今年の秋、恩田陸さんが書いた小説『蜜蜂と遠雷』が映画化される。
この小説はピアノコンクールの話。
ピアノコンクールには「そのコンクールの為に書かれた新しい音楽」がつきもので、それが課題曲となって、コンクールに挑む若手ピアニスト(コンテスタント)は必ず選考の過程で弾かなければいけない。
『蜜蜂と遠雷』はフィクションなので、架空の日本人作曲家・菱沼忠明が出てくる。この菱沼が書いたことになっている曲が「春と修羅」だ。もちろんこれも小説の中だけの架空の作品で実在しない。
今回、映画化にあたって僕が、この「春と修羅」を実際の音にすることになった。
どうしてそうなったか、というと偶然が偶然を呼んだわけだった。
2年半前この小説が出た当時、普段は本など勧めない僕のマネージャー(日本人)が、
「大さん、是非、読んでみてください!」
とメールで書いてきた。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
藤倉大の無限大∞
ロンドン在住、42歳、作曲家。これまで数々の著名な作曲賞を受賞してきた藤倉大の、アグレッシブな創作生活の風景。音の世界にどっぷり浸かる作曲家は、日々、何を見、何を感じるのか。