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落語DE古事記

2019.12.07 公開 ツイート

心願成就や延命長寿にご利益がある、古事記の最初に出てくる神様。 桂竹千代

もうすぐお正月。お正月といえば、初詣。
みなさんも、お気に入りの神社に、お参りに行くと思います。
そして、あれやこれやとお願いするのではないですか?
ただ、神社にはそれぞれ、いろんな神様が祀られています。
それも知らず、たとえば、縁結びの神様に学業成就を願って「パンパン!」みたいなこと、してないですか?「それは専門分野じゃないよー」って、神様だって困っちゃいます。
ということで、令和元年にめでたく発売となった『落語DE古事記』より、神様の話をいくつかピックアップしてご紹介しましょう!

*  *  *
~「第二話 島生んじゃったよ!」より~

心願成就や延命長寿にご利益がある神社

「天地【あめつち】の初発【はじめ】の時、高天原【たかまがはら】に成りませる神の名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)、次に高御産巣日神(タカミムスビノカミ。以下、タカミムスビ)、次に神産巣日神(カミムスビノカミ。以下、カミムスビ)」

これが『古事記』の冒頭です。

……すでについていけない……という方はいませんか?

これは「天地が現れた時に、高天原というところに○○と△△と××の神が誕生した」ということです。

ボクも初めて読んだ時ビックリしました。天地が現れた途端に、いきなり神がいるんですから。しかも長い名前の。

突然すぎて面食らいますよね。ゴング直後にストレートもらったみたいですよね(我ながらいいたとえだよね)。

いかにも乱暴な出だしですが、ここはひとつ、大人になって飲み込んでください。

この3柱【はしら】の神が、まずは存在したのです。

はい! 早速、神様用語が出ました! 神様は1人、2人ではなく1柱、2柱と数えます。

この3柱の神が、高天原にいました。

高天原というのは神々の住んでいるところで、天地の「天」の部分です。カミは「神」であり「上」なので、やっぱりお空の上のイメージですよね(ドリフの雷様のイメージ)。

この3柱の神を「造化三神【ぞうかさんしん】」なんて言います。

ちなみにこの造化三神には男女の性別がありません(オネエでもないよ)。アメーバのように分裂したのかどうかはわかりませんが、また、2柱の神が生まれます(これも突然)。

以上の5柱の神を、合わせてゴレンジャー! ではなく「別天神【ことあまつかみ】」と言います(ゴッドファイブの方がカッコいいけどね)。

そしてこの5柱の神、特に何をするというわけでもなく消えます。

……はい、消えます。

「一番初めに生まれたから一番偉い神じゃないの!?」

……はい、当然の疑問だとは思いますが……消えます。

「一番初めに生まれたから一番活躍するんじゃないの!?」

……これ以上聞かれると、ボクが消えます。

『古事記』にそう書いてあるんです。現れたと思ったらすぐ消えてしまうんです。

そして、その先を読み進んでいっても、ほぼ出てきません。

しかし、この神々がまつられている神社ももちろんあります。

福島県の相馬市にある相馬中村神社や、埼玉県秩父市にある秩父神社がそれです。

この神様たちは、超自然的というか、無限の宇宙を表すイメージなので、心願成就や延命長寿にご利益があるとされています。

 

さて、この時、大地は未だクラゲのように漂っていて区別がありません。

そしてまた、2柱の無性別の神が生まれます。この神々も後に出てこないので省略します(なぜかゴレンジャーに漏れたベンチ組)。

イラスト:半崎リノ

~ここから先は本書でお楽しみください!桂竹千代著『落語DE古事記』

*  *  *

竹千代さんが書いているように、『古事記』の頭に早々に出てきていながら、以降はぜんぜん出てこないという「貴重な神様」=「別天神(ことあまつかみ)」がいるのですね。
心願成就や延命長寿にご利益があるそうですが、パワーも大きそうです。こちらの神様にお参りをしたい人は、福島県の相馬市にある相馬中村神社や、埼玉県秩父市にある秩父神社に行くのがよさそうです。

さて、次回は……先日、天皇皇后両陛下もご挨拶に行かれた「天照大神(アマテラスオオミカミ)」のお話を、本書よりご紹介します。

関連書籍

桂竹千代『落語DE古事記』

日本の神様は、奔放で愉快でミステリアス! 海をかき混ぜて日本を作ったかと思えば、一目惚れしたり、嘘ついたり、嫉妬に燃えたり。女の取り合いで大蛇と喧嘩する神様も、娘の恋人をイタズラでいじめ抜く神様もいる。さらに神同士の殺し合いも度々勃発。壮大すぎて難解と言われる日本最古の歴史書を、落語家が爆笑解説でスラスラ読ませる。

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落語DE古事記

神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね! 

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桂竹千代 落語家

 

落語家。千葉県旭市出身。1987年3月17日生まれ。2005年千葉県立匝瑳高校卒業。2009年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。2011年明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。元ニュースタッフエージェンシー所属漫才師、ゴーギャン職人。2011年7月、桂竹丸に入門、前座「竹のこ」。2015年9月、二ツ目昇進、「竹千代」。2019年3月、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。
新宿末広亭や浅草演芸ホールなどの寄席を中心に、全国各地で落語会に出演。その他、イベント・結婚式司会、温泉ツアーガイド、古代史講座、大学講師、社会教育講演など幅広く活躍。旭市観光大使も務める。
エンタの神様(日本テレビ)、爆笑オンエアバトル(NHK)、メレンゲの気持ち(日本テレビ)、グリコポッキーCM、どうする東京(MXTV)、50ボイス(NHK)、BS笑点特大号(BS日本テレビ)、ミッドナイト寄席ゴールデン(BS12)、夕やけミッドナイト寄席(BS12)SHARP・アクオス落語(全国の家電量販店にて放映)、日曜バラエティー・レギュラー出演(NHKラジオ第一)2018年4月~2019年3月、桂竹千代のJAGARAKU(FM帯広)2018年4月~2019年3月、OH! HAPPY MORNING「Today’s Focus」(JFN)※古代史専門家としてニュースコメント、春風亭昇太のピローな噺(dtvチャンネル)、竹千代の風土記(CS寄席チャンネル)などに出演。

 

 

 

 

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