1. Home
  2. 生き方
  3. ヘイケイ日記~女たちのカウントダウン
  4. この春、モテたい女子たち必見!

ヘイケイ日記~女たちのカウントダウン

2020.03.26 更新 ツイート

この春、モテたい女子たち必見!花房観音

年を取ってよかったことのひとつに、「モテたい」という気持ちが薄れたというのがある。

全くゼロとは言わないし、同世代でモテてる人を見ると、「どーせ私は」と卑屈になることもあるが、その程度の僻みは一瞬で忘れるし、昔ほどの羨望や嫉妬心はない。

加齢による体力気力低下のおかげで、人間関係が年々めんどくさくなっているので、モテないことで本気で落ち込んだりしない。

今の私には、モテる、つまりは不特定多数の人に好意を抱かれることで得られる自信や、承認欲求であったりのメリットよりも、デメリットのほうが多いように思える。

そもそも一人でいたいから

 

モテない人生を歩み続けてはいたが、小説家になって、知人の腕のいいカメラマンに撮ってもらった見栄えのいい写真をアイコンにしていると、SNSで、おそらく私の本を買ったこともないであろう人を含めて、「会いましょう」だの、もっとストレートな誘いも来るようになった。

「小説家、バスガイド」は、人の興味を惹くので、SNS以外でも、男女問わず、たまに強引なほどに「飲みに行きましょう」「友達になりましょう」などと言われる。

私が「誰とでも仲良くなる!」「人間大好き!」「友達いっぱい欲しいな!」というような、オープンでポジティブな性格ならば、お誘いを受けもするだろうが、そもそも、クローズでネガティブな上に疑い深い性格なので、なるべくなら仕事以外で人と会いたくないし、ましてや知らない人、特に不特定多数のいる飲み会はすさまじく苦手で遠慮したい。

いきなり距離をつめてくる熱量の高い人ほど、私が自分が期待していた人間ではないと気づくと、「そんな人だとは思わなかった」と言い放ち去っていくか、なぜか怒って周辺に悪口をいいはじめたり、「思ったより普通の人ですね」とがっかりされたりで、ものすごくめんどくさい。

私としては、SNSも、トークイベントなどで人前に出るのも、本の宣伝のためにやっているもので、私個人を好きにならなくてもいいし、ましてや友達を増やすためにやってるつもりはないのだが、「親しくなりたい」「好奇心交じりの好意を抱く」人たちが、わらわら寄ってきて、誘いを断るだけでも、気を遣う。

私は実のところ、なるべくひとりでいたいし、今はそこそこ仕事も忙しく、昔からの友人とも会う機会は滅多にないので、親しくない人と会う余裕はない。ちなみに今年に入って、誰かと一緒にご飯を食べたのは、仕事関係以外では一度だけだ。もう3月だというのに……。

私が万が一モテたら

仮に私が、もっと若くて美人で愛想がよくて、恋愛感情で近寄ってくる人が増えると想像すると、めんどくささにゾっとする。好意を抱かれ、誘いが来て、それにいちいち応えるのも時間とエネルギーを費やすし、ましてや、恨まれないように傷つけないように断るのは神経を使う。

若い頃ならば、時間も体力もあったから、「うふふ、私ってモテる」と、優越感にひたりながら対応できたかもしれないが、年を取り、時間も体力も気力も減少しているのを感じると、本当につきあいたい人とだけしか会いたくないない。不特定多数の人の好意に応じたり距離を保つ元気がないのだ。

もしも今からの人生、まんがいち「モテる」ことがあっても、対応できず疲労するだけだろう。

嫌われるよりは好かれたほうがいい

ネットにも女性誌にも「モテるため」にどうすればいいかという記事が溢れている。

そんなにみんなモテたいのか、その先には何があるのかと考えたりもするのだが、嫌われるよりは好かれたほうがいいし、得をすることも多いのは間違いない。

モテなくていい、とは絶対に思わない。

なぜなら、私自身が、死ぬほどモテない人生を送ってきて、結果どうなったかというと、卑屈になり嫉妬に苛まれ、歪んでしまったからだ。

若い頃は、それゆえに「私なんかを相手にしてくれるのはこの人しかいない」と、自分を痛めつけるような男ばかりを好きになっていたし、ロクなことはなかった。今でもたまに誰かに好かれると、「この人は私のどこがいいんだろう」とか、「何か他に目的があるんじゃないか」などと疑ってしまう。

モテすぎるのはめんどうかもしれないが、モテなさすぎるのは、私のように難のある性格になってしまい、その結果、周りを傷つけたり不快な想いをさせることもあるので、よくない。

だからずっとモテる人が羨ましかったが、五十歳が近づいて、やっとそこから卒業できそうだ。

愛されてますか

しかし「モテるために」の記事を読むたびに思うことだけれども、「恋愛」と「モテ」は、対極のものであるのに、いっしょくたにされがちだ。

不特定多数に好かれる「モテ」と、ひとりの人を好きになって深く愛する「あなた以外の人はいらない」状態とは、全く反対のものだ。

モテてモテて困っちゃう! 人たちよりも、一対一で、深く愛し合い続ける人たちのほうが、幸せそうに見える。

SNSで、たまに、知らない男の人から、「モテる自分がどれだけたくさんの女とセックスしたか、超絶テクニックで女をイかせているか」自慢のメールを送ってこられる。モテモテイかせ自慢よりも、ひとりの女だけを愛しぬく男の人のほうが、魅力的なのにといつも思うが、それほどまでに、「モテる」呪縛に囚われている人が多いのだろう。

モテるより、男も女も誰かを愛しぬくことのほうが、時間も体力も限られた人生の中で、大切なことのはずだ。

雪柳
葉っぱしか見えませんが、桜餅。
もちろん京都では道明寺​​​
高島屋京都店地下でかった
「錦平野」のお弁当

関連キーワード

関連書籍

花房観音『花祀り』

桂木美乃は、京都の老舗和菓子屋『松吉』で京菓子職人の修業をしていた。ある夜、主人の松ヶ崎に連れて行かれた一軒家。座敷では都中の旦那衆が待ちかねていた。「男を知らん女なんぞ、一流にはなれしまへん」。男たちの目に曝され羞恥で硬直する身体に、松ヶ崎の繊細な指が纏わりつく……。『女の庭』で京女の性を描ききり話題となった著者、幻のデビュー作! 第一回団鬼六賞大賞受賞。

花房観音『女の庭』

恩師の葬式で再会した五人の女。近況を報告しあううちに、教室で見たビデオの記憶が蘇り――。先生と濃厚なセックスをしていた、あの女は誰だったのか。互いに互いを疑いながら、女たちは今日も淫らな秘め事を繰り返す。不倫、密会、出会い系……。秘密を抱える腹黒い女たちと、それを監視する街、京都。重ねた噓が崩壊する時、女の本性が放たれる。

花房観音『どうしてあんな女に私が』

作家の桜川詩子は、醜い容姿がコンプレックス。それなのに、デブスな春海さくらは男達を手玉に取って、女神扱い。さくらを題材に小説を書くため詩子は、彼女の友人、母親など四人の女を取材するが――。“どうしてあんな女に私が負けるのか”。一人の醜女に人生を狂わされた女達の怒りと焦りが決壊する時、この世で最も醜い女の戦いが始まる。

花房観音『情人』

笑子が神戸で被災した日、母親は若い親戚の男・兵吾と寝ていた。男に狂った母、知らぬ顔の父、引きこもりの兄、職を失った自分――。 悲惨な現実から逃げるように、笑子は結婚し東京へ。しかし子供ができず、家庭にも確かな居場所を作れない。そんな中、兵吾と再会。 日常に背を向けて情交に溺れてゆく二人を3・11の激震が襲う。生き場なき女の物語。

{ この記事をシェアする }

ヘイケイ日記~女たちのカウントダウン

加齢、閉経、更年期……。何かと女性の心をざわつかせるキーワード。

本当にそれって怯えたじろぐものでしょうか。恐れるも楽しむも自分次第じゃありませんか?

「生理が終わったって、女が終わるわけじゃなし」。

女性たちの第二ステージは、新しい人生の幕開け!

セックスは?恋愛は?仕事は? 女たちの赤裸々カウントダウンをご紹介。

女の数だけ生き方がある!

バックナンバー

花房観音

2010年「花祀り」にて第一回団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。京都を舞台にした圧倒的な官能世界が話題に。京都市在住。京都に暮らす女たちの生と性を描いた小説『女の庭』が話題に。その他著書に『偽りの森』『楽園』『情人』『色仏』『うかれ女島』など多数。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP