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ウイルスにもガンにも 野菜スープの力

2020.07.22 更新 ツイート

<特別編>コロナ対策の今後#3

新型コロナウイルスで起きたサイトカインストームとは前田浩

日本人の新型コロナウイルスの感染者数と死亡数は、欧米に比べてなぜ少なかったのか。今後、「夜の街」問題はどうするのか。ファクターXは何なのか。予防に手落ちはないか? 抗がん剤の世界的権威にして細菌学・ウイルス学のエキスパートが、私見を含め、最新の疑問に答える。

*   *   *

新型コロナウイルスが猛威をふるい始めてほぼ半年経つと、世界中から様々な臨床報告が集まってきています。一般の感染症であまりない事例として、さっきまで元気で話していた人が急に重症化するという驚きの報告でした。

 

これも自己防衛反応の一つ「サイトカイン(炎症が起きたところに危険があることを身体全体に知らせる複数の信号タンパク質)」が大量に放出され(これをサイトカインストームという)、これによって生じる大量の炎症性の活性酸素や発熱因子などによって重篤な影響がでてきてしまうことで起こります(文献3)。

(写真:iStock.com/Aleksandr Kharitonov)

このサイトカインストームが起こると、発熱・倦怠感も強くなり、脱水など全身状態が悪化し、例えば、全身性に血液の凝固異常(亢進)が起き、あるいは血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞まで発症してしまいます(この症状をDICと呼んでいます)。

サイトカインストームによって生じる大量の炎症性の活性酸素(O2・-)や一酸化窒素(NO)は、致命的になりうるものです。きっかけはコロナウイルスなのですが、そこから先は身体がもつ免疫機能の暴走が問題なのです。

さらに、全身状態が悪化すると危篤状態に近づきますが、そのときの運が良ければ、救世主になるのがステロイドホルモン(デキサメサゾン)で、うまくするとサイトカインストームの嵐も収束することができます。オックスフォード大学病院では、デキサメサゾンで致死率を数分の一に下げたと報告されています(文献4)。

このとき、高齢者のインフルエンザ患者の場合、大半の患者は敗血症になっています。敗血症とは、細菌が感染し増殖し、その細菌が血液中に入り、からだ全体を広く廻っている状況で重篤化した証拠です。これもいわゆる免疫機能で抑制しきれない状況なのです。多くは、感受性のある抗生物質を投与すれば助かります。

もともとは、この増えすぎた活性酸素をコントロールすることができれば、たとえウイルスに感染しても重症化することはありません。実際我々は、この活性酸素を中和する薬物を創生してマウスに投与し、インフルエンザウイルスに罹患したマウスの完全治癒に成功しました(文献1,2)。

図1.ウイルス感染時に生ずる防御系免疫過剰反応におけるサイトカインストームとフリーラジカルストームのインタープレイ(相互作用)※これは、もと前田研究室の大学院生のDr. Jun Wu (City of Hope), Calif., USAがまとめたものを改変(文献3)

 

【引用文献】

1.    T. Oda, T. Akaike, T. Hamamoto, F. Suzuki, T. Hirano and H. Maeda: Oxygen radicals in influenza-induced pathogenesis and treatment with pyran polymer-conjugated SOD. Science, 244, 974-976 (1989)

2.    T. Akaike, M. Ando, T. Oda, T. Doi, S. Ijiri, S. Araki and H. Maeda: Dependence on O2- generation by xanthine oxidase of pathogenesis of influenza virus infection in mice. J. Clin. Invest., 85, 739-745 (1990)

3.    J. Wu, Tackle the free radicals damage in COVID-19. Nitric Oxide, 39-41 (2020)

4.    A. Olena., Insight into dexamethasone’s benefits in severe COVID-19, Jun 19 (2020) The Scientist

前田浩『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』

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〈参考文献〉
•W.F. Ganong, Review of Medical Physiology, pp. 1-774, Lange Medical Books., Network, CT, USA,とくにCh. 23, PP. 375-413.
•W. Regelson & C. Colman, The Super-hormone promise-Nature’s Antidote to Aging, pp.11- 346, Simon & Schuster, N.Y, 1996
•W. Pierpaoli, W. Regelson, C. Colman, The Melatonin Miracle: Nature's Age-Reversing, Disease-Fighting, Sex-Enhancing Hormone. Simon & Schuster, N.Y. London……
•堀江重郎「ヤル気が出る! 最強の男性医療」、文春新書、pp. 1-207(2013)
•堀江重郎「対談集 いのち 人はいかに生きるか」、かまくら春秋社(2018)
•産経新聞、読売新聞、中高年ひきこもり61万人、2019年3月30日
•厚生労働省「患者調査」、精神疾患を有する総患者数の推移、精神保健医療福祉のデータと政策(平成29年)http://www.mhlw-houkatsucare-ikou.jp/guide/h30-cccsguideline-p1.pdf
•平成30年中における自殺の状況、厚生労働省社会・援護局総務課自殺対策推進室 警察庁生活安全局生活安全企画課、平成31年3月28日
• Rachel Carson, Silent Spring( 邦 題: 沈 黙 の 春 ), 1962, PP.1-317, Penguin/Geography/environment science, N.Y.
•有吉佐和子「複合汚染」新潮社、1975
• M.M. Bomgardner, How a new epoxy could boot BPA from cans, アメリカ化学会、Chem. Eng.News, 97, March 5, 2019.
•林国興、環境ホルモン再考、日本がん予防学会News Letter No. 73、2012年9月
•K. Hayashi et al., Contamination of rice by etofenprox, diethyl phthalate and alkylphenols: effects on first delivery and sperm count in mice, J. Toxicol. Sci, 35, 49-55, 2010.
•CB. Pedersen et al., A comprehensive nationwide study of the incidence rate and lifetime risk for treated mental disorders. JAMA Psychiatry, 71, 537-581, 2014.
•PJ. Snyder et al., Effects of testosterone treatment in older men. N. Engl. J. Med. 374, 611-624, 2016.
•Financial Times 8月8日(木)2019年、P.7;同New York Times, International Ed., The weedkiller that won’t be exterminated, p.10, Business, Sept., 27, 2019(ラウンドアップ)
•R. A. Weinberg. Cell, 157, 267(2014)
•前田 浩、化学と生物、vol.55, No.7501-509(2017)
•C. Leaf, The truth in small doses: Why we're losing the war on cancer-and how to win it. Simon & Schuster, New York(2013)
•H. Maeda and M. Khatami, Analyses of repeated failures in cancer therapy for solid tumors: poor tumor-selective drug delivery, low therapeutic efficacy and unsustainable costs. Clin.Trans. Med. https://doi.org/10.1186/s40169-018-0185-6 7:11, 1-20(2018)
• Laura Howes, How your gut might modify your mind, Chem. Eng. News 9(7 14)36-40(2019) •Science Oct. 23., 2019
• The Scientist 2019, Feb. 4., by Ashley Yeager
•半田 康、ホルモン剤使用牛肉の摂取とホルモン依存性癌発生との関連、日本がん予防学会ニュースレター p.1., No.66, Dec. 2010.
• Bruce Freeman et al., J. Biolo. Chem.(2013)
•Science 244, 974-976(1989)•J. Clin. Invest. 739-745(1990)
•Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 2020 Mar 3;117(9):4642-4652. doi: 10.1073/pnas.1919563117.Epub 2020 Feb 18.
•奥野修司 2020年3月19日、3月26日号 週刊新潮 •『トマトとイタリア人』内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ 文藝春秋

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ウイルスにもガンにも 野菜スープの力

病気予防に効果的な野菜スープ。そのレシピから、ウイルス・ガンはもちろん、現代社会が抱える問題まで徹底解説! 抗がん剤の世界的研究者による、健康になるための一冊。

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前田浩

1962年東北大学農学部卒業/1964年カリフォルニア大学 (Davis 校)大学院修了(フルブライト奨学生)/1968年東北大学大学 院博士課程修了(指導:医学部石田名香雄教授)、東北大学医学部細菌 学講座助手、ハーバード大学ダナ・ファーバーガン研究所主任研究員/1971年熊本大学医学部微生物学講座助教授/1981年同教授/ 2005年熊本大学名誉教授(医学)、同年崇城大学薬学部教授、2011年 同特任教授/2016年同栄誉教授、現在、(財)バイオダイナミックス研 究所理事長・所長/大阪大学招聘教授(医学)、東北大学特別招聘プロフェッサー

〈研究テーマと抱負〉高分子型抗癌剤、癌血管の透過性にかかわる現 象の EPR 効果、感染における生体内ラジカルの生成、炎症による生 体内活性酸素と抗酸化食品による癌予防、癌の蛍光ナノプローブに よる検出と光照射療法

〈受賞歴〉日本細菌学会浅川賞、高松宮妃癌研究基金学術賞、ドイツ生 化学会および国際 NO 学会の特別号発刊により顕彰、王立英薬学会 Life Time Achievement Award受賞、日本DDS学会 永井賞、日本癌 学会吉田富三賞、2016年トムソン・ロイター引用栄誉賞(化学部門)、 米国ミシガン州Wayne State Universityより2017 Roland T. Lakey 賞受賞、2018年瑞宝中綬章受章、西日本文化賞、米国サンアントニオ 市名誉市長、米国オクラホマ州名誉州民など多数

〈趣味〉ワイン

 

 

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