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地球外生命は存在する!宇宙と生命誕生の謎

2019.05.22 更新

すでに始まっている「宇宙人とのコミュニケーション」縣秀彦

「人類が21世紀中に、地球以外の星で生命を見つける可能性は50%以上」。こう断言するのは、国立天文台の縣秀彦氏だ。地球外生命は人類のような生命体なのか? それともはるかに進化した生命体なのか? そもそも生命はどのように誕生するのか? 人類究極の謎に迫った縣氏の著書、『地球外生命は存在する!』の一部をご紹介します。

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宇宙人からの電波信号を発見? 

実はかつて、宇宙人からの電波信号を見つけたと天文学者が色めき立ったことがあります。1967年、英国ケンブリッジ大学の大学院生ジョスリン・ベルが、ある方向から規則的に変化する強い電波信号(パルス)を捉えたのです。それまでに発見されていた自然電波は、信号の強さが急激に変わることはなかったため、この未知なる信号の正体は謎に包まれていました。

(写真:iStock.com/cosmin4000)

当時、電波望遠鏡で宇宙を観測することは、まるでピンボケ状態で宇宙を見ているようなもので、データを取得するには膨大な時間が必要でした。しかし、ベルの根気強い追跡観測によって、この電波は1時間に15度の割合で東から昇って西に沈んでいることがわかりました。

つまり、星と全く同じ動きをしていますので、地球の自転によって動いている現象、すなわちこれは地上からの人工電波ではなく、宇宙のどこかから発信されている電波であることは間違いないという見解に至ったのです。

このパルス信号を発見した当初、彼女の指導教官であるアントニー・ヒューイッシュはじめ関係者は、これほど規則正しく発せられる電波は人工電波としか考えられないと、この電波を発する知的生命体を仮に「緑の小人」と名づけました。

しかし、コロンブスのアメリカ大陸発見を凌ぐようなこの大発見を公表すべきかどうか、ヒューイッシュたちはとても悩みました。

宇宙開発が始まった1960年代は、空の上を移動する人工物(飛行機、ロケット、人工衛星など)が急激に増えたと同時に、いま以上にUFO目撃談が多く、人々が空を見上げる機会も増えた時代です。このため、UFOが宇宙人の乗り物と信じる人も多く、もしヒューイッシュらが緑の小人の存在を発表したら、大パニックが起こる危険性があったのです。

その後数カ月間、この天体を慎重に観測した結果、宇宙のどの方向からの電波かが詳しく同定されました。こぎつね座の方向から発せられたこの電波は、とてもコンパクトな天体、すなわち「中性子星」が1秒間に30回もの高速で自転することによって生じるパルス信号だと、ヒューイッシュは確信しました。

つまり、宇宙人の発信する人工電波ではなく、中性子星という特殊な星が放つビーム状のパルス信号なら観測結果とつじつまが合うと結論づけたのです。

いまでは、中性子星は電波のパルスを出す天体という意味で「パルサー」とも呼ばれています。太陽の10倍以上30倍未満の質量を持つ恒星の最期の姿がパルサーです。

なお、この発見でノーベル物理学賞を授与されたのは、発見者のベル女史ではなく、指導教官のヒューイッシュ教授のみでした。この受賞者の選考が正しかったのかどうかは、いまでも議論が分かれるところです。

切手大の「超軽量探査機」を開発中?

2015年、人々の地球外知的生命体への関心の高さを象徴する出来事がありました。それは、民間の投資家が主導する地球外知的生命体探査の野心的なプロジェクトです。ロシアのIT投資家ユーリ・ミルナーが、「ブレイクスルー・イニシアティブ」というプロジェクトを開始しました。

(写真:iStock.com/ClaudioVentrella)

このプロジェクトは3つの独立した内容から成り立っていて、スティーブン・ホーキング博士、ミシェル・マイヨール博士、フランク・ドレイク博士、そして日本の山中伸弥教授など著名な科学者が協力を表明しています。3つの計画について、順に紹介しましょう。

1. ブレイクスルー・リッスン

ひとつは、地球外知的生命体が宇宙空間に送っているかもしれない人工電波信号を、地上の大型電波望遠鏡でキャッチしようという新しいSETIの試みです。

ユーリ・ミルナーは、世界的大型電波望遠鏡であるグリーンバンク望遠鏡とパークス望遠鏡を長時間使用して観測する契約を結びました。さらにそのデータは、天文学者によって徹底的に解析されます。

これは従来の方法に比べて、50倍高い感度で、10倍広い空を探査する計画です。映画『コンタクト』をご覧になった方もいるかもしれませんが、まさにあの探査を本格的に実施するわけで、これには多くのプロの天文学者が参加しています。

2. ブレイクスルー・メッセージ

2つ目の計画では、人類および地球を代表して、地球外文明に送るメッセージのコンテストを行うとともに、その行為の哲学的、倫理的な妥当性を検討しようとしています。

と言うのは、1974年にカール・セーガンの主導によってアレシボ電波望遠鏡から「アレシボ・メッセージ」が宇宙に発信されたことがありました。その信号を解読すれば、DNAの構造や私たち人間の絵、さらに太陽系などに関する情報が読み取れるはずです。

このアレシボ・メッセージや、その後行われた類似の行為の妥当性を検討し、今後、人類が宇宙に発信するメッセージのガイドラインを定めようというプロジェクトです。

3. ブレイクスルー・スターショット

3つ目は、地球から一番近い系外惑星であるプロキシマbに超小型探査機を送るという計画です。プロキシマbが発見される以前に、ケンタウルス座アルファ星を対象に発案されていました。この計画では、切手大くらいの小さなチップの中に、カメラ、コンピュータ、制御装置を詰め込み、20年かけてプロキシマbに到着させる見込みです。

果たして、光でも4.22年、最速のロケットでも数千年もかかる道のりをどのように訪ねようというのでしょうか。

それは地球からの強力な光ビームの放射圧によって、切手大の超軽量宇宙船に光を集中的に当て続けることで、光速に近いスピードまで加速させようというアイデアに基づいています。前提となる技術開発において実現可能かはいまのところ不明ですが、理屈のうえでは成立する考えではあります。

このプロジェクトが成功すれば、いまから50年以内にプロキシマbを直接撮影した画像が地球に届くことになります。

実際にこの計画が遂行されるかはわかりませんが、天からの文、天文を5000年の長きにわたり読み解いてきた人類にとって、宇宙に送る手紙、天への文が切手サイズの超小型探査機というのは、とても夢のある話ではないでしょうか。

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地球外生命は存在する!宇宙と生命誕生の謎

果たして現在の科学は、どこまで地球外生命に迫っているのか?そもそも、地球外生命は存在するのか?

研究国立天文台天文情報センターの縣秀彦(あがたひでひこ)さんの新書『地球外生命は存在する!』からの短期集中連載です。

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縣秀彦

1961年生まれ。自然科学研究機構国立天文台准教授、天文情報センター普及室長。国際天文学連合国際普及室長。専門は天文教育と科学コミュニケーション。東京大学教育学部附属中学・高校教諭を経て現職。日本天文学会天文教材委員長、日本科学教育学会理事、日本サイエンスコミュニケーション協会副会長、天文教育普及研究会長などを歴任するほか、テレビやラジオ等でも活躍。「科学を文化に」「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。著書多数。

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