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地球外生命は存在する!宇宙と生命誕生の謎

2019.08.18 更新 ツイート

宇宙の中では近場

【大きな旅・小さな旅】太陽系からもっとも近い地球型惑星「プロキシマb」の謎〔再掲〕縣秀彦

「人類が21世紀中に、地球以外の星で生命を見つける可能性は50%以上」――国立天文台の縣秀彦氏はこう断言します。地球外生命は人類のような生命体なのか? そもそも生命はどのように誕生するのか? そして未知の宇宙を考えるのは、なぜこんなにも楽しいのでしょうか。「大きな旅・小さな旅」特集のラストは、遠いけれど近い「プロキシマb」のお話。『地球外生命は存在する!』(縣秀彦著・幻冬舎新書)からお届けします。

*   *   *

「地球型惑星」は宇宙にいくつある?

地球のように生命を育む可能性のある惑星は、この宇宙にどのくらい存在しているのでしょうか。

(写真:iStock.com/m-gucci)

研究者たちは、生命を育む可能性のある星、すなわち地球のように岩石質で、ハビタブルゾーンにあって液体の水が豊富に存在している星を、何としても探し出したいと考えています。系外惑星探査技術の進歩は、そんな研究者たちの探求への足がかりとなりそうです。

さて、ケプラーの活躍などにより、2017年4月現在、ハビタブルゾーンにある系外惑星は50個以上発見されています。そして、少なくともそのうちの十数個は、地球型惑星だろうと考えられています。代表的なものを紹介していきましょう。

まず、宇宙望遠鏡「ケプラー」が見つけ出した、地球に近いサイズの惑星が「ケプラー186f」です。「ケプラー186」は恒星(主星)の名称であり、そこに惑星が見つかると、見つかった順にaを飛ばしてb、c、d、e、fという具合にアルファベット順で名前がついていきます。

したがって「ケプラー186f」とは、ケプラー186という恒星の周りを回る惑星系のうち、5番目に見つかった惑星という意味です。

ケプラー186は、地球からおよそ490光年離れたはくちょう座の方向にあり、ケプラーによって5つの惑星が検出されています。その中で、主星からもっとも離れたところにある惑星ケプラー186fが、この惑星系のハビタブルゾーンに位置し、さらに、直径が地球よりわずかに11%だけ大きな地球型惑星であることが2014年3月に発表されました。

ケプラー186fの質量や密度はまだ詳しくわかっていません。同年4月、「サイエンス」誌に発表された論文によると、ケプラー186fの軌道はハビタブルゾーンの外縁部に近く、主星から受けるエネルギーは地球が太陽から受けるエネルギーの32%程度と見積もられており、地球というよりは火星に近い環境ではないかと予想されています。

ただ、地球からの距離が490光年と遠いため、生命が存在するかどうかの確認は簡単ではありません。

これほど近くに生命体がいたら……

2016年8月、ヨーロッパ南天天文台(ESO)から大ニュースが飛び込んできました。太陽系からもっとも近い恒星、ケンタウルス座のプロキシマ星に地球サイズの惑星が見つかったのです。

(写真:iStock.com/Max2611)

この星までの距離は地球から4.22光年。光速でも4年と2カ月半ほどかかる距離ですが、この星こそが太陽系からもっとも近い恒星なのです。そのような近い距離で、もし、知的生命体を発見することができたらどんなに楽しいでしょう。私たちが電波信号を送ったとすると、およそ8年半で返事が戻ってきますので、運がよければ一生のうちに10回以上もコミュニケーションをとることができる距離です。

ケンタウルス座アルファ星はたったひとつの恒星が太陽のように輝いているのではなく、3つの恒星が互いの周りを回り合っています(3連星)。その3つの恒星を総称してアルファ・ケンタウリと呼び、明るい順にアルファ・ケンタウリA、アルファ・ケンタウリB、アルファ・ケンタウリCと言います。

最後のアルファ・ケンタウリCが、現在、もっとも太陽系に近い位置にあり、プロキシマ・ケンタウリとも呼ばれています。今回発見されたのは、このプロキシマ・ケンタウリを周回する地球型惑星「プロキシマb」です。

では、系外惑星プロキシマbには、本当に生命が宿っているのでしょうか。科学者の見解は、いまのところ否定的です。

主星であるプロキシマは、太陽よりとても暗い赤色矮星です。地球に近いといっても、肉眼では全く見ることができない11等という明るさで、エネルギーの放出量は太陽のおよそ1万分の1程度です。このため、温暖な環境のハビタブルゾーンは、主星に近いところにせまい範囲で存在することになります。

実際にハビタブルゾーンに位置する惑星プロキシマbは、主星のごく近くをわずか11.2日で公転しています。地球の公転は約365.24日(1年)。太陽にもっとも近い水星でさえ公転周期は88日間ですので、いかに恒星に近いところを回っているかが想像できるでしょう。

一般に太陽のような恒星は光(電磁波)だけでなく、強い放射線も宇宙空間に放出しているため、このように恒星に近い環境では、その放射線が強力すぎて、陸上では生物が存在できないのではないかと心配されているのです。

この系外惑星に生命が存在しているかどうかは、残念ながら現在の観測技術では判定できません。しかし、私たちが住む地球のすぐ近くの恒星の周囲にも、生命を宿す星(惑星や衛星)があるかもしれないというこの発見は、大きな驚きを持って世の中に伝えられたのです。

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地球外生命は存在する!宇宙と生命誕生の謎

果たして現在の科学は、どこまで地球外生命に迫っているのか?そもそも、地球外生命は存在するのか?

研究国立天文台天文情報センターの縣秀彦(あがたひでひこ)さんの新書『地球外生命は存在する!』からの短期集中連載です。

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縣秀彦

1961年生まれ。自然科学研究機構国立天文台准教授、天文情報センター普及室長。国際天文学連合国際普及室長。専門は天文教育と科学コミュニケーション。東京大学教育学部附属中学・高校教諭を経て現職。日本天文学会天文教材委員長、日本科学教育学会理事、日本サイエンスコミュニケーション協会副会長、天文教育普及研究会長などを歴任するほか、テレビやラジオ等でも活躍。「科学を文化に」「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。著書多数。

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