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僕は、中学の卒業式の1週間後、大阪からイギリスに一人で渡って、その26年後、41歳の今もロンドンに住んでいる作曲家です。

1977年大阪生まれ。作曲家。15歳で渡英し、D・ランズウィック、E・ロックスバラ、G・ベンジャミンに師事。国内外の作曲賞を多数、受賞(2019年は3回めの尾高賞を受賞)。数々の音楽祭、音楽団体から作品を委嘱され、いま「世界で最も演奏される現代音楽作曲家」と呼ばれる。2010年2月「情熱大陸」で特集され大反響。先日、映画「蜜蜂と遠雷」の中の課題曲「春と修羅」を作曲したことが発表されたばかり。
http://www.daifujikura.com

ときどき「現代音楽の作曲家」と言われてしまうこともありますが、いろんな国のオーケストラ、オペラハウス、演奏者たちに音楽を作ったり、時にはノルウェーの即興アーティストたちとコラボしたり、JAPANというロックバンドの元ヴォーカリストで坂本龍一さんとの共演でも有名なデヴィッド・シルヴィアンとコラボしたりもしています。

〈新しい音を赤ちゃんから大人まで〉をテーマにした東京芸術劇場での音楽祭「ボーン・クリエイティヴ・フェスティヴァル(ボンクリ・フェス)」の芸術監督もやってます。

さて。

僕は、2008年に「アンペール(Ampere)」というタイトルのピアノ協奏曲を作曲し終えた時、あまりに難産だったせいで、これを人生最初で最後のピアノ協奏曲にしようと思った。

なのに11年後の今、なぜかピアノ協奏曲4番「Akiko’s Piano(明子のピアノ)」に追われている。

先週は名古屋で名古屋フィルハーモニー交響楽団(名フィル)が「ソラリス組曲」という、僕のオペラ「ソラリス」をオーケストラ用に自分で編み直した曲を世界初演(2月22日23日)するのに立ち会ったし、そのあと広島に行って件(くだん)のピアノ協奏曲4番「Akiko’s Piano」の作曲の準備。世界初演を演奏するのは、なんと、マルタ・アルゲリッチさん(の予定)だ。

ゲネプロの様子。プログラム順で僕の「ソラリス」組曲から始まりました。この2月22日が世界初演。
名フィルでの公演(2019年2月22日、愛知芸術劇場)の様子。指揮はアントニ・ヴィットさん。
​​​

僕が日頃、住んでいて作曲をする場所はロンドン。なのにどうして広島なのか? マルタさんに曲を書くのになぜ明子? 明子って誰? など不思議要素がいっぱいのこのプロジェクト。

その理由は、この作品が、いつもの僕の音楽と違って大変、悲しく重いストーリーを持っていることだ。

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藤倉大の無限大∞

ロンドン在住、42歳、作曲家。これまで数々の著名な作曲賞を受賞してきた藤倉大の、アグレッシブな創作生活の風景。音の世界にどっぷり浸かる作曲家は、日々、何を見、何を感じるのか。

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藤倉大 作曲家

1977年大阪生まれ。作曲家。15歳で渡英し、D・ランズウィック、E・ロックスバラ、G・ベンジャミンに師事。国内外の作曲賞を多数、受賞(2019年は3回めの尾高賞を受賞)。数々の音楽祭、音楽団体から作品を委嘱され、いま「世界で最も演奏される現代音楽作曲家」と呼ばれる。2017年、東京芸術劇場「ボンクリ・フェス」アーティスティックディレクターに就任。2019年公開の映画「蜜蜂と遠雷」の音楽を手がける。主な作品:オペラ「ソラリス」「アルマゲドンの夢」、管弦楽曲「レア・グラヴィティ」「グロリアス・クラウズ」など。ホームページ http://www.daifujikura.com

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