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ウイルスにもガンにも 野菜スープの力

2020.07.30 更新 ツイート

<特別編>コロナ対策の今後#12

コロナ<COVID-19>のワクチンはあまり期待できない前田浩

日本人の新型コロナウイルスの感染者数と死亡数は、欧米に比べてなぜ少なかったのか。今後、「夜の街」問題はどうするのか。ファクターXは何なのか。予防に手落ちはないか? 抗がん剤の世界的権威にして細菌学・ウイルス学のエキスパートが、私見を含め、最新の疑問に答える。

*   *   *

抗体の話のついでに、コロナのワクチンについて一言述べます。

ワクチンに多大の期待があり、資金さえ出せばワクチンが可能になるような話になっており、政府も大盤振舞をしているようですが、楽観はできません。

 

すでに、エイズやインフルエンザ、ヘルペス、マラリアあるいはコレラ、赤痢などのワクチンは、大変な投資がされたのに、完全に病気を有効に予防するものとしては成功していません。

コロナに似たインフルエンザの例でいえば、高変異性(ウイルスの抗原(顔)がよく変異すること)に加え、筋肉(皮下)注射のワクチンです。それの投与によって、一般に血中の中和抗体は程々に上昇し、一見、感染防御に役立つと思われます。

ただし、この血中の抗体はIgG型抗体と云われる種類で、血中にしかありません。

 
(写真:iStock.com/anyaivanova)

つまりそれは、たしかに試験管の中のウイルスに対しては、充分、中和作用を示して効果ありと見られます。ところが、呼吸器系ウイルスの侵入の第一関門は、鼻・口腔から気道で、その局所の粘膜上皮の粘液中にこの抗体はほとんど分泌されず、含まれていません。IgG型抗体は血液中にのみ存在します。通常これら粘膜上皮に分泌される粘液中の抗体はIgA型抗体と云われます。このIgA型の抗体が上気道に無ければ、このワクチンはあまり効かないのです。インフルエンザワクチンがあまり信じられていないのはそのためです。

(写真:iStock.com/aerogondo)

但し、ウイルスが血中に入ってくるようなウイルス血症のような状態(敗血症と同様)になれば、血中のIgG型抗体がウイルスを抑制し効果を発揮するので、全身性の重篤な事態にならずに済むので、インフルエンザワクチンも意味があるというのが、これまでこの分野の人達の見解といえるでしょう。

ところで、第2回に記載したように、インフルエンザウイルス感染(あるいはひどい炎症)状態になると活性酸素(スーパーオキサイド、ROS)や活性窒素が猛烈に発生し、第2回の図のような複雑な連鎖反応があり、特に一本鎖RNAウイルスでは夥(おびただ)しい変異株が生ずるため(文献5-10)、抗体も厳密にはそれぞれの変異抗原に対応する抗体が必要になる。勿論、かなり親株の抗原部を引き継いでいると云えるが、大変むずかしい背景が考えられる。

 

この件については更に、最近のスウェーデン人のスクリーニングの結果が報告され、第11回に記しているその論文では、軽症者、無症状者においては中和抗体はほとんど期待できないが、T細胞(メモリーTに免疫活性が生じており、COVID-19の防御に対して有用という(文献19)。

 

<引用文献>

5.    T. Akaike, M. Suga and H. Maeda: Free radicals in viral pathogenesis: Molecular mechanisms involving superoxide and NO. Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 217, 64-73 (1998)

19.    Takuya Sekine et al, Robust T cell immunity in convalescent individuals with asymptomatic or mild COVID-19, bioRxiv preprint, doi: https://doi.org/10.1101/2020.06.29.174888, June 29 (2020)

前田浩『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』

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〈参考文献〉
•W.F. Ganong, Review of Medical Physiology, pp. 1-774, Lange Medical Books., Network, CT, USA,とくにCh. 23, PP. 375-413.
•W. Regelson & C. Colman, The Super-hormone promise-Nature’s Antidote to Aging, pp.11- 346, Simon & Schuster, N.Y, 1996
•W. Pierpaoli, W. Regelson, C. Colman, The Melatonin Miracle: Nature's Age-Reversing, Disease-Fighting, Sex-Enhancing Hormone. Simon & Schuster, N.Y. London……
•堀江重郎「ヤル気が出る! 最強の男性医療」、文春新書、pp. 1-207(2013)
•堀江重郎「対談集 いのち 人はいかに生きるか」、かまくら春秋社(2018)
•産経新聞、読売新聞、中高年ひきこもり61万人、2019年3月30日
•厚生労働省「患者調査」、精神疾患を有する総患者数の推移、精神保健医療福祉のデータと政策(平成29年)http://www.mhlw-houkatsucare-ikou.jp/guide/h30-cccsguideline-p1.pdf
•平成30年中における自殺の状況、厚生労働省社会・援護局総務課自殺対策推進室 警察庁生活安全局生活安全企画課、平成31年3月28日
• Rachel Carson, Silent Spring( 邦 題: 沈 黙 の 春 ), 1962, PP.1-317, Penguin/Geography/environment science, N.Y.
•有吉佐和子「複合汚染」新潮社、1975
• M.M. Bomgardner, How a new epoxy could boot BPA from cans, アメリカ化学会、Chem. Eng.News, 97, March 5, 2019.
•林国興、環境ホルモン再考、日本がん予防学会News Letter No. 73、2012年9月
•K. Hayashi et al., Contamination of rice by etofenprox, diethyl phthalate and alkylphenols: effects on first delivery and sperm count in mice, J. Toxicol. Sci, 35, 49-55, 2010.
•CB. Pedersen et al., A comprehensive nationwide study of the incidence rate and lifetime risk for treated mental disorders. JAMA Psychiatry, 71, 537-581, 2014.
•PJ. Snyder et al., Effects of testosterone treatment in older men. N. Engl. J. Med. 374, 611-624, 2016.
•Financial Times 8月8日(木)2019年、P.7;同New York Times, International Ed., The weedkiller that won’t be exterminated, p.10, Business, Sept., 27, 2019(ラウンドアップ)
•R. A. Weinberg. Cell, 157, 267(2014)
•前田 浩、化学と生物、vol.55, No.7501-509(2017)
•C. Leaf, The truth in small doses: Why we're losing the war on cancer-and how to win it. Simon & Schuster, New York(2013)
•H. Maeda and M. Khatami, Analyses of repeated failures in cancer therapy for solid tumors: poor tumor-selective drug delivery, low therapeutic efficacy and unsustainable costs. Clin.Trans. Med. https://doi.org/10.1186/s40169-018-0185-6 7:11, 1-20(2018)
• Laura Howes, How your gut might modify your mind, Chem. Eng. News 9(7 14)36-40(2019) •Science Oct. 23., 2019
• The Scientist 2019, Feb. 4., by Ashley Yeager
•半田 康、ホルモン剤使用牛肉の摂取とホルモン依存性癌発生との関連、日本がん予防学会ニュースレター p.1., No.66, Dec. 2010.
• Bruce Freeman et al., J. Biolo. Chem.(2013)
•Science 244, 974-976(1989)•J. Clin. Invest. 739-745(1990)
•Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 2020 Mar 3;117(9):4642-4652. doi: 10.1073/pnas.1919563117.Epub 2020 Feb 18.
•奥野修司 2020年3月19日、3月26日号 週刊新潮 •『トマトとイタリア人』内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ 文藝春秋

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前田浩

1962年東北大学農学部卒業/1964年カリフォルニア大学 (Davis 校)大学院修了(フルブライト奨学生)/1968年東北大学大学 院博士課程修了(指導:医学部石田名香雄教授)、東北大学医学部細菌 学講座助手、ハーバード大学ダナ・ファーバーガン研究所主任研究員/1971年熊本大学医学部微生物学講座助教授/1981年同教授/ 2005年熊本大学名誉教授(医学)、同年崇城大学薬学部教授、2011年 同特任教授/2016年同栄誉教授、現在、(財)バイオダイナミックス研 究所理事長・所長/大阪大学招聘教授(医学)、東北大学特別招聘プロフェッサー

〈研究テーマと抱負〉高分子型抗癌剤、癌血管の透過性にかかわる現 象の EPR 効果、感染における生体内ラジカルの生成、炎症による生 体内活性酸素と抗酸化食品による癌予防、癌の蛍光ナノプローブに よる検出と光照射療法

〈受賞歴〉日本細菌学会浅川賞、高松宮妃癌研究基金学術賞、ドイツ生 化学会および国際 NO 学会の特別号発刊により顕彰、王立英薬学会 Life Time Achievement Award受賞、日本DDS学会 永井賞、日本癌 学会吉田富三賞、2016年トムソン・ロイター引用栄誉賞(化学部門)、 米国ミシガン州Wayne State Universityより2017 Roland T. Lakey 賞受賞、2018年瑞宝中綬章受章、西日本文化賞、米国サンアントニオ 市名誉市長、米国オクラホマ州名誉州民など多数

〈趣味〉ワイン

 

 

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