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ウイルスにもガンにも 野菜スープの力

2020.08.19 公開 ツイート

<特別編>コロナ対策の今後#15

COVID-19のサイトカインストームは、IL-6だけが要因ではない 前田浩

日本人の新型コロナウイルスの感染者数と死亡数は、欧米に比べてなぜ少なかったのか。今後、「夜の街」問題はどうするのか。ファクターXは何なのか。予防に手落ちはないか? 抗がん剤の世界的権威にして細菌学・ウイルス学のエキスパートが、私見を含め、最新の疑問に答える。

* * *

いわゆる専門家や日本のメディアの間でにわかに『サイトカインストーム』が合言葉のようになりましたですがCOVID-19(新型コロナウイルス)は実際には、そのサイトカインストームの病態を正確には反映していないのではないか、との疑問が直近(2020年6月30日号)のJAMA(アメリカ医学会誌)のEditorialで論じられています(文献21)。

 

そもそもサイトカインストームとは、呼吸器疾患であるARDS( 急性呼吸窮迫 (きゅうはく)症候群 【※注】)の患者の体内でサイトカインの値が上昇する病態に命名されたもので、同様の病態がSARSでもみられました。

【※注】 手術などの外科的侵襲、ならびに肺・その他の感染症、敗血症、誤嚥を契機に発症する重篤な急性呼吸器不全。


そこで、COVID‐19の発生初期に武漢の患者数例に対して、数多くある炎症性のサイトカイン(IL-6、 IL-2、 TNFα、インターフェロン、複数のケモカイン等々)のうち炎症に強く関わるIL‐6(インターロイキン-6)に着目し、最初の数例の血中のIL‐6を調べたところ、その値が正常値以上であったことから、COVID‐19においてもサイトカインストームという言葉が使われるようになりました。

(写真:iStock.com/jarun011)

ただ、この論文(文献21)によると、その後、多くの症例では正常値以下も見られているといいます。さらに、ARDSにおけるIL‐6の値はCOVID‐19のそれより10~40倍も高いそうです。また、両者の高値群間で比べてもARDSの値の方が10~200倍高いことから、COVID‐19の、IL-6のみを要因とするサイトカインストームは裏付けが無く、こじつけではないかと述べられています。

 

そのような状況にあって、サイトカインストームに関連し、上記のIL-6の数値が高値であることがCOVID-19の発症する病因の主体であるならば、抗IL-6抗体の投与によってIL-6を抑えればよいのでは? と短絡的に議論されましたが、エンドトキシンショックと同様、複数の因子のカスケードとその相互作用からなっており、その成因は必ずしも1:1の対応ではなく、複雑系(カオス)の世界なので、特定のサイトカインの1つを選んで抑えても、COVID‐19の病態を改善できるとはまず考えられません。

このような場合には、多くのサイトカインが関与しており、一点のみでなく、多元的作用を発揮して炎症と免疫過剰反応を抑えるような薬剤としてデキサメタゾン(コルチコステロイドホルモン)の投与の方が有利になると考えられます(特別連載 第3回参照)。


 

<引用文献>

21.    P. Sinha, M. A. Matthay, C. S. Calfee, Is a Cytokine Storm Relevant to COVID-19? , JAMA(Journal of the American Med. Assoc.)Internal Medicine, Published online June 30 (2020)

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〈参考文献〉
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•堀江重郎「ヤル気が出る! 最強の男性医療」、文春新書、pp. 1-207(2013)
•堀江重郎「対談集 いのち 人はいかに生きるか」、かまくら春秋社(2018)
•産経新聞、読売新聞、中高年ひきこもり61万人、2019年3月30日
•厚生労働省「患者調査」、精神疾患を有する総患者数の推移、精神保健医療福祉のデータと政策(平成29年)http://www.mhlw-houkatsucare-ikou.jp/guide/h30-cccsguideline-p1.pdf
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•奥野修司 2020年3月19日、3月26日号 週刊新潮 •『トマトとイタリア人』内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ 文藝春秋

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ウイルスにもガンにも 野菜スープの力

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前田浩

1962年東北大学農学部卒業/1964年カリフォルニア大学 (Davis 校)大学院修了(フルブライト奨学生)/1968年東北大学大学 院博士課程修了(指導:医学部石田名香雄教授)、東北大学医学部細菌 学講座助手、ハーバード大学ダナ・ファーバーガン研究所主任研究員/1971年熊本大学医学部微生物学講座助教授/1981年同教授/ 2005年熊本大学名誉教授(医学)、同年崇城大学薬学部教授、2011年 同特任教授/2016年同栄誉教授、現在、(財)バイオダイナミックス研 究所理事長・所長/大阪大学招聘教授(医学)、東北大学特別招聘プロフェッサー

〈研究テーマと抱負〉高分子型抗癌剤、癌血管の透過性にかかわる現 象の EPR 効果、感染における生体内ラジカルの生成、炎症による生 体内活性酸素と抗酸化食品による癌予防、癌の蛍光ナノプローブに よる検出と光照射療法

〈受賞歴〉日本細菌学会浅川賞、高松宮妃癌研究基金学術賞、ドイツ生 化学会および国際 NO 学会の特別号発刊により顕彰、王立英薬学会 Life Time Achievement Award受賞、日本DDS学会 永井賞、日本癌 学会吉田富三賞、2016年トムソン・ロイター引用栄誉賞(化学部門)、 米国ミシガン州Wayne State Universityより2017 Roland T. Lakey 賞受賞、2018年瑞宝中綬章受章、西日本文化賞、米国サンアントニオ 市名誉市長、米国オクラホマ州名誉州民など多数

〈趣味〉ワイン

 

 

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