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落語DE古事記

2019.08.15 更新 ツイート

ヤマタノオロチとスサノオの大ゲンカは、まさかの「女の獲り合い」だった!桂竹千代

落語家・桂竹千代さんがお送りしている、笑い満載の「古事記」解説。

さて、今回は、みんなご存知、ヤマタノオロチの登場です。ヤマタノオロチといえば、日本の”キングオブ怪物”ですね。
スサノオノミコトとヤマタノオロが大ゲンカします。いったい何がきっかけの、どんな凄まじいケンカだったのか、教えていただきましょう。

*   *   *

(写真:iStock.com/Zdenek Sasek)

第8話「オレのオロチ」

アマテラスが岩戸隠れしてしまったのは、元はと言えばスサノオの責任……というわけで、バツとして、スサノオは地上へと行かされました(島流し的な)。しかも自慢の髭を切られて(ア~ンせっかく伸ばしたのにぃ! 板垣退助みたいにしたのにぃ!)、手足の爪を抜かれます(めっっちゃ痛いよね! )。

 

地上に着いたスサノオは、罪を償うため、大気都姫神(オオゲツヒメノカミ。以下、オオゲツ。急に出てきたよ!)に、神にお供えする(お前も神だけどな!)食べ物を求めました。

オオゲツは鼻、口、ケツからたくさん食べ物を出します(尻から食いモンて! まさにオオ「ゲツ」ってやかましわ!)。これを見たスサノオは「きったな!」と思い(そりゃそーだ!)、オオゲツを斬り殺します(でもかわいそん!)。すると死んだオオゲツの体から、食べ物がたくさん誕生します(これも衛生的にはどーなの!?)。

頭から蚕、目から稲、耳から粟、鼻から小豆(牛乳と言いたいとこだよね)、アソコから麦(アソコはアソコよ)、尻から大豆が生まれます。

これらをカミムスビ(第2話に登場した造化三神! 久しぶり! 覚ええてるかな?)が、種として地上に撒きました。これが五穀の起源です(何度も言うけど、衛生面どうなの?)。

やがてスサノオは、出雲国(現在の島根県)に到着しました。

そこに流れる川の上流から、箸(はし)が流れて来るのを発見します。

 

スサノオ「はしだ!(寿賀子!……呼び捨てごめんなさい)上に誰かいるのか? 腹減ってるからメシ食わしてもらおっと!」

 

上流に向かって歩いていくと、今度は泣きわめく老夫婦を発見します。

 

スサノオ「どしたの?」

老夫婦「どうもこんにちは。わたし達は、足名椎(アシナヅチ)、こちら妻の手名椎(テナヅチ)と申します」    

スサノオ「漫才コンビみたいだな。で、何で泣いてんのよ?」      

アシナヅチ「ワシらの娘が毎年怪物に1人ずつ食べられてしまうのですじゃ、神様」

スサノオ「あっ、オレが神ってわかる?」

アシナヅチ「何かオーラあるんで。それはともかくワシには8人の娘がいたのですが、残りは1人となってしまったのですじゃ」

スサノオ「8人とも娘ってすごい確率だよね。絶対どこかで男が生まれそうだけど全員女だとはね。奥さんもいるし、アンタ男1人で大変だろ?」

アシナヅチ「……いえ、問題はそこじゃないんです。もうすぐ怪物が来て、最後の娘が食べられちゃいそうなんですじゃ」

スサノオ「オレがさきに娘食べちゃおっかな」

アシナヅチ&テナヅチ「(シーン……)さようなら」

スサノオ「ウソごめん! でもその怪物退治したらいいんでしょ? どんなヤツなのよ?」

アシナヅチ「目は赤く、頭が8つ、尾が8つ。体の大きさが、8つの谷と8つの山ほどありますじゃ」

スサノオ「8好きだねー。ラッキーナンバー? 怪物だからアンラッキーだけどね~。OK! 退治するのはいいけど、出来たらちゃんと娘くれよ?」

アシナヅチ「……いつの間にそういう話に?」                                            

スサノオ「いいっしょ? オロチが食うか、オレが食うかだよ」                                  

アシナヅチ&テナヅチ「「(シーン……)さようなら」

スサノオ「ウソウソ! ごめんって! わかった! ちゃんと付き合ってからそういうことするから、怪物退治したら、ちゃんと交際許してよ」                                                          

アシナヅチ「まぁ付き合ってからなら……わかりました。怪物退治をしてくれたら、娘の櫛名田比売(クシナダヒメ。以下、クシナダ)との交際を認めます」

スサノオ「クシちゃんて言うんだね。とりあえず紹介してよ」                          

アシナヅチ「あっはい。おーいクッシー」                         

クシナダ「何か用?」                                    

アシナヅチ「かくかくしかじか……」

クシナダ「うんうんはいはい……えっ? この人が? ……うんうん、それはいいけど……えっ? マジで? 何でよ勝手に決めないでよ! あたしの人生よふざけないで! ちょっ……! 何すんのよ! 放して~! (羽交い絞めして口を押えられて)……ん~!」

アシナヅチ「娘もOKです」            

スサノオ「OKなのか!? ものすごい嫌がってるように見えるけど……まあいいか、とりあえずクシちゃんを櫛にかえさせてもらうね(何だいきなりその魔法は!? )! ……えい!」

スサノオは、櫛に変身したクシナダヒメを自分の髪に刺します(これは謎の行動。クシナダをクシって、ただのダジャレを披露したかっただけかな)。

スサノオ「よーし、じゃあ怪物退治するんで、強めの酒を酒船(酒を入れる器)に入れて、8個用意しといてー」

アシナヅチ「飲むんですか?」                                                    

スサノオ「そうそうそう……出会いにかんぱーい!! ……ってバカ! 怪物退治に使うんだよ! 頼むよ」     

アシナヅチ&テナヅチ「はい喜んでー! (居酒屋風)」

スタンバイOK。

すると、遠くの方から怪物こと八岐大蛇(ヤマタノオロチ)がやってきます。

ドシーン! ドシンドシン! (ここでかかるのはゴジラのテーマがいいかな)

ちゃかちゃんちゃかちゃんちゃかちゃかちゃかちゃかちゃん♪

 

ヤマタノオロチ「あんぎゃー!!」

スサノオ「よっしゃ怪物ー! 正々堂々勝負だ! まずこれを飲めー!!」

ヤマタノオロチ「あんぎゃー!!」

 

ヤマタノオロチは、8つの頭をそれぞれの酒船に突っ込み、酒をがぶがぶ飲んでバタンキュー!
「今だ!」と、スサノオは剣を抜いて、寝ているオロチの首を1本ずつ切り始めます。

 

アシナヅチ&テナヅチの心の中「えーっ! 神様めっちゃ卑怯~!」                                  

スサノオ「(剣でギコギコ斬りながら)ヨサクは首を斬る~! ヘイヘイホ~! ……ホレ、ぼ~っと見てないで掛け声!」

アシナヅチ&テナヅチ「……へいへいほー」

スサノオ「(8本斬り終えて)よし勝ったー! これでクシナダはオレのものだー! オレのオロチを味わえー!」

アシナヅチ&テナヅチの心の中「うわーっ! 神様ひどい下ネタ~!」

 

オロチ退治の舞台は、島根県斐伊川(ひいかわ)の上流だったと伝わっています。

斐伊川は何股にも分かれた川で、暴れ川として地元では有名です。よく氾濫して人を飲み込んでいたそうですが、これがヤマタノオロチのモデルになったとかいう説もあります。現在でも斐伊川が氾濫すると、各々の家ごとに、荒神様(スサノオのこと)と呼ばれる石に祈りを捧げて鎮める風習があるそうです。スサノオが斐伊川の治水工事をしたのが、この伝承になったのかもしれません。

島根県雲南市には、ヤマタノオロチ退治神話関連の神社や伝承地がたくさんあります。

オロチ退治に使う酒を造った釜とされる「釜石」。

その酒を入れておく器を祀る「八口神社」。

オロチが酒に酔って、そこを枕にして寝たという「草枕山」(でかっ!) 。

オロチの首を埋めて8本の杉を植えたという「八本杉」。

オロチの住んでいた場所とされる「天が淵」。

……etc.オロチ巡りをしてみるのもいいかもしれません。ところで「オロチ」という文字ばかり見ていると、オルニチン(シジミに含まれる、二日酔いに効くやつね)がオロチに見えてきます。島根県の宍道湖(しんじこ)は、シジミがたくさん採れるので、お土産屋に行ったらこの“あるある”をきっと理解して頂けると思います。

ちなみに、後の時代に斐伊川がなまって氷川(ひかわ)となったので、全国にある氷川神社には、スサノオが祀られています。特に有名なのが、埼玉県さいたま市の氷川神社です。勝利、厄除けの神様として親しまれています。それから大宮という地名ですが、氷川神社の境内が広かったから「大きい宮」で「大宮」になったそうです。

さあ、そんなわけでスサノオはヤマタノオロチを無事退治しました(手足の爪がはがされてる中、よくやったよね)!

そのオロチの身体から出てきたものとは……?

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落語DE古事記

神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね! 

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桂竹千代 落語家

 

落語家。千葉県旭市出身。1987年3月17日生まれ。2005年千葉県立匝瑳高校卒業。2009年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。2011年明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。元ニュースタッフエージェンシー所属漫才師、ゴーギャン職人。2011年7月、桂竹丸に入門、前座「竹のこ」。2015年9月、二ツ目昇進、「竹千代」。2019年3月、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。
新宿末広亭や浅草演芸ホールなどの寄席を中心に、全国各地で落語会に出演。その他、イベント・結婚式司会、温泉ツアーガイド、古代史講座、大学講師、社会教育講演など幅広く活躍。旭市観光大使も務める。
エンタの神様(日本テレビ)、爆笑オンエアバトル(NHK)、メレンゲの気持ち(日本テレビ)、グリコポッキーCM、どうする東京(MXTV)、50ボイス(NHK)、BS笑点特大号(BS日本テレビ)、ミッドナイト寄席ゴールデン(BS12)、夕やけミッドナイト寄席(BS12)SHARP・アクオス落語(全国の家電量販店にて放映)、日曜バラエティー・レギュラー出演(NHKラジオ第一)2018年4月~2019年3月、桂竹千代のJAGARAKU(FM帯広)2018年4月~2019年3月、OH! HAPPY MORNING「Today’s Focus」(JFN)※古代史専門家としてニュースコメント、春風亭昇太のピローな噺(dtvチャンネル)、竹千代の風土記(CS寄席チャンネル)などに出演。

 

 

 

 

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