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落語DE古事記

2019.12.22 公開 ツイート

再起をかけている人は、超・超強力な神様のいる赤猪岩神社へ 桂竹千代

あと少しでお正月。初詣のご予定は立てていますか?
初詣で大事なのは「どの神様のことろにご挨拶にいくか、ちゃんと考えること」です。
落語家・桂竹千代著の新刊『落語DE古事記』より、神様のこと、勉強しましょう。
今回の神様は、「再起」や「次なる発展」にご利益のある神様。
ご利益もなかなか細分化されていますね~!

*   *   *

「第十一話 クリリンかよ」より

再起をかけている人にご利益のある神様

オオクニヌシは、念願のヤガミヒメを手に入れました。

お兄ちゃん達80柱は、このことにめっちゃ怒ります。

みんなで作戦を立てて、オオクニヌシを殺そうとします(こういう時に限って、みんな仲良くなるのよね。こーわっ)。

手間山(てまのやま。鳥取と島根の境)の麓までオオクニヌシを連れていき、ヤソガミ「おい、オオクニヌシよー、この山に赤イノシシがいんだよ。俺たちが上から追いおとすから、お前、下で捕まえろ。もしできなかったらお前……殺すぞ!(どっちにしろ殺すつもりだけどね~)」

オオクニヌシ「わかったよお兄ちゃん!」

ヤソガミは、イノシシではなく、大きな岩を焼いて、山の上から転がします。

オオクニヌシ「きたっ! これだ!」

バチコーン!!

オオクニヌシ……死亡。

いや、岩かイノシシかはわかるだろ!!

岩とイノシシが区別できないくらい視力悪かったと思われるオオクニヌシ(いい眼科紹介します。岩だから岩科か)。岩に潰され、死す。

オオクニヌシのお母さんはこれを知って、

母「なんてかわいそうなオオクニヌシ。どうか神様、生き返らせて~!(アンタも神様だろ!)」

そこで赤貝と蛤はまぐりの神(貝は生命の象徴。火傷薬にも貝が使われたらしい)がオオクニヌシの体に薬を塗ると……復活!

母「よかったわねオオクニヌシ~」

このエピソードの舞台とされるのが、鳥取県にある赤猪岩(あかいいわ)神社です。

ここにはオオクニヌシとその母神がまつられていて、境内には囲いがあり、この地中深くにイノシシ岩が埋まってるといいます。もう二度とこんなことが起こらないように、封じ込めてるんですね。オオクニヌシが復活を遂げたことから、この神社は、再生や次なる発展を期待する方にご利益があります。

さあ、ヤソガミは、オオクニヌシが生き返ったのを聞いて、さらにヒートアップします。

ヤソガミ「何? 生き返っただと? 母ちゃんめ、余計なマネしやがって。もう一回殺すまでやい!」

ヤソガミ達は、オオクニヌシを山へ連行します(さっきから山好きだな)。

木に切り込みを入れて楔(くさび)を打ち込み、

ヤソガミ「おい、オオクニヌシ! お前この割れ目に入れ! 入らねーと殺すぞ!(だからどっちにしろ殺すんでしょ)」

オオクニヌシ「わかったよお兄ちゃん!(ザ・イエスマン)」

オオクニヌシが入ったところで楔を抜くと……

バチコーン!!

オオクニヌシ……死亡。

またー!?

よわー!!

楔の間に入れるって、小ちゃー!

ちょっとは疑って~!!

これを知った母ちゃんは、

母「何てかわいそうなオオクニヌシ。どうか神様、生き返らせて~!(アンタも神様だろ! デジャブ!)」

オオクニヌシ……復活!!

……もう命って何なんだろうと言いたくなります。

クリリン並みに生き返ります(Ⓒドラゴンボール)。

マリオ的に言うと、3キあったってことです(わかるかな?)。
 

~ここから先は本書でお楽しみください!桂竹千代著『落語DE古事記』

イラスト:半崎リノ

*   *   *

確かに、これだけ生き返ってるんですから、再生アーンド次なる発展の神様として、最強ですよね!
再起をかけている人は、ぜひとも鳥取県にある赤猪岩(あかいいわ)神社へ。
しかし、いくら神様だからって、何回も生き返りすぎだろーって思わず突っ込みたくなってしまいました。
ということで、次回紹介するのは、安産と縁結びの神様です~!

関連書籍

桂竹千代『落語DE古事記』

日本の神様は、奔放で愉快でミステリアス! 海をかき混ぜて日本を作ったかと思えば、一目惚れしたり、嘘ついたり、嫉妬に燃えたり。女の取り合いで大蛇と喧嘩する神様も、娘の恋人をイタズラでいじめ抜く神様もいる。さらに神同士の殺し合いも度々勃発。壮大すぎて難解と言われる日本最古の歴史書を、落語家が爆笑解説でスラスラ読ませる。

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落語DE古事記

神社に行けば、私たちは神様にありとあらゆることをお願いしますよね。商売繁盛に合格祈願に延命長寿に縁結びに厄除けに……。
でもちょっと待って。こんなに頼りにしてる「神様」のこと、ちゃんと知ってますか?
神様について書いてあるのが「古事記」です。歴史の教科書でも最初の方に出てくるので、「古事記」について聞いたことのない人はいないと思いますが、でも何が書かれているかまで説明できる人って、少ないんじゃないでしょうか。
そこで、大学院まで古代史を専攻していた落語家の桂竹千代さんに、「古事記」を楽しく解説していただくことにしました。
爆笑注意ですから、静かな場所では読まないようにしてくださいね! 

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桂竹千代 落語家

 

落語家。千葉県旭市出身。1987年3月17日生まれ。2005年千葉県立匝瑳高校卒業。2009年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。2011年明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。元ニュースタッフエージェンシー所属漫才師、ゴーギャン職人。2011年7月、桂竹丸に入門、前座「竹のこ」。2015年9月、二ツ目昇進、「竹千代」。2019年3月、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。
新宿末広亭や浅草演芸ホールなどの寄席を中心に、全国各地で落語会に出演。その他、イベント・結婚式司会、温泉ツアーガイド、古代史講座、大学講師、社会教育講演など幅広く活躍。旭市観光大使も務める。
エンタの神様(日本テレビ)、爆笑オンエアバトル(NHK)、メレンゲの気持ち(日本テレビ)、グリコポッキーCM、どうする東京(MXTV)、50ボイス(NHK)、BS笑点特大号(BS日本テレビ)、ミッドナイト寄席ゴールデン(BS12)、夕やけミッドナイト寄席(BS12)SHARP・アクオス落語(全国の家電量販店にて放映)、日曜バラエティー・レギュラー出演(NHKラジオ第一)2018年4月~2019年3月、桂竹千代のJAGARAKU(FM帯広)2018年4月~2019年3月、OH! HAPPY MORNING「Today’s Focus」(JFN)※古代史専門家としてニュースコメント、春風亭昇太のピローな噺(dtvチャンネル)、竹千代の風土記(CS寄席チャンネル)などに出演。

 

 

 

 

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