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明け方の若者たち

2020.07.11 更新 ツイート

【インタビュー後編】

Twitterの140文字と、小説の10万文字。その間にあるものとはカツセマサヒコ/野本由起

恋の喜びと苦しみに息を詰まらせ、何者にもなれない自分にあがいた二十代の日々を描いた、カツセマサヒコさんのデビュー小説『明け方の若者たち』。インタビュー後編では小説とTwitterのつながりについてもうかがった。

(小説幻冬7月号より、前半はこちらから)

撮影/なかむらしんたろう

人生のマジックアワーをもう一度振り返ってみたい

時代性、具体性を伴いつつも、二十代の焦燥や葛藤といったテーマからは普遍性も感じられる。沼のような恋に溺れ、何者でもない自分にあがきながらも、どこか眩しい二十代の数年間。作中では、それを日没や日の出が近づいた時に一瞬だけ訪れる魔法のような時間帯になぞらえ、「人生のマジックアワー」と称している。カツセさんは、その一瞬一瞬の煌めきを見逃すことなく、カメラのシャッターを切るように言葉に落とし込んでいく。

「僕は中学も高校も男子校だったせいか、青春に対するあこがれが強いんです。放課後に男女で遊んで……みたいな経験が一切ないまま高校を卒業してしまったので、そういう瞬間が訪れるたびに、エモーショナルな気分になるんですね(笑)。『今この瞬間がすごく大事だ!』と強く心に刻まれるので、普通なら通り過ぎてしまうような瞬間も記憶に残っているのかもしれません。特に結婚する前、無責任に生きていた二十三、四歳の頃のことはすごく覚えています。こうやって『今、めっちゃいい時なんじゃね?』って自覚的になると、人生二周目感を味わえるんですよ。僕が大好きな映画『アバウト・タイム』では、主人公がタイムトラベルの能力を持っていて、それを壮大なことではなく日常生活に対して使うんです。一回目は何気なく過ごしていた瞬間が、二回目にはかけがえのない時間だったと気づく話なんですね。それと同じように、自分が三十代になった今、もう一度二十代の輝かしい日々を振り返ってみたいと思いました

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関連書籍

カツセマサヒコ『明け方の若者たち』

明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江の島。IKEAで買ったセミダブルベッド。フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり。世界が彼女で満たされる一方で、社会人になった僕は、"こんなハズじゃなかった人生"に打ちのめされていく。息の詰まる満員電車。夢見た未来とは異なる現在。深夜の高円寺の公園と親友だけが、救いだったあの頃。

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