の溝が深い。二の腕に揺れる肉がない。とにかく細い。(外見ばかりかい)

なのに今は……

なんなんだろう、この体脂肪。
なんだろう、二の腕の“ヒデキ”。

ああ!
それゆえの「白鳥の湖」4幕!

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大人バレエの世界

いくつになっても憧れる華やかなバレエの世界。アラフォーからバレエを始めた著者による、楽しく、たくましく、哀しくもおかしい“大人バレリーナ”の日常。

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丸山裕子 イラストレーター

京都市出身。踊るイラストレーター。健康のために始めたバレエにはまり、寝る間を惜しんでレッスンに通う。『バレエ語辞典』の全イラストを担当。書籍や雑誌、広告にイラストを描いている。女性、育児、健康、犬と花に関するものが多い。イラストエッセイは『しあわせな犬生活を』(ドッグワールド)、『極楽いぬ生活』(ペピイ)。布花作家でもあり、『まんまるさん®︎』という古布を使ったオリジナルのアクセサリーを作っている。
Instagram  @yuko.illustrations

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